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FL比率とは|飲食店の食材費と人件費の計算方法と目安

この記事の結論

FL比率は、飲食店の食材費(Food)と人件費(Labor)を足して売上で割った割合で、食材費は仕入れた額ではなく、棚卸しで出した「その月に使った額」で計算します。日本政策金融公庫の2025年度の調査では、一般飲食店の平均で売上原価が売上の35%ほど、人件費が32.9%と合わせて7割近くになり、業態によってFとLの配分も大きく違います。

飲食店の経営で、毎月の数字の中心になるのが「FL比率」です。食材の値上がりと、最低賃金の引き上げ。ここ数年はFとLの両方が同時に上がり、価格を据え置いたままでは利益が残りにくくなっています。

私たちの店舗は施術の店で、食材の仕入れはほとんどありません。一方で、店舗の採用を支援するなかで、飲食店のお客さまと人件費やシフトの話を毎月のようにしています。この記事では、FL比率の計算方法、日本政策金融公庫の調査で見る業態別の目安、FとLの関係と見直し方を、人の側から見てきたことも交えてまとめます。

FL比率とは:食材費(F)と人件費(L)の合計の割合

FL比率は、Food(食材費)とLabor(人件費)の頭文字をとった言葉です。

FL比率 =(食材費 + 人件費)÷ 売上 × 100

飲食店の費用のなかで、毎月の営業のしかたで大きく動くのがこの二つです。家賃は契約で決まっていて、毎月の判断では動かせません。営業のなかで工夫できる費用の多くがFとLに集まるので、二つをまとめて見ます。

まとめて見る理由は、もうひとつあります。FとLは引っ張り合う関係にあるからです。食材費だけ、人件費だけを下げようとすると、もう片方が上がってしまうことがあります。この関係は後半で詳しく書きます。

FL比率の計算方法:食材費は「使った額」で出す

計算で間違えやすいのは、食材費を「その月に仕入れた額」で出してしまうことです。月末にまとめて仕入れた月は食材費が膨らみ、在庫を使い切った月は小さく見えます。食材費は、月末に棚卸しをして「その月に使った額」で出します。

食材費(F)= 月初の在庫 + その月の仕入れ − 月末の在庫

人件費(L)には、アルバイトと社員の給与に加えて、会社が負担する社会保険料や通勤手当も入れます。オーナーが厨房やホールに立っている店は、自分の給与も入れておかないと、人を雇ったときの数字が読めません。人件費に入れるものの細かな整理は、人件費率の目安と計算方法にまとめています。

仮の数字で計算してみます。

項目 仮の数字
売上 300万円
月初の在庫 20万円
その月の仕入れ 100万円
月末の在庫 25万円
食材費(F) 95万円(20+100−25)
人件費(L) 100万円
FL比率 65%((95+100)÷300×100)

仮にこの店で月末の在庫を数えず、仕入れた額をそのまま食材費にすると、FL比率は仮の計算で約67%になり、実際より高く見えます。数字が月によって大きくぶれるときは、まず棚卸しのやり方を確かめてください。

公的なデータで見る、業態別のFとL

日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」に、FL比率という項目はありません。ただ、売上高総利益率と人件費対売上高比率から、FとLに近い数字を読み取れます。

売上高総利益率は、売上から売上原価を引いた粗利の割合です。飲食店の売上原価は主に食材や飲み物の仕入れなので、100から売上高総利益率を引くと、Fに近い割合になります。2025年度の調査(2026年8月掲載)の平均値を並べると、次のとおりです。

業態 売上高総利益率 売上原価の割合(Fに近い) 人件費対売上高比率(L)
一般飲食店 65.0% 35.0% 32.9%
日本料理店 62.0% 38.0% 31.5%
西洋料理店 66.0% 34.0% 32.2%
中華料理店 65.0% 35.0% 33.6%
そば・うどん店 69.4% 30.6% 38.2%
すし店 58.9% 41.1% 30.2%
喫茶店 71.9% 28.1% 29.8%
酒場、ビヤホール 67.8% 32.2% 32.2%

(出典: 日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」2025年度 飲食店・宿泊業の業種別経営指標。従業者50人未満の法人で、決算期は2024年7月以降。売上原価の割合は、100から売上高総利益率を引いて当社で計算・2026年10月確認)

このデータの一般飲食店の平均では、Fに近い売上原価が売上の35%ほど、Lが32.9%で、合わせると売上の7割近くになります。黒字かつ自己資本プラスの企業に絞った平均のデータでは、売上高総利益率が67.8%、人件費対売上高比率が31.5%で、FとLの合計は全体の平均より4ポイントほど小さくなっています(出典: 同調査)。

この表から読み取れることは、二つあります。

一つ目は、業態によってFとLの配分がまったく違うことです。すし店は売上原価の割合が高く、人件費の割合は低めです。そば・うどん店はその逆で、売上原価が低く、人件費が高めです。喫茶店はどちらも低い一方で、家賃などを含む諸経費の割合が一般飲食店より高くなっています。FLの合計だけを他の店と比べても、自店の打ち手は見えてきません。

二つ目は、黒字の店でも、FとLで売上の6割以上を使っていることです。残りの3割あまりで、家賃、水道光熱費、広告、借入の利息などをまかない、そのうえで利益を残す必要があります。FかLのどちらかが少し上がるだけで、利益が消えやすいつくりです。

なお、この調査の人件費には役員報酬が含まれます。また、決算の付け方によっては、売上原価に食材以外の費用が入っている店もあります。表の数字は目安として、自店の推移とあわせて見てください。

FとLは引っ張り合う:片方だけを下げない

FとLの関係は、シーソーに似ています。

打ち手 F(食材費) L(人件費)
仕込み済みの食材・既製品を増やす 上がりやすい 下がりやすい
店での仕込み・手づくりを増やす 下がりやすい 上がりやすい
メニュー数を絞る 下がりやすい(使い切れない食材が減る) 下がりやすい(仕込みが減る)
ピークに人を厚く、暇な時間は薄く置く 変わらない 下がりやすい(暇な時間の人件費が減る)
食材の廃棄を減らす 下がりやすい 変わらない

片方だけを見ていると、人件費を抑えるために既製品を増やした結果、食材費が上がって、FL比率はほとんど変わらなかった、ということが起きます。表のなかで両方に効きやすいのが、メニュー数を絞ることです。仕込みの手間と、使い切れずに捨てる食材の両方が減ります。

代表・中野谷のひとこと

単品、要は、ラーメンとかそばとかうどんとか、天ぷらとかうなぎとか、そういうやつです。そうすると、食材管理がちょっと楽っていうのがあって。メニュー数が多くないんで。で、看板メニューがあるんで、インスタとかも回しやすいんで。

看板メニューがはっきりしている店は、FとLの両方を抑えやすいだけでなく、何の店かが伝わりやすく、集客の発信もしやすくなります。メニューを絞ることは、数字の打ち手であると同時に、店の打ち出し方を決めることでもあります。

最低賃金が上がるなかで、Lをどう考えるか

Lは、店の努力だけでは抑えにくくなっています。最低賃金は2026年度、全国加重平均で前年度より56円高い1,177円になりました。いつから新しい額になるかは都道府県で異なり、早いところは10月1日、遅いところは12月2日です(出典: 厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金全国一覧」2026年10月確認)。

代表・中野谷のひとこと

にしても、最低賃金上がりすぎじゃないですか。これ僕、たまたま本当に恵まれてて、業績いいお客さんが多いんで。この話って、なんとかなるんで、普通に「FLコントロールしないとね」みたいな感じでポロッと言うぐらいなんですけど、本当に業態・業種によっては、もう多分辛いんで。

採用の支援をしていて感じるのは、Lを時給で抑えるやり方が限界に来ているということです。時給を周りの店より低くすれば、応募が来にくくなり、いまいるスタッフも辞めやすくなります。人が辞めると、採り直しの求人費と、次の人を教える時間がもう一度かかり、結局Lは膨らみます。新人が早く辞めてしまう理由と防ぎ方は新人がすぐ辞める店舗の共通点、飲食店のホールとキッチンの募集の分け方は飲食店の採用のコツにまとめています。

Lを抑えるなら、時給ではなく、スタッフ1人が1時間にどれだけの売上をつくれるか(人時売上高)を上げる方向で考えます。ピークの時間帯に人を寄せる、仕込みを暇な時間に回す、メニューを絞って一人でこなせる範囲を広げる、といった手です。上がり続ける費用の一部は、値付けの見直しで受け止めることも考えます。値上げの考え方は、飲食店の倒産が増えている背景と、集客・採用で先に打つ手でも触れています。

FL比率の次に見る数字:家賃と損益分岐点

FLに家賃(Rent)を足した「FLR」で見る考え方もあります。家賃は毎月の判断では動かせない費用で、出店前の物件選びの段階でほぼ決まります。物件の選び方は出店場所の選び方で解説しています。

FLを売上のどこまでに収めればよいかは、家賃などの固定費と、残したい利益から逆算して決まります。逆算の仕方は損益分岐点の出し方、毎月どの数字を目標に置くかは店舗経営のKPIの決め方で解説しています。

まとめ

  • FL比率は(食材費+人件費)÷売上×100。食材費は、棚卸しで出した「その月に使った額」で計算する
  • 公庫の2025年度調査のデータでは、一般飲食店の平均で売上原価が売上の35%ほど、人件費が32.9%。業態によってFとLの配分は大きく違う
  • FとLは引っ張り合うので、片方だけを下げない。メニュー数を絞るなど、両方に効く手から考える
  • 最低賃金が上がり続けるなかでは、時給ではなく人時売上高を上げる方向でLを考え、値付けも見直す

まずは今月末に棚卸しをして、食材費を「使った額」で出してみてください。人件費とあわせて売上で割ると、自店のFL比率が出ます。表の業態の近い行と並べると、FとLのどちらに偏っているかが見えてきます。

よくある質問

FL比率とは何ですか?

飲食店の食材費(Food)と人件費(Labor)の合計が、売上の何割にあたるかを表す数字です。飲食店の費用のなかで大きい二つを、まとめて見るために使います。

FL比率はどうやって計算しますか?

食材費と人件費を足して売上で割り、100を掛けます。食材費は、月初の在庫にその月の仕入れを足し、月末の在庫を引いた「使った額」で出します。人件費には、アルバイトと社員の給与、会社が負担する社会保険料、現場に立つオーナーの給与も入れます。

FL比率の目安はどれくらいですか?

業態や店のつくりで大きく変わるので、一つの数字で決めるより、業態別の公的な数字と自店の推移を比べるのがおすすめです。日本政策金融公庫の2025年度の調査では、一般飲食店の平均で売上原価が売上の35%ほど、人件費が32.9%でした。

FL比率が高いときは、食材費と人件費のどちらから見直せばよいですか?

片方だけを下げると、もう片方が上がることがあります。仕込み済みの食材を増やせば人件費は下がっても食材費は上がり、店での仕込みを増やせばその逆になります。メニュー数を絞る、ピークの時間帯に人を厚く置くなど、両方に効く手から考えます。

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