閑散期の店舗運営|売上が落ちる月にやること(集客・シフト・採用)
この記事の結論
店舗の閑散期は、広告を積んで売上を繁忙期並みに戻そうとするより、通ってくださっているお客さまとのつながりを保ち、シフトは確定する前に調整し、空いた時間を研修やマニュアルの見直し、発信の準備、次の繁忙期に向けた採用に使う時期と考えると乗り切りやすくなります。まず去年の数字で、自分の店の閑散期がいつなのかを確かめます。
予約表に空きが目立つ。スタッフは出勤しているのに、待っている時間のほうが長い。毎年この時期になると売上が落ちて、つい広告を足すか、値下げをするかで悩む。閑散期の過ごし方は、店舗の経営者にとって毎年の悩みです。
私たちも自分たちでサロンを運営していて、予約の少ない時期には同じように悩んできました。そのうえでいま考えているのは、閑散期は売上を取り返す時期というより、次の繁忙期に向けて店を整える時期だ、ということです。この記事では、閑散期にやることを集客・シフト・採用に分けてまとめ、最後に避けたいことも挙げます。
閑散期がいつかは、自分の店の数字で決める
閑散期は業種によって違います。お客さまの動きは、季節、天気、学校や会社の行事、連休の並びなどで変わります。同じ業種でも、立地やお客さまの層で波の形は違います。だから「この業種は何月が暇」という一般論より、自分の店の数字で確かめるのが先です。
去年の月ごと・曜日ごとの売上、予約の数、新規のお客さまの数を並べてみてください。売上が落ちている月が、予約が少ないから落ちているのか、出勤できる人が少なくて予約を受けきれていないのかも分けて見ます。前者なら集客の打ち手、後者は人の配置の話で、やることがまったく違うからです。
去年の記録が手元にない店は、まず今年の月ごとの数字を残すところから始めてください。1年分そろえば、来年の閑散期はいつ来るかを前もって知ることができます。
考え方: 取れない時期に、広告で取り返そうとしない
閑散期に売上が落ちると、広告費を足して繁忙期並みに戻したくなります。ただ、お客さまがそもそも動かない時期に広告を積んでも、取れる数には限りがあります。
代表・中野谷のひとこと
僕もホワイトニングをやっていて、取れない時期にちょっと広告費をかけて、取れる時期と同じぐらいまで頑張る、という考えも1個あるかなと思っていたんです。でも、取れない時にどんなに頑張っても無理だよね、取れる時にどれだけ取れるかだよね、というのは分かりやすかったです。
(YouTube「【今すぐできる】広告費を無駄にしない新年度に合わせた最適な集客の戦い方」より)
私たちも、広告費は毎月同じ額で考えるより、お客さまが動く時期に厚く、閑散期は絞る、という年間の配分で考えるほうがよいと考えています。閑散期に新規のお客さまを無理に集めるより、繁忙期に来てくださった方に次も来ていただける形をつくっておくほうが、1年を通した売上は安定します。
集客: 新しいお客さまより、いまのお客さまとのつながり
閑散期の集客で力を入れたいのは、通ってくださっているお客さまです。
- 来店したお客さまに、次の来店の目安と、空いている日時をその場で伝える
- しばらく来ていないお客さまに、LINEなどで季節の案内を送る。送る回数は絞り、売り込みだけの連絡にしない
- 閑散期は予約が取りやすいことを、いまのお客さまに知らせる。「混んでいて予約が取れない」と思われていることもあります
LINE公式アカウントでの連絡の考え方は店舗のLINE公式アカウント活用で紹介しています。
閑散期は、新しい打ち手を試すのにも向いています。お客さまの数が少ないぶん、何が効いたかを見やすいからです。代表の中野谷は、予約サイトから来るお客さまが少ないときには、いま出している案内そのものが弱いのではないかと疑い、周りの店と条件を一度そろえてみて、期限を決めて結果を見ることを勧めています。
試すときは、期限と、何の数字で判断するかを先に決めておきます。予約サイトのクーポンを変えるなら、その期間の新規の数と、そのうち次の予約まで進んだ人の数を見ます。
値引きの見せ方には注意してください。消費者庁は、比べる価格として「通常価格」を並べる場合、最近相当期間にわたって実際に販売されていた価格でなければ、不当表示に当たるおそれがあるとしています(出典: 消費者庁「二重価格表示」2026年10月確認)。実際にはその価格で売っていない「通常価格」から大きく値引きしたように見せる案内は避けます。表示の注意は店舗の客単価を上げる方法でも詳しく書いています。
シフト: 当日に減らさず、確定する前に調整する
閑散期にいちばん気をつけたいのが、当日のシフトの減らし方です。予約が入らないからといって、出勤しているスタッフに「今日は早く上がって」とお願いすると、休業手当の支払いが必要になる場合があります。考え方と根拠は店舗の人件費の考え方で解説しています。人件費の調整は、予約の見込みを見て、シフトを確定する前に行います。
閑散期は、スタッフに休みを取ってもらいやすい時期でもあります。年次有給休暇は本来スタッフが希望する時季に取るものですが、法定の付与日数が10日以上の人には、年5日を確実に取得させることが使用者の義務になっています(出典: 厚生労働省 働き方改革特設サイト「年次有給休暇の時季指定」)。また、労使協定を結べば、付与日数のうち5日を除いた残りの日数を、計画的に割り振る制度もあります(出典: 厚生労働省 年次有給休暇取得促進特設サイト「事業主の方へ」2026年10月確認)。閑散期の月に休みを取りやすくしておくと、繁忙期に人をそろえやすくなります。どう割り振るかは、スタッフの意見を聞いて決めてください。
空いた時間にやることを、先に決めておく
閑散期は、予約と予約のあいだの時間が空きます。この時間に何をするかを決めていないと、スタッフは待っているだけになり、出勤している意味を感じにくくなります。
代表・中野谷のひとこと
行動っていうのは、たとえばお客さんの対応数とか、ブログの更新数とか。要は、暇な時間にちゃんとやることをやっているな、というのも、それはそれで1つの行動じゃん。
空いた時間にやることの例は、次のとおりです。
- 研修 — 新しいメニューや技術の練習、接客の練習
- マニュアルの見直し — 新人が来る前に、手順書を最新にしておく
- 発信の準備 — ブログやSNSの投稿を撮りためる、予約サイトの写真やメニューの説明を見直す
- 店の手入れ — 掃除、備品と在庫の確認、季節の入れ替え
私たちは、空いた時間に何をするかは、上から割り振るより、スタッフ自身に考えて決めてもらうほうがいいと考えています。自分で決めたことのほうが続きますし、閑散期の行動目標として、月1回のミーティングで振り返ることもできます。
採用: 閑散期は、次の繁忙期に向けて採って育てる時期
閑散期は、採用と研修を進めるのにも向いています。忙しい時期に入ってから新しい人を迎えても、教える側に余裕がなく、新人が置いていかれがちです。私たちの店舗でも、繁忙期から逆算して採用と研修の時期を決めるようにしています。
閑散期のうちに採用して研修を終えておけば、繁忙期には一人で店に立てる状態で迎えられます。逆に、閑散期だからと求人をすべて止めてしまうと、繁忙期の直前に慌てて採ることになります。年末年始に向けた採用の時期の考え方は年末年始・繁忙期に向けた店舗運営の準備で解説しています。
閑散期に避けたいこと
- 当日のシフトを店の都合で減らす
- 求人をすべて止めて、繁忙期の直前に慌てて採る
- いまのお客さまにまで大きな値引きを広げる。値引きがないと来ない、という流れをつくってしまうことがあります
- 根拠のない「今だけ」「通常価格から大幅値引き」の表示
まとめ
- 閑散期がいつかは、業種の一般論より自分の店の数字で確かめる。予約が少ないのか、人が足りないのかも分けて見る
- 取れない時期に広告で取り返そうとしない。広告費は年間で配分し、閑散期はいまのお客さまとのつながりを保つ。新しい打ち手は期限と見る数字を決めて試す
- シフトは確定前に調整し、当日に減らさない。有給休暇を取りやすくする工夫も閑散期に向いている
- 空いた時間にやることを先に決め、研修・マニュアル・発信の準備と、次の繁忙期に向けた採用に使う
まずは、去年の月ごとの売上と予約の数を並べて、来る閑散期がいつかを確かめてください。いつ来るかが分かれば、その前の月から準備を始められます。
動画で見る
代表の中野谷が発信している YouTube「店舗運営チャンネル【採用と集客】」から、この記事に関係する回です。
お客さまが動く時期と動かない時期の波に合わせて、取れる時期に新規を取り、動かない時期はリピーターで支える考え方を話している回です(解説は共演者のWeb集客の専門家。代表は自分の店の経験から感想を話しています)。
よくある質問
店舗の閑散期には何をすればよいですか?
通ってくださっているお客さまへの連絡と次回予約、確定前のシフト調整、空いた時間での研修やマニュアルの見直し、発信の準備、次の繁忙期に向けた採用です。売上を無理に繁忙期並みに戻すより、次の山に向けて準備する時期と考えます。
閑散期に広告費を増やすべきですか?
お客さまが動かない月に広告を積んでも、取れる数には限りがあります。広告費は毎月同じ額にせず、お客さまが動く時期に厚くし、閑散期は絞って、いまのお客さまに支えてもらう、という年間の配分で考えるのが基本です。
暇な日に、出勤しているスタッフを早く帰らせてもよいですか?
確定したシフトを店の都合で当日減らすと、休業手当の支払いが必要になる場合があります。人件費の調整は、予約の見込みを見てシフトを確定する前に行い、確定後に変えるときはスタッフと合意したうえで行います。
閑散期に有給休暇を取ってもらってもよいですか?
有給休暇は、本来スタッフが希望する時季に取るものです。そのうえで、年10日以上の有給休暇がある人には年5日を確実に取得させる義務があり、労使協定を結べば5日を超える部分を計画的に割り振る制度もあります。閑散期に休みを取りやすくする工夫として使えます。