採用代行は何名規模の会社から使えるか
この記事の結論
採用代行は従業員数十名の会社や数店舗の事業者でも使えます。判断軸は従業員数ではなく「年間に何名採るか」と「その採用に誰の時間がどれだけ取られているか」で、採用が常に発生していて店長や社長の時間が削られているなら、規模が小さくても使う意味があります。
「採用代行って、人事部があるような会社が使うものですよね」。商談の最初に、こう言われることがよくあります。たしかに目立つのは大企業の導入事例ですが、私たちに相談をくださるのは、個人経営のお店から数店舗〜数十店舗の事業者までが中心です。規模で線を引く必要はありません。見るべきは「年間で何名採るか」と「その採用に誰の時間がどれだけ取られているか」の2つです。この記事では、自社が使うべき段階に来ているかを判定する考え方を、規模別の使い方とあわせて整理します。
従業員数は判断軸にならない
従業員数が軸にならない理由は単純で、採用の負荷は会社の大きさではなく、人の入れ替わりと事業の伸びるスピードで決まるからです。
従業員100名の会社でも、定着がよく年間の採用が2名なら、採用の仕事はほとんど発生しません。反対に従業員20名の店舗事業者でも、アルバイトが入れ替わって年間15名を採っているなら、採用は毎月どこかで動いている常設の仕事です。採用代行が必要なのは、明らかに後者のほうです。
自社を判定するときは、次の2つを書き出してみてください。
- 直近1年で何名採用したか、そして今後1年で何名必要になりそうか
- その採用に、誰が、月に何時間使っているか
採用人数から、かかっている時間を見積もる
採用にどれだけ手がかかっているかは、採用人数からおおよそ見積もれます。応募が来ても全員と連絡がつくわけではなく、面接を予約しても来ない人がいて、内定を出しても辞退する人がいます。そのため、1名を採るには、その何倍もの応募に対応することになります。自社で1名採るまでに何件の応募があったかは、過去の応募と採用の記録を数えれば出ます。
ここに仮の数字を入れてみます(計算の手順を示すための仮定です)。1名採るのに応募10件、年間12名を採るなら、年間120件の応募に対応することになります。応募1件ごとに、最初の連絡、つながらないときの追いかけ、日程の調整、前日のリマインドで合わせて30分かかるとすると、それだけで年間60時間です。しかもこの数字には、求人原稿を作る時間も、媒体の管理画面を見る時間も、面接そのものの時間も入っていません。
自社の数字で計算してみると、多くの会社が「思っていたより時間を使っている」ことに気づきます。そして、その時間を使っているのはたいてい店長や現場の責任者です。店長は店舗運営のプロであっても、採用の専門家とは限りません。採用に手が回らずに人が足りなくなれば、店の運営に響き、売上が下がり、ますます採用に時間とお金をかけられなくなる。この悪循環が始まっていないかが、いちばんの判断ポイントです。
規模・状況別の使い方
規模によって、任せるべき範囲は変わります。
| 状況 | 採用の実態 | 相性の良い使い方 |
|---|---|---|
| 1〜2店舗・小規模事業者 | 欠員が出たときだけ採用。年に数名 | 求人原稿と媒体の設計だけを部分的に依頼。応募者対応は自社で回す |
| 3〜10店舗・成長期 | いつもどこかの店舗で募集している | 媒体の運用と応募者対応まで任せる。店長の時間を店に戻すのが主な目的 |
| 多店舗・FC本部 | 複数のブランドやエリアで同時に募集 | 全店の数字をまとめて見て、採用単価の高い店舗から手を入れる |
| 単発の専門職採用 | 年1〜2名、資格職や管理職 | 採用代行より人材紹介やスカウトのほうが噛み合う場合が多い |
私たちがいちばんお役に立てると感じるのは、社長や店長がこれまで自分で採用をしてきて、ここから店を増やしたいので採用を手放したい、という会社です。人事部を置くほどの規模ではないけれど、採用の仕事は毎週ある。そういう会社にとって採用代行は、週に何日か来てくれる採用担当者が1人増えたようなものだと考えていただくと分かりやすいと思います。
年に1〜2名しか採らない場合は、月額で継続的に任せるより、原稿制作や媒体設計だけをスポットで依頼するほうが費用対効果は合いやすくなります。専門職を単発で採るなら、採用代行と人材紹介の向き不向きを比べた採用代行と人材紹介の違い(費用と向き不向き)も参考にしてください。任せられる業務の範囲は採用代行はどこまでやってくれる?業務範囲と外注の判断基準で整理しています。規模や採用の頻度に合うタイプの選び方は採用代行のおすすめの選び方と比較にまとめました。
費用に見合うかを計算してみる
判断を数字にしてみましょう。仮に、店長が採用の仕事に月10時間使っているとします。その10時間を店の運営に使えたら生まれていた売上や利益を考えると、採用代行の費用と同じ土俵で比べられるようになります。
さらに見落とされがちなのが、採用が遅れることの損失です。店舗ビジネスでは、1人足りない状態が続くと、いまいるスタッフの負担が増え、シフトが埋まらず、最悪の場合は営業時間を短くすることになります。人が採れないことによる機会損失は、採用にかかる費用より大きくなることが珍しくありません。
比べるべきは「採用代行の費用」と「採用できない・遅れることの損失+現場が採用に使っている時間」です。こう並べると、規模の小さい会社ほど1人の欠員が重いぶん、判断が変わることがあります。費用の決まり方そのものは採用代行(RPO)の費用はどう決まる?料金体系と選び方にまとめています。
小規模でも効果が出るケース・出にくいケース
最後に、率直な線引きを共有します。
効果が出やすいのは、次のような会社です。
- 求人を出しているのに応募が来ない、または応募後の対応が追いつかずに取りこぼしている
- 採用が何度も発生していて、そのたびに一から求人を作り直している
- 媒体の管理画面をほとんど見ていない(数字を見れば直せるところが多く残っている)
一方、効果が出にくいのは次のようなケースです。
- 給与や勤務条件が地域の相場から大きく外れていて、条件を見直すつもりがない
- 採りたい人物像が決まっておらず、判断のたびに求める人が変わる
- 現場の写真や仕事の実態を共有する時間が取れない
採用代行は、応募を集めて、応募から採用までの取りこぼしを減らす手段です。条件そのものの不利をひっくり返せるわけではありません。私たちも、できないことはできないと最初にお伝えするようにしています。そのほうが、お互いに遠回りをせずに済みます。
まとめ
- 判断軸は従業員数ではなく「年間の採用人数」と「採用に取られている時間」
- 採用人数から応募対応の時間を見積もると、店長や社長の時間がどれだけ採用に使われているかが見える
- 小規模でも部分的な依頼から使える。ただし条件面の不利や現場情報の不足は、代行では埋まらない
次の一歩は、直近1年の採用人数と、採用に関わった人が月に何時間使っているかを、ざっくり書き出すことです。この2つの数字が出れば、外に任せるか自社で回すかの判断はほぼつきます。
動画で見る
代表の中野谷が発信している YouTube「店舗運営チャンネル【採用と集客】」から、この記事に関係する回です。
「規模・状況別の使い方」に関係する、人事部のない店舗事業者が採用代行をどう使うか、どんな会社に合うかを代表が話している回です。
よくある質問
従業員が少ない会社でも採用代行は使えますか?
使えます。判断軸は従業員数ではなく、年間の採用人数と、採用に取られている時間です。アルバイトの入れ替わりが多い店舗事業者は、従業員が少なくても採用が常設業務になっていることがあります。
年に1〜2名しか採用しない場合はどうすればよいですか?
月額で継続的に任せるより、求人原稿や媒体の設計だけを部分的に依頼するほうが合いやすいです。資格職や管理職を単発で採る場合は、人材紹介やスカウトのほうが噛み合うこともあります。
採用代行の費用が見合うかはどう判断しますか?
採用代行の費用と、「店長や社長が採用に使っている時間」と「人が採れないことによる損失(シフトが埋まらない、営業時間を縮めるなど)」を並べて比べます。規模が小さい会社ほど1人の欠員の影響が大きい点も考慮してください。
採用代行を使っても効果が出にくいのはどんな場合ですか?
給与や勤務条件が地域の相場から大きく外れていて見直すつもりがない場合、採りたい人物像が決まっていない場合、現場の写真や仕事の実態を共有する時間が取れない場合です。