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店舗の客単価を上げる方法|押し売りにしないメニューと声かけ

この記事の結論

店舗の客単価は、声かけで売り込むより、お客さまが選びやすいメニューの並びと、その日の会話から出た希望に合う提案、通ってくださっている方への店販の案内で上がります。スタッフ一人ひとりに販売のノルマを置かず店全体の行動目標にし、上のメニューは全員が案内できるよう順番に研修します。価格や効果の書き方は景品表示法に沿って決めます。

新しいお客さまを増やすには、広告やクーポンにお金がかかります。だから、来てくださったお客さま1人あたりの売上、つまり客単価を上げたい。そう考えて声かけを始めたものの、スタッフが「売り込みみたいで嫌だ」と感じてしまい、続かなかった。サロンや店舗を運営していると、よくぶつかる壁です。

私たちも、リラクゼーションサロンとホワイトニングサロンを運営しながら、同じ壁に何度も向き合ってきました。そのうえで考えているのは、客単価は声かけの強さではなく、メニューの組み立てと、お客さまの希望の拾い方で上がる、ということです。この記事では、客単価の見方から、押し売りにしない声かけ、スタッフの負担を減らす仕組み、表示の注意までをまとめます。

客単価は「1回の単価」と「時間あたり」の両方で見る

客単価は、売上を来店したお客さまの数で割った、1人あたりの売上です。上げる方法は大きく4つあります。

方法 例
上のメニュー・長いコース 時間の長いコース、技術の要るメニュー
追加メニュー その日の悩みに合わせた部位の追加、延長
店販 お店でも使っているケア用品の販売
価格の見直し メニューの価格そのものを改める

ここで気をつけたいのが、席と時間に限りがある店では、客単価だけを見ていると判断を誤ることです。

代表・中野谷のひとこと

長い時間のコース化はできていて、1回の施術の単価は上がっているんですけど、10分あたりの単価って、あまり変わっていなくて。なので、組み方を変えなくても、新規の数が増えていれば、既存のお客さんが多ければ、全然問題ないんです。

長いコースが増えると、客単価は上がります。けれど、席が長く埋まるぶん、その日に受けられるお客さまの数は減ります。時間あたりの売上が変わっていなければ、売上全体はほとんど動きません。客単価を上げる打ち手を考えるときは、時間あたりの売上が上がるのか、それとも同じ時間で受けられる人数が減るだけなのかを、必ず並べて見てください。席・人・時間から売上の上限を出す考え方は店舗の売上目標の立て方で紹介しています。

時間あたりで見ると、店販や短い追加メニューは、席を長く使わずに単価を上げられる打ち手だと分かります。

押し売りに聞こえる声かけ、聞こえない声かけ

同じ商品をすすめても、押し売りに聞こえるかどうかは伝え方で決まります。

押し売りに聞こえやすい 聞こえにくい
毎回、誰にでも同じ商品をすすめる 会話で出た悩みや希望に合わせて、選択肢を1つだけ伝える
「今日だけ」「いま決めないと」と急がせる 価格と内容を先に見せて、決めるのはお客さまに任せる
断られたあとも、言い方を変えて続ける 一度断られたら追わず、「気になったらいつでも」で終える
効果を言い切る その日の様子と、気になった点を、見たままに伝える

声かけの材料は、施術や接客のあいだの会話にあります。私たちの店舗のミーティングでも、お客さまから「もっとゆっくりしたい」「オイルが好き」といった声があったらメモしておき、合うメニューができたときに最初にご案内しよう、と話しています。その場で売ろうとしなくても、お客さまが自分で言った希望に合わせた案内なら、押し売りには聞こえません。

次の来店の目安を伝える声かけの考え方は、サロンの次回予約率・リピート率を上げるでも書いています。

スタッフが「売る」ことを苦手に感じるとき

声かけが続かない理由の多くは、スタッフの気持ちの側にあります。

代表・中野谷のひとこと

美容系って、施術者としてのイメージが強いじゃないですか。けど、一番大切なのって、僕たちのホワイトニングもそうですけど、セールスの部分なんです。ただ、お金の話をするのが苦手な人は一定数いて、無理やり払ってもらっている気分になっちゃう、という話が出て離れてしまう人もいます。

(YouTube「【これが真実】脱毛業界の闇に迫る!スタッフが定着しない苦しい業界事情とは?」より)

私たちは、ここに次の3つで手を打っています。

1つ目は、個人にノルマを置かないことです。店販の本数や次回予約は、店全体の行動目標にしてみんなで追います。売るのが得意な人と苦手な人がいても、店として目標に届けばいい、という形にすると、苦手な人が追い詰められません。行動目標の置き方は売上目標の記事で詳しく書いています。

2つ目は、言い方を一緒に用意することです。「おすすめしてね」と言うだけでは、何をどう言えばいいか分かりません。悩みごとに、最初の一言を決めておきます。

3つ目は、何を一番大事にするかをそろえておくことです。代表の中野谷は、店で何を大事にするかと問われたら、お客さまの満足が上がっているかを置く、と話しています。その場の売上だけを追うと、お客さまの満足を下げる対応まで正解に見えてしまうからです。満足を基準に置けば、スタッフは「売る」ではなく「合うものを伝える」と考えられます。

上のメニューは、全員が案内できるように順番に研修する

上のメニューを案内できる人が一部のスタッフだけだと、その人の予約が埋まったところで頭打ちになります。客単価を上げたい時期が来る前に、全員が案内できる状態をつくっておくのが理想です。

その際、研修を始める順番には気を配ります。代表の中野谷は、上のメニューの研修を始める人と始めない人に分かれると、「次の段階に進んでいいと言われた人」と「言われていない人」になってしまい、気持ちが下がりやすいと話しています。私たちの店舗では、上のメニューの研修は、誰から、いつ頃までに、という順番を決め、差がついたと感じさせない進め方にしています。また代表は、新しい技術は手への負担もあるので、短い時間ずつ練習し、難しそうならいったん止める進め方を勧めています。

店販は、通ってくださっているお客さまから

店販は、初めて来た方に勧めるより、何度か来てくださっている方に案内するほうが自然です。店のことを信頼してくださっていて、家でのケアにも関心を持ってくださっていることが多いからです。私たちの店舗でも、ケア用品の声かけは、リピーターのお客さまを中心にしています。

  • 施術で実際に使っているものを、その場で見て、触ってもらう
  • 売るより先に、家での使い方を伝える
  • 商品が見える場所に置く。照明が暗い店は、棚の位置や見せ方を工夫する
  • 在庫を切らさない。欲しいと言われたときにないのが、いちばんの機会損失

価格と効果の書き方: 景品表示法に気をつける

メニュー表や予約サイト、チラシに価格や効果を書くときは、景品表示法に気をつけます。

価格では、実際より著しく有利だとお客さまに誤認される表示が禁止されています。故意でなく誤って表示した場合も対象です(出典: 消費者庁「有利誤認とは」景品表示法第5条第2号)。よく問題になるのが二重価格です。比べる価格として「通常価格」を並べるなら、それが最近相当期間にわたって実際に販売されていた価格でなければ、不当表示に当たるおそれがあります(出典: 消費者庁「二重価格表示」2026年10月確認)。

効果では、実際より著しく優良だと示す表示が禁止されています。消費者庁は、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、提出できなければ不当表示とみなされます(出典: 消費者庁「優良誤認とは」景品表示法第5条第1号・第7条第2項)。施術やケア用品について「必ず」「〇回で変わる」と言い切る書き方は避けてください。クーポンの価格や並べ方の考え方はホットペッパービューティーのクーポンの作り方で解説しています。

まとめ

  • 客単価は、1回の単価だけでなく時間あたりの売上と並べて見る。長いコースで客単価が上がっても、時間あたりが同じなら売上は動かない
  • 押し売りにしないコツは、会話から出た希望に合わせて選択肢を1つ伝え、価格を先に見せ、決めるのはお客さまに任せること
  • 個人にノルマを置かず店全体の行動目標にし、言い方を用意し、お客さまの満足を基準にそろえる。上のメニューは全員が案内できるよう順番に研修する
  • 店販は通ってくださる方から。価格と効果の表示は景品表示法に沿って、根拠のある書き方にする

まずは、いまの客単価と時間あたりの売上を、メニューごとに並べてみてください。どこを伸ばせば売上全体が動くのかが見えてきます。

よくある質問

客単価を上げるには、何から始めればよいですか?

まず、いまの客単価と、時間あたりの売上を分けて確かめます。そのうえで、メニューの並びを選びやすくする、会話から出た希望に合う追加メニューを1つ案内する、通ってくださっている方に店販を案内する、の順で試します。

押し売りにならない声かけのコツは何ですか?

お客さまが話してくれた悩みや希望に合わせて選択肢を1つ伝え、価格と内容を先に見せ、決めるのはお客さまに任せることです。一度断られたら追わず、気になったときにいつでも声をかけてください、と伝えて終わります。

スタッフ一人ひとりに販売の目標を置くべきですか?

個人に強い目標を置くと、お金の話が苦手な人ほど負担になり、押し売りにもつながりやすくなります。私たちは、店販の本数などを店全体の行動目標にして、みんなで追う形をおすすめしています。

「通常価格から〇割引」と書いてもよいですか?

比べる「通常価格」が、最近相当期間にわたって実際に販売していた価格でなければ、景品表示法の不当表示に当たるおそれがあります。実際にはその価格で売っていない額を通常価格として並べる書き方は避けてください。

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