求人広告代理店と採用代行の違い|広告を売る会社と、広告費を減らせと言える会社
この記事の結論
求人広告代理店は求人媒体の広告を販売・運用する会社で、報酬は広告費に連動するのが一般的です。採用代行は採用の実務を請け負う会社で、報酬は業務への対価として決まります。どちらが正しいかではなく、目の前の提案が誰の得になる構造から出ているかを知ったうえで選ぶのが大切です。
求人を出すたびに、代理店の担当者から「もう一段上のプランにしましょう」「掲載期間を延ばしましょう」と提案される。言われるとおりにしてきたけれど、その広告費が本当に効いているのかは、正直よく分からない。採用代行という選択肢も耳にするが、代理店と何が違うのか。この記事は、そんな疑問を持った方に向けて書いています。
先に結論をお伝えすると、求人広告代理店と採用代行のいちばんの違いは、報酬が広告費に連動するかどうかです。そしてこれは、どちらが良い・悪いという話ではありません。私自身、独立する前の約10年間は、求人広告を売る側にいました。だからこそ、両方の仕組みと、それぞれが向いている場面を、できるだけ公平にお伝えします。
求人広告代理店の仕組み: 媒体の商品を売り、運用する会社
求人広告代理店は、求人媒体の広告枠や有料プランを企業に販売し、掲載の手配、原稿づくり、掲載中の運用を担う会社です。媒体社そのものが直接営業している場合もあれば、媒体社と契約した代理店が販売している場合もあります。
報酬の決まり方は大きく2つあります。
- 掲載料型の媒体 — 掲載期間や枠の大きさで料金が決まる媒体を販売し、その販売額に応じて代理店の報酬が決まる
- クリック課金型の媒体 — Indeedの有料掲載のように、求人がクリックされたときに費用が発生する媒体(出典: Indeed「料金・有料オプションでの掲載について」2026年9月確認)の運用を請け負い、広告費に一定の割合を上乗せする形で運用手数料を受け取る
どちらの場合も、共通しているのは「お客さまの広告費が増えると、代理店の報酬も増える」という点です。代理店の担当者がプランの格上げや予算の追加をすすめるのは、担当者の人柄の問題ではありません。仕事の成果が、そういう形で数えられる仕組みになっているということです。
代理店には、はっきりした強みもあります。媒体ごとの商品や審査の決まりに詳しく、枠の手配から掲載開始までが早い。人気の時期の枠を押さえる動きや、媒体社の最新情報を仕入れる力も、代理店ならではです。
私が10年いた側から見えていた構造
私は新卒で大手の求人情報会社に入り、アルバイト向けの求人媒体の営業、営業所の立ち上げ、拠点の所長、アルバイトの紹介事業の立ち上げまで、約10年を求人広告の世界で過ごしました。
求人広告のビジネスには、外からは見えにくい特徴があります。お客さまの採用が決まると、求人の掲載が止まる。掲載が止まれば、売る側の数字はそこで途切れます。
お客さまが「採用できました」と心から喜んでくれる。担当者として、これ以上うれしいことはありません。ところが社内に戻ると、今月の数字が足りていないという話が待っています。お客さまの成功と、自分の会社の目標が、同じ方向を向いていない。その間に挟まれて、自分はいったい何のためにこの仕事をしているのだろうと考えた日が、10年のあいだに何度もありました。
誰かが悪いわけではありません。上司も会社も、決められた仕組みの中で正しく動いているだけです。ただ、その仕組みの上では「採れない状態が続くほうが数字になる」。この構造が、私が独立を決めた理由です。
採用代行の仕組み: 採用の実務を請け負う会社
採用代行は、採用の実務を企業に代わって動かす会社です。媒体選び、求人原稿の作成と改善、掲載の運用、数字の分析といった業務を請け負い、報酬はその業務への対価として決まります。払い方には月額固定・成果報酬・従量課金などがあり、どれが合うかは採用代行(RPO)の費用はどう決まる?料金体系と選び方を参考にしてください。採用代行そのものの全体像は採用代行(RPO)とは?にまとめました。
報酬が業務の対価として決まっていれば、お客さまの広告費が増えても減っても、代行会社の取り分は変わりません。その分、「この求人は広告費をかけなくても出せる」「この媒体は止めて、別の無料の手段に切り替えましょう」といった、広告費を減らす方向の提案もしやすくなります。
ただし、名前が「採用代行」でも、報酬の一部を広告費への上乗せで受け取っている会社はあります。逆に、代理店の中に運用手数料を固定額にしているところがあっても不思議ではありません。見るべきは看板ではなく、報酬がどう決まっているかです。
比較表: 求人広告代理店と採用代行
| 求人広告代理店 | 採用代行 | |
|---|---|---|
| 主な仕事 | 媒体の広告を販売し、掲載と運用を担う | 採用の実務(設計・原稿・運用・分析など)を請け負う |
| 報酬の決まり方 | 販売した広告費に連動するのが一般的 | 業務への対価(月額・成果報酬など)として決まる |
| 提案が向かいやすい方向 | 掲載を強くする、期間を延ばす | 採用1名あたりの費用を下げる |
| 扱う媒体 | 取り扱いのある媒体が中心 | 無料の手段も含め、媒体を横断して選ぶ |
| 強み | 媒体の知識と、掲載までのスピード | 媒体を跨いだ設計と、数字を見た改善の継続 |
| 気をつけたい点 | 広告費を減らす提案が出にくい構造 | 業務範囲が会社ごとに大きく違う |
私たちが「広告費に手数料を乗せない」理由
実は、当社も独立した直後は、店舗ビジネスの求人広告の運用を支援する代理店事業から出発しました。代理店の仕事の価値も、その仕事の上で広告費を減らす提案をすることの難しさも、身をもって知っています。
そのうえで、採用代行のクルスタでは、報酬を月額の支援料だけにしています。お客さまが媒体に払う広告費には、手数料を一切乗せていません。広告費がいくらになっても私たちの報酬は変わらないので、効いていない広告費には「止めましょう」と普通に言えます。
とはいえ、広告費が減るかどうかは、お店によります。もともと求人広告に大きな金額をかけていないお店なら、減らせる額は限られます。そういうお店で確実に変わるのは、原稿を書く、媒体を選ぶ、数字を見て直すといった時間のほうです。また、止めたあとに応募が落ちるようなら、「戻しましょう」とお伝えします。広告を使わないことも、使うことも、それ自体は目的ではないからです。
どちらが向いているか
求人広告代理店が向いているのは、次のような場合です。
- 採用人数と期限がはっきりしていて、使う媒体も決まっている
- 新店オープンなど、短期間で一気に人数をそろえたい
- 社内に、原稿を直したり数字を見たりする担当者がいる
- 媒体の枠や最新の商品情報を、素早く手配してほしい
採用代行が向いているのは、次のような場合です。
- 欠員補充が年間を通じて続き、毎月のように求人を出している
- どの媒体に出すべきか、そもそも有料にすべきかから迷っている
- 社内に、採用の実務へ毎週時間を割ける人がいない
- いまの広告費が効いているかを、数字で説明できない
どちらか一方に決める必要もありません。採用の設計と運用は採用代行に任せ、必要な媒体の手配は代理店を通す、という組み合わせも現実的です。大切なのは、それぞれの提案がどの構造から出ているかを分かったうえで判断することです。
求人広告代理店を選ぶときに確認したい6つのこと
代理店に依頼する場合も、商談で次の6点を確認しておくと、提案の中身を判断しやすくなります。
- 報酬の仕組み — 「御社の報酬は、こちらの広告費が増えると増えますか」と率直に聞く。答え方にその会社の姿勢が出ます
- 広告費と手数料の内訳 — 媒体に実際に届いている広告費と、代理店の手数料を分けて見せてもらえるか。請求書の「広告費」に手数料が含まれていて内訳が見えないこともあります。Indeedの場合の見方はIndeed運用代行・代理店の選び方と費用で解説しています
- 扱える媒体の範囲 — 1つの媒体の商品だけを扱っているのか、複数の媒体や無料の手段まで比べて提案できるのか。無料媒体の使い分けは無料求人媒体の比較が参考になります
- レポートの中身 — その広告を経由した応募が何件あったかを、ほかの経路と分けて出してもらえるか。表示された回数だけの報告では、広告費の効果は判断できません
- 減らす提案をしたことがあるか — 「掲載を止めた、予算を下げた」という提案の経験を聞いてみてください。いつも増やす方向の提案しか出てこないなら、構造がそのまま出ています
- 増額提案の根拠 — 予算を上げる前に、応募が来ていない求人の中身を直す話が出るか
6つ目については、当社の支援先のデータが判断の材料になります。Indeedで有料配信した589求人のうち、49.3%は30日間で応募が0件でした(出典: 当社「店舗採用データ 2026」34社・2026年7月31日〜8月29日頃の30日間。店舗ビジネスを中心とした当社支援先の実績で、市場平均ではありません)。また、33社に届いたIndeedの応募を経路で分けると、有料配信から来たものは約46%にとどまり、半分以上は無料枠からの応募でした(同データ・2026年8月・概数)。
お金をかけても応募まで届いていない求人が半数あり、応募の半分以上は無料枠から来ている。この2つを並べると、予算を足す前に、職種名や原稿、写真といった求人の中身を直す余地が大きいことが分かります。増額の提案を受けたら、「応募が0件の求人は、何を直してから予算を足しますか」と聞いてみてください。予算の決め方そのものはIndeedのクリック単価の仕組みと予算の決め方、有料と無料の使い分けはIndeedの無料掲載と有料掲載の違い・使い分けにまとめています。
採用代行を選ぶ場合も、報酬の構造と業務範囲の確認は同じように大切です。項目の全体は採用代行の契約前チェックリスト15項目、よくあるつまずきは採用代行で失敗する典型パターンと防ぎ方をご覧ください。
まとめ
- 求人広告代理店は媒体の広告を売り、運用する会社。報酬は広告費に連動するのが一般的で、提案が「増やす」方向に寄りやすいのは悪気ではなく構造
- 採用代行は採用の実務を請け負う会社。報酬が業務の対価なら、広告費を減らす提案もしやすい。ただし看板ではなく報酬の決まり方で見る
- 期限と人数と媒体が決まっているなら代理店、通年の欠員補充で媒体選びから迷っているなら採用代行が向く。組み合わせも選択肢
- 代理店を選ぶときは、報酬の仕組み・広告費と手数料の内訳・媒体の範囲・レポートの中身・減らす提案の経験・増額の根拠の6点を確認する
どちらが正しいという話ではありません。ただ、目の前の提案が誰の得になるのかは、知っておいて損はありません。次の一歩として、直近3ヶ月の求人広告費と、その期間に採用できた人数を並べて、採用1名あたりにいくらかかっているかを出してみてください。その数字があれば、代理店とも採用代行とも、同じ物差しで話ができます。
動画で見る
代表の中野谷が発信している YouTube「店舗運営チャンネル【採用と集客】」から、この記事に関係する回です。
求人広告会社で約10年働き、採用が決まると掲載が止まる構造に違和感を持って独立した経緯を代表が話しています。
求人媒体が用意する広告商品を代理店経由で使うときの、手数料のかかり方とレポートの見え方について、広告運用の担当者と話している回です。
よくある質問
求人広告代理店とは何をする会社ですか?
求人媒体の広告枠や有料プランを企業に販売し、掲載の手配や原稿づくり、運用を担う会社です。媒体の商品や審査の決まりに詳しく、掲載までを早く確実に進められるのが強みです。
求人広告代理店と採用代行の一番の違いは何ですか?
報酬の決まり方です。求人広告代理店の報酬は販売した広告費に連動するのが一般的で、採用代行の報酬は任された業務への対価として月額などで決まります。この違いが、提案の向きやすい方向に表れます。
求人広告代理店に頼むメリットはありますか?
あります。採用人数と期限がはっきりしていて、使う媒体も決まっている場合は、媒体に詳しい代理店に任せると早く大きく露出できます。新店オープンのように短期間で人数をそろえたい場面では心強い存在です。
求人広告代理店を選ぶときは何を確認すればよいですか?
報酬の仕組み、媒体に実際に届く広告費と手数料の内訳、扱える媒体の範囲、広告経由の応募数を分けたレポートが出るか、広告費を減らす提案もするか、増額提案の根拠を数字で示せるか、の6点です。