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店長が休職・退職したときの引き継ぎ|店舗を止めない体制の作り方

この記事の結論

店長が急に休職・退職しても店舗を止めないために大事なのは、抜けてから慌てて引き継ぐことではなく、ふだんから店長の仕事を書き出し、お客さま・シフト・お金・連絡の置き場所と、代わりに決める人を決めておくことです。抜けた直後は、代わりの責任者を1人に決め、止めていいことと止めてはいけないことを分けるところから始めます。

店長から「来月で辞めたい」と言われた。あるいは、体調や家庭の事情で、明日から当面休むことになった。店舗を経営していると、どこかで必ず向き合う場面です。

困るのは、店長がいなくなること自体より、店長しか知らないことが一緒に止まってしまうことです。予約の調整、シフトの確定、発注、レジ締め、取引先との連絡。ふだん当たり前に回っていたことが、どこに何があるのか誰も分からない状態になります。

私たちは採用支援の会社であると同時に、リラクゼーションとホワイトニングの店舗を自分たちで運営しています。私たちの店舗でも、店長が担っていた仕事をほかのメンバーで分け合ったことがあります。この記事では、そのときに分かったことをもとに、店長が抜けても店舗を止めない引き継ぎの作り方をまとめます。誰が、なぜ抜けるのかに関係なく使える形にしてあります。

店舗が止まるのは「店長の頭の中」にあるものが止まるから

店長の仕事は、書き出してみると想像以上に広いものです。店舗によって違いますが、たとえば次のようなものがあります。

  • お客さま — 予約の調整、問い合わせやクレームへの対応、常連のお客さまの好みや注意点
  • シフト — 希望の取りまとめ、確定、急な欠勤の穴埋め
  • お金 — レジ締め、両替、売上の報告、発注と在庫
  • 連絡 — 本部や取引先、業者、大家さんとのやりとり
  • 人 — スタッフの相談、新人の研修、求人への応募の対応や面接
  • 集客 — 予約サイトやGoogleマップ、SNSの更新

引き継ぎで厄介なのは、このうち何が抜けているかを、残ったメンバーが自分では気づけないことです。私たちの店舗でも、引き継ぎのときにスタッフへ「聞いておいたほうがいいことはある?」と尋ねても、多くは出てきませんでした。一方で店長の側には、「これはまだスタッフに渡せていない」「これは伝えておかないとまずい」というものがいくつもありました。やっていない側からは、全部回っているように見えるのです。全体像を知っているのが店長だけ、という状態が、店舗が止まる原因の正体です。

ふだんからやる準備: 店長の仕事を棚卸しする

いちばん効く準備は、店長が元気に働いているうちに、店長の仕事を書き出しておくことです。スタッフに聞いても出てこないので、店長本人と一緒にやります。

代表・中野谷のひとこと

業務を棚卸しして、それを引き続き誰がやっていくのかを判断していく。そのうえで、引き継ぎのワークフローと権限を決めていく、という流れです。

書き出すときは、仕事の名前だけでなく、次の項目を表にしておきます。

項目 書くこと
仕事 例: レジ締めと両替の確認、翌月のシフト確定
頻度 毎日・毎週・毎月・年に数回
記録の置き場所 どの管理画面、どのファイル、どのノートにあるか
代わりにできる人 名前ではなく、役割で書いておくと入れ替わりに強い
決めていい範囲 代わりの人が一人で決めてよいこと、相談が要ること

年に数回しか起きない仕事ほど、抜けやすいので注意してください。契約の更新、季節のメニューの切り替え、設備の点検などは、店長自身も手順を覚えていないことがあります。

置き場所を決める: お客さま・シフト・お金・連絡

棚卸しができたら、それぞれの記録を「店長のスマホの中」から「店の決まった場所」に移します。

まず見直したいのが、ログインの持ち方です。予約サイトの管理画面、Googleビジネスプロフィール、店のLINE公式アカウント、Instagram、求人サイトの管理画面などが、店長個人のアカウントやスマホでしか開けない状態になっていないかを確かめます。少なくとも2人が入れるようにし、メンバーごとに権限を分けられるものは分けておきます。私たちの店舗では、店のLINEの管理画面を1つのログインで全員が共用していて、誰がどのお客さまに返信したのかが分からない、ということがありました。誰が対応したかが残る形にしておくと、引き継ぎのときに経緯を追えます。

そのほかは、次のように置き場所を決めておくと迷いません。

  • お客さま — 予約と来店の記録、注意点のメモを、担当が替わっても読める場所に。体に関わる情報など、扱いに気をつける内容は見られる人を絞る
  • シフト — 希望の出し方と締め切り、確定の手順を決めておく。私たちの店舗では、希望は決まった画面で出してもらい、店長が確定してから全員に公開する形にしています
  • お金 — レジ締めと両替のチェックリストは、項目名だけでなく「何をどう見ればよいか」まで書く。項目名だけのチェックリストは、代わりの人が手に取っても動けません
  • 連絡 — 本部や取引先、業者の連絡先と、いつ何をやりとりしているかの一覧

日報の出し方も、入口を1つにしておくと強くなります。私たちの店舗では、日報を決まった雛形に入れると、その文面がそのままスタッフのLINEグループにも届くようにしました。書く習慣は変えずに、記録が1か所に残るようになったので、誰かが抜けても過去の日報をたどれます。

引き継ぎメモの書き方: 期限は日時で、判断の基準まで

引き継ぎのメモで、いちばんずれやすいのが言葉の受け取り方です。代表は会社員時代、上司に「今日中ね」と言われたら、翌朝に上司がパソコンを開く前までに送ればよい、と受け取っていたそうです。同じ「今日中」でも、人によって締め切りが半日近く違うことがあります。

引き継ぎのメモは、次の点を押さえて書きます。

  • 期限は「今日中」「早めに」ではなく、日付と時刻で書く
  • 仕事の名前だけでなく、何をどう見ればよいかを書く(例: 両替は「何円玉が何枚を切ったら、どこで両替するか」)
  • 判断の基準を書く(例: 予約の変更は何日前までなら受けてよいか、どうなったら誰に相談するか)
  • 連絡先と、連絡してよい時間帯を書く
  • 途中で止まっている仕事は、どこまで進んでいて次に何をするかを書く

メモは、受け取る人が一度その手順をやってみてから完成とします。書いた側が分かっていることほど省かれやすいので、やってみて詰まったところを書き足すのがいちばん確実です。

抜けた直後の1週間でやること

準備が間に合わないまま、急に店長が抜けることもあります。その場合は、次の順番で動きます。

  1. 代わりの責任者を1人に決める — 誰が指示を出し、誰が決めるのかが曖昧なままだと、スタッフはそれぞれ別の人に確認し、判断がばらばらになります。暫定でもいいので、1人に預けると決めます
  2. スタッフに「誰に何を聞けばいいか」を伝える — 抜けた理由や本人の事情は話しません。伝えるのは、代わりの責任者、シフトと予約の扱い、困ったときの連絡先です
  3. 止めてはいけないことを先に押さえる — 予約とお客さま対応、シフト、レジとお金まわり、取引先への支払いや発注は止められません。管理画面に入れるか、記録がどこにあるかをこの順で確かめます
  4. 止めていいことを決める — 新しい施策や、新規のお客さまを増やすための広告は、一度止めても構いません。私たちの店舗でも、人がそろうまで集客の広告を止め、体制が整ってから再開したことがあります。人が足りないまま新規のお客さまを増やすと、対応が追いつかずに評判を落とすおそれがあります
  5. シフトに「慣れた人と重なる日」を残す — 誰か1人しか入っていない日に急な欠勤が出ると、その日は店が回りません。慣れたメンバーと重なる日をつくっておくと、何かあってもその人が対応できます
  6. 週1回、短い確認の時間を取る — 困ったこと、悩んでいること、売上の進み具合の3つだけを確かめます。全員で数字と目標を決める月1回のミーティングの進め方は店舗の月1ミーティングの進め方にまとめています

不在が長引くときは「大半が回っていればいい」をやめる

店長の不在が長引きそうなときに気をつけたいのが、「いつもの大半が回っていれば何とかなる」という考え方です。1ヶ月なら持ちこたえられても、2ヶ月、3ヶ月と続くと、手が回らなかった残りの仕事が少しずつ積み重なっていきます。気づいたときには、取り戻すのに大きな手間がかかる量になっています。

不在が長引くと分かった時点で、仕事の配り直しと、人の手当てを考えます。

  • 棚卸しの表をもとに、代わりの人が抱えている仕事を見直し、本来の仕事と両立できているかを確かめる
  • 代わりの責任者に任せる範囲と、店長の役割を正式に引き継ぐのかどうかを決める
  • 足りない分は、シフトの組み直しや採用で埋める

次の店長を内部から育てるのか、外から採るのかを考えるときは、店長が採用まで抱え込まない形にしておくことも大切です。採用がうまい店長の習慣と、それを店の仕組みにする考え方は採用がうまい店長がやっていることに、複数店舗で店長の個人技を型にする手順は多店舗展開の店舗採用を仕組み化する方法にまとめています。

個人の事情は、引き継ぎの話と切り分ける

最後に、抜ける本人への配慮です。休職や退職の理由、体調、家庭の事情は、本人の了解なくほかのスタッフに広げないのが基本です。引き継ぎで共有するのは、仕事の中身と置き場所、判断する人だけに絞ります。

本人と話すときも、引き継ぎの話と、本人の今後の話は分けて扱います。引き継ぎのために本人に確認したいことは、短く、まとめて聞きます。戻ってくる可能性があるなら、戻る場所があることが伝わるように、仕事の配り方も一時的なものとして説明しておきます。

まとめ

  • 店舗が止まるのは、店長の頭の中にしかない仕事が止まるから。ふだんから店長本人と一緒に仕事を棚卸しし、頻度・置き場所・代わりにできる人・決めていい範囲を表にしておく
  • ログインは店長個人のものにしない。引き継ぎメモは期限を日時で書き、何をどう見るか、判断の基準まで書く
  • 抜けた直後は、代わりの責任者を1人に決め、止めてはいけないことと止めていいことを分ける。不在が長引くなら、配り直しと採用まで考える

最初の一歩は、今週のうちに店長と30分だけ時間を取り、店長しか知らない仕事を5つ書き出してもらうことです。それだけでも、もしものときに止まる場所がかなり見えてきます。

よくある質問

店長が辞めるとき、引き継ぎは何から始めればよいですか?

店長がふだんやっている仕事を、本人と一緒に書き出すところからです。スタッフに聞くだけでは、店長しか知らない仕事は出てきません。仕事ごとに、頻度、記録の置き場所、代わりにできる人、その人が決めていい範囲を表にします。

店長が急に休むことになり、引き継ぎができませんでした。どうすればよいですか?

まず代わりの責任者を1人に決め、スタッフに「何を誰に聞けばいいか」だけを伝えます。そのうえで、予約やお客さま対応、シフト、レジやお金まわりのように止めると困る仕事から順に、管理画面や記録の場所を確かめていきます。新しい施策や広告は、体制が整うまで一度止めても構いません。

引き継ぎのメモには何を書けばよいですか?

仕事の名前だけでなく、何をどう見ればよいか、どうなったら誰に相談するか、期限はいつかを書きます。「今日中」「早めに」のような言葉は人によって受け取り方が違うので、日付と時刻で書くのが安全です。

店長が抜けたことを、ほかのスタッフにどう伝えればよいですか?

休む理由や体調など、本人の事情は話さないのが基本です。伝えるのは、誰が代わりに判断するのか、シフトや予約はどうなるのか、困ったときに誰に聞けばよいのか、の3つです。不安が出やすいところに先回りして答えると、現場が落ち着きます。

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