飲食店の採用のコツ|ホールとキッチンのアルバイトは求人を分けて募集する
この記事の結論
飲食店のアルバイト採用は、ホールとキッチンを1本の求人にまとめず、別々の求人として出すのが基本です。ホール志望は「誰と働くか」、キッチン志望は「接客がないか・教えてもらえるか」を気にしているので、それぞれの不安に答える原稿と写真にすると応募の入り方が変わります。
「ホールはなんとか集まるのに、キッチンだけずっと足りない」。飲食店の採用のご相談で、とても多い形です。原因をたどると、ホールとキッチンを「ホール・キッチンスタッフ募集」の1本にまとめて出しているケースが目立ちます。
同じ店の隣り合った仕事でも、応募してくる人の動機はほぼ正反対です。1本の原稿で両方を集めようとすると、どちらにも響かない求人になってしまいます。この記事では、飲食店のアルバイト採用でホールとキッチンの求人をどう分け、何を書き分けるかを具体的に見ていきます。
まず数字: 飲食店の求人も、半分近くは応募0件
最初に当社のデータを紹介します。当社が支援している飲食店のうち、Indeedの有料配信を使った18社では、応募1件あたりの広告費(応募単価)が社ごとの中央値で2,325円でした。一方で、有料配信した263求人のうち48.6%は30日間で応募が0件でした(出典: 当社「店舗採用データ 2026」飲食区分、2026年7月31日〜8月29日頃の30日間。店舗ビジネスを中心とした当社支援先の実績で、市場平均ではありません)。
同じ店、同じ予算でも、応募が集まる求人と、ほとんど見られていない求人に分かれるということです。その差の多くは、求人の分け方・職種名・写真から生まれていると私たちは見ています。
ホールとキッチンは別の求人として出す
募集を分ける理由は2つあります。
1つは、届く相手が変わるからです。ご相談のたびに私がお伝えしているのがここで、求人サイトは、求職者が探している仕事の種類に合わせて求人を表示します。キッチンの仕事を探している人は、ホール寄りに見える求人をそもそも見ていないことがあります。その人は「絶対にキッチンがいい」と決めているわけではなく、なんとなくキッチンで探しているだけかもしれません。それでも、探している場所に求人がなければ出会えません。分けて出せば、ホールを探す人とキッチンを探す人の両方に届きます。
もう1つは、原稿の中身をそれぞれに合わせられるからです。1本にまとめた原稿は「接客も調理もお願いします」という書き方になりがちで、接客をしたくない人は離れ、接客をしたい人は「結局洗い物ばかりでは」と身構えます。
ただし、中身がほとんど同じ求人を並べると、媒体側で重複とみなされることがあります。仕事内容・時間帯・時給を、実態に合わせて書き分けてください。掲載が止まる原因についてはIndeedで掲載されない・審査落ちの原因と対処法にまとめています。
ホール志望とキッチン志望は、見ている場所が違う
ホール志望とキッチン志望では、求人に求めるものがはっきり違います。
| ホール志望 | キッチン志望 | |
|---|---|---|
| 主な動機 | 人と話すのが好き、にぎやかな職場で働きたい | 接客は避けたい、黙々と作業したい、調理を覚えたい |
| いちばんの不安 | 一緒に働く人との相性、忙しさ、クレーム | 未経験でついていけるか、何から任されるか |
| 響きやすい内容 | 働く人の雰囲気、シフトの融通、まかない | 接客なし、教わる順番、厨房の環境 |
キッチンの求人で効くのが、「接客はありません」とはっきり書くことです。接客が苦手だからキッチンを選んでいる人にとって、これは時給のわずかな差より強い決め手になることがあります。反対にホールの求人では、誰と働くかがいちばんの関心事です。働く人の顔が見えない求人は、ホール志望の人に選ばれにくくなります。
洗い場や調理補助を、キッチンとは別の求人として出すのも有効です。「調理は自信がないけれど、裏方なら」という人は一定数いて、募集している店が少ないぶん出会いやすくなります。
職種名は、探している人の言葉に寄せる
職種名は、求人がどこに表示されるかと、一覧でクリックされるかの両方に関わります。
- 「キッチンスタッフ」「調理補助」「洗い場スタッフ」では、表示される相手も、集まる人の経験も変わる
- 店の中だけで通じる呼び方(ポジション名や独自の役職名)は、職種名には使わない
- 当社で試した範囲では、職種名の欄に「歓迎」や給与など職種ではない言葉を入れると掲載が通りにくい傾向がある
職種名と写真の直し方は、求人原稿の書き方で詳しく解説しています。
写真は、ホールとキッチンで見せるものを変える
飲食店の求人写真は、料理の写真ばかりになりがちです。しかし求職者が見たいのは、商品ではなく働く現場です。
ホールの求人に入れたい写真:
- 1枚目は、一緒に働くスタッフの顔が分かる写真。その時間帯に実際に入っているメンバーをそのまま写すと、働く場面を想像してもらいやすい
- 混雑していない時間のフロアの様子
- まかないや休憩スペースなど、条件を目で見て分かるもの
キッチンの求人に入れたい写真:
- 厨房の広さや清潔さが分かる写真
- 仕込みや調理の手元、先輩が教えている場面
- 実際に担当する料理や作業の範囲が分かるもの
スタッフの写真は、スマートフォンで撮ったもので十分です。きれいに作り込みすぎると、かえって「本当にこの人は店にいるのか」と思われます。
時間帯でも求人を分ける
飲食店は、時間帯によって働ける人が入れ替わる業態です。これも求人の分け方に使えます。
- ランチ帯: 家庭と両立したい人が動きやすい。ホールも仕込みも人手が要る
- 夕方〜ディナー帯: 学生やフリーターが中心になりやすい
- 深夜帯: 本業のある人や、効率よく稼ぎたい人
- 早朝の仕込み: キッチン専任で募集しやすい
深夜帯の求人には、法律の決まりが2つ関わります。午後10時から午前5時までの労働には通常の賃金の2割5分以上の割増賃金が必要で(出典: 厚生労働省「確かめよう労働条件」アルバイトの深夜割増についてのQ&A、2026年9月確認)、18歳未満の人をこの時間帯に働かせることは原則として禁止されています(出典: 兵庫労働局「年少者・女性の労働条件」、2026年9月確認)。深夜の求人は割増後の時給が伝わるように書き、高校生に来てほしい場合は夕方までの時間帯で募集を組み立ててください。
応募が来たら、すぐにつなぐ
飲食店のアルバイト応募者は、近くの店にいくつか同時に応募していることがよくあります。店長がランチやディナーの営業中で通知に気づけず、翌日に連絡したら、もう他の店で面接が決まっていた、という話は珍しくありません。応募から連絡までの流れは応募対応のスピード設計にまとめています。求人の出し分けや応募後の連絡を店長だけで回しきれないとき、どこまで外に任せられるかは飲食店の採用代行で書いています。
面接では、ホール志望には一緒に働くメンバーやシフトの融通を具体的に伝え、キッチン志望には「まず何を覚えて、次に何を任せるか」という順番を伝えると、働く姿を想像してもらいやすくなります。ホールとキッチンで面接で確かめることの分け方と、面接を外に任せるときの範囲は「飲食店の面接代行」にまとめています。
まとめ
- ホールとキッチンは動機が正反対。求人を分けて、それぞれの不安に答える原稿にする
- キッチンは「接客なし」と覚える順番を、ホールは「誰と働くか」を写真と本文で見せる
- 時間帯でも求人を分けると、同じ店から違う層の人に届く。深夜帯は割増賃金と年齢の決まりに注意する
次の一歩は、いま出している求人がホールとキッチンで分かれているかを確認することです。1本にまとまっているなら、分けて出し直すだけで、届く相手が変わります。
動画で見る
代表の中野谷が発信している YouTube「店舗運営チャンネル【採用と集客】」から、この記事に関係する回です。
ホールとキッチンが1本になった求人ではキッチンを探している人に届かない理由と、求人を分けて出す考え方を代表が話しています。
よくある質問
飲食店の求人はホールとキッチンを分けたほうがよいですか?
分けることをおすすめします。キッチンの仕事を探している人は、ホール寄りに分類された求人を見ていないことがあります。分けて出せば、それぞれの仕事を探している人に届き、原稿もそれぞれの不安に合わせて書けます。
キッチンスタッフが集まらないときは何を見直せばよいですか?
求人に「接客はありません」と書けるなら明記し、入ってから何をどの順番で覚えるかを具体的に書いてください。厨房の広さや清潔さが分かる写真も効きます。調理補助や洗い場を別の求人として出すのも一つの方法です。
飲食店の求人写真は料理の写真でよいですか?
料理の写真だけでは足りません。求職者が知りたいのは働く現場です。ホールなら一緒に働くスタッフの顔が分かる写真、キッチンなら厨房の様子や仕込みの手元の写真を入れてください。
飲食店の深夜の求人では何に気をつければよいですか?
厚生労働省の案内では、午後10時から午前5時までの労働には、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金が必要です。また労働局の案内のとおり、18歳未満の人をこの時間帯に働かせることは原則として禁止されています。深夜の求人は、割増後の時給が伝わる書き方にしてください。