出店場所の選び方|ライバルの少ない駅の見つけ方とドミナント出店
この記事の結論
店舗の出店場所は、「その街で自分の業態が探されているか」「同じ業態の競合がどれだけ強いか」「その場所で人を採れるか」の3つで選びます。2店舗目以降は、既存店からスタッフが行き来できる距離に出すドミナント出店にすると、研修・急な欠員のカバー・採用がしやすくなります。
新しくお店を出す、あるいは2店舗目を出す。そのとき、いちばん後から変えられないのが場所です。メニューも内装も求人の原稿も、あとから手直しできますが、場所は契約したら簡単には動かせません。
結論から言うと、出店場所は「その街で自分の業態が探されているか」「同じ業態の競合がどれだけ強いか」「その場所で人を採れるか」の3つで選びます。そして2店舗目以降は、既存店からスタッフが行き来できる距離に出すドミナント出店を、まず候補に入れることをおすすめします。
代表・中野谷のひとこと
スタッフのキャリアを考えたときに、2店舗目を出さなきゃいけないよねって今思っていて、場所どうしようって問題があるんですよ。結局僕、フランチャイズって、どの銘柄を選んで、どの場所へ出すか、ここが多分一番大切かなと思っているんですよ。
(YouTube「【売上独占】新規出店や増店する場合にライバル不在の穴場駅を見つける方法」より)
この記事では、私たちが自分たちの店の出店場所を考えたときに実際に調べたことを交えながら、3つの見方と、ドミナント出店の考え方を整理します。
出店場所は「集客」と「採用」の両方で見る
出店場所の話になると、人通りや駅からの距離、家賃といった「お客さまが来るか」「採算が合うか」の話が中心になりがちです。もちろんそれは大前提ですが、店舗の経営では、もう1つの軸が欠かせません。その場所で働く人を集められるかです。
どれだけお客さまが来そうな場所でも、スタッフがそろわなければ予約の枠を開けられません。逆に、人は集まりやすいのに、お客さまに探されていない場所では、売上が立ちません。集客と採用の両方で見て、両方が成り立つ場所を探すのが基本です。
調べ方1: その街で、自分の業態がどれだけ探されているか
まず、候補の街で自分の業態がどれくらい探されているかを見ます。
検索の量を見る Google 広告の「キーワード プランナー」では、キーワードが1か月に検索される回数の見積もりを確認できます(出典: Google 広告 ヘルプ「キーワード プランナーを使う」2026年10月確認)。基本の機能を使うには、Google 広告のアカウントで、お支払い情報の入力を含む設定を済ませておく必要があります。
調べるときは、「業態名+駅名」「業態名+市区町村名」のように、地名を組み合わせた言葉を候補の街ごとに並べます。近くのお店を探す人は、地名を入れずに業態名だけで検索することもあるので、地名なしの言葉の動きもあわせて見ておきます。
住んでいる人・働いている人の数を見る 政府統計の総合窓口(e-Stat)の「地図で見る統計(jSTAT MAP)」は、誰でも使えるWebの地理情報システムで、地図上で指定した地点の周りの統計をレポートとして出力できます(統計データとグラフを使った詳しいレポートは、e-Statのアカウントでのログインが必要です)(出典: e-Stat「地図で見る統計(jSTAT MAP)とは」2026年10月確認)。お店の候補地の周りにどれくらいの人が住んでいるかを、ほかの候補地と同じ条件で比べられます。
実際に歩く 数字はあくまで入口です。最後は、平日と休日、昼と夜に候補地を歩きます。乗り換えで人が多い駅でも、改札を出て街に立ち寄る人は少ない、ということがあります。自分の業態のお客さまになりそうな人が、その時間にその道を歩いているかを、自分の目で確かめてください。
調べ方2: 競合の数と「やり込み具合」を見る
検索の量が多い駅は、たいてい競合も多い駅です。同じ検索の量を、近くの何店舗で取り合っているのかで、出店の難しさは大きく変わります。
Googleマップで、候補の街の名前と業態名を入れて検索し、次の点を並べてメモします。
- 同じ業態のお店が、近くに何店舗あるか
- それぞれの口コミの数と、新しい口コミがついているか
- 写真や投稿が手入れされているか、営業時間などの情報が正しいか
- 予約サイトを使う業態なら、そこでの掲載のしかたや、ブログ・写真の更新の量
ライバルの少ない駅とは、検索がそこそこあるのに、同じ業態のお店が少ない、または口コミや写真があまり手入れされていない駅のことです。そういう場所なら、開店後に情報や口コミをきちんと整えたときに、ほかのお店との差をつけやすくなります。
私たちも2店舗目の場所を考えたとき、候補の駅ごとに、検索の量と、近くの同じ業態のお店の口コミの数を並べて比べました。競合の口コミの数が分かると、「開店後にどれくらい口コミを集めれば並べるか」という目標もスタッフと共有しやすくなります。
調べ方3: その場所で人を採れるか
3つ目は、その場所で働いてくれる人を集められるかです。
代表・中野谷のひとこと
ドミナントで行くんだったら(採用の費用は)少し安くなりますし、飛び地でやっていきます、ってなると、当てもないし、って感じになっちゃう。集客は見込めるけど採用は難しいよね、っていう場所って存在するじゃないですか。
人の採りやすさは、次の点で確かめます。
- 求人サイトで、候補地の近くに同じ職種の求人がどれくらい出ているか、時給や条件はどうか
- 働く人が通いやすいか(最寄り駅の路線、乗り換え、終電、自転車や車で通えるか)
- 既存店があるなら、いまのスタッフが通える距離か
とくにオープニングスタッフは、開店日から逆算して集める必要があります。場所を決める段階で採用の見通しを立てておくと、開店前に慌てずに済みます。採用の段取りは新店オープニングスタッフ採用の段取りで詳しく書いています。
ドミナント出店のメリットと注意点
ドミナント出店とは、同じエリアに続けてお店を出していく出し方です。私たちは、2店舗目以降を考えるなら、まずこの出し方を候補に入れることをおすすめしています。
メリット1: スタッフが行き来できる 近くに店があれば、研修を既存店で受けてもらう、急な欠員を別の店のスタッフで埋める、シフトを2店舗で組む、といったことができます。代表の中野谷も、自分の店で急に人が足りなくなったとき、以前その店で働いていたスタッフに一時的に戻ってもらったり、どうしてもというお客さまにはもう1つの店をご案内したりしてしのいだ経験から、「2店舗とか近くにあると、助け合えるのがいい」と話しています。少人数で回すお店ほど、1人欠けただけで予約の枠を閉じることになるので、この差は大きく出ます。
メリット2: 求人をまとめて出せる 近くに店がそろっていれば、どの店の求人から応募してきた人にも、通いやすい別の店で働いてもらう選択肢が出せます。私たちは、近くにある店はどの店も求人を出しておき、応募が来たら通いやすい店に案内する形をすすめています。多店舗での求人の出し方は多店舗展開の店舗採用を仕組み化する方法にまとめています。
メリット3: お店の名前を覚えてもらいやすい 同じエリアで看板や口コミ、地図の情報が重なると、近くに住む人や働く人の目に触れる回数が増えます。
注意点: 近すぎると、お客さまを取り合う 店どうしの距離が近すぎると、同じお客さまを2店舗で取り合うことになります。予約がいつも埋まっていて、既存店で受けきれないお客さまがいるのか、それとも別の層を取りにいくのかで、ちょうどよい距離は変わります。フランチャイズに加盟している場合は、加盟契約で出店できるエリアや、近くへの出店についての取り決めがないかを、物件を決める前に本部へ確認してください。本部と加盟店の役割の分け方はフランチャイズ加盟店の採用が本部任せで失敗する理由でも触れています。
私たちが2店舗目を同じエリアで探した理由
私たちの店舗では、同じ業態の2店舗目を考えるとき、あえて別の街ではなく、既存店と同じエリアで物件を探しました。理由は、いま働いているスタッフが長く働き続けられる場所を増やしたかったからです。既存店と行き来できる距離なら、研修も、急な欠員のカバーも、シフトの融通もききます。
物件の条件で考え直したこともあります。私たちの店舗は完全予約制で、集客はWebが中心なので、既存店もビルの2階にあります。予約して来てもらう業態なら、路面や1階にこだわらなくても成り立ちます。そのぶん、候補になる物件の幅が広がります。
また、物件の管理会社やオーナーには、会社の概要、どんな業態のお店か、区画をどう使うか(営業時間、店内の人数、音や匂い、工事の中身など)をまとめた資料を作って出しました。店舗の業態によっては、入居の審査で区画の使い方を確認されることがあります。最初に資料で伝えておくと、話が進めやすくなります。
物件を決める前のチェックリスト
- [ ] 候補の街ごとに、業態名と地名を組み合わせた言葉の検索の量を並べたか
- [ ] 候補地の周りに住む人の数を、同じ条件で比べたか
- [ ] 近くの同じ業態のお店の数、口コミの数、情報の手入れの具合をメモしたか
- [ ] 平日と休日、昼と夜に、実際に候補地を歩いたか
- [ ] 近くの同じ職種の求人の数と条件を見て、人を採れる見通しを立てたか
- [ ] 既存店のスタッフが行き来できる距離か(ドミナントの場合)
- [ ] 既存店とお客さまを取り合いすぎない距離か
- [ ] フランチャイズなら、出店エリアの取り決めを本部に確認したか
まとめ
- 出店場所は「探されているか」「競合がどれだけ強いか」「人を採れるか」の3つで選ぶ。集客と採用の両方が成り立つ場所を探す
- 検索の量と競合のやり込み具合を並べると、ライバルの少ない駅が見えてくる。最後は実際に歩いて確かめる
- 2店舗目以降は、スタッフが行き来できるドミナント出店をまず候補に。近すぎる取り合いと、加盟契約の取り決めには注意する
場所が決まったら、次は開店日から逆算した集客の準備です。新店オープンの集客で、開店前後にやることを順に整理しています。
動画で見る
代表の中野谷が発信している YouTube「店舗運営チャンネル【採用と集客】」から、この記事に関係する回です。
2店舗目の出店エリアを考える代表が、Web集客の専門家と一緒に、検索の量・競合の数・口コミの数を実際に調べながら話しています。
よくある質問
出店場所を選ぶとき、最初に何を調べればよいですか?
その街で自分の業態がどれくらい探されているか(検索の量や人の流れ)と、近くに同じ業態のお店がどれだけあり、どれくらい力を入れているか(口コミの数や情報の更新)を並べて見ます。そのうえで、その場所で働く人を採れるかも確かめます。
ライバルの少ない駅はどう見つければよいですか?
検索の量が多い駅ほど競合も多くなりがちです。検索がそこそこあるのに、同じ業態のお店が少ない、または口コミや写真があまり手入れされていない駅を探します。最後は数字だけで決めず、平日と休日、昼と夜に実際に歩いて確かめます。
ドミナント出店のメリットは何ですか?
店どうしでスタッフが行き来できるので、研修・急な欠員のカバー・シフトの融通がききやすくなります。近くの店の求人から来た人に別の店で働いてもらうこともできるので、採用もしやすくなります。
ドミナント出店のデメリットはありますか?
店どうしの距離が近すぎると、同じお客さまを取り合うことがあります。フランチャイズの場合は、加盟契約で出店できるエリアや近隣への出店について取り決めがないかも、事前に本部へ確認が必要です。