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時短勤務・短時間シフトでスタッフ不足を乗り切る|店舗の働き方の選択肢

この記事の結論

店舗のスタッフ不足は、フルタイムで働ける人を探すより先に、短い時間なら働ける人を戦力にする働き方を用意すると乗り切りやすくなります。今いる人が辞めずに残れ、求人の母数も広がるからです。選択肢は時短の正社員、週4日の正社員、時間帯を区切ったアルバイトなどで、賃金を時間に応じて決めることと、短時間でも回る仕事の切り出しと引き継ぎを先に整えることが要になります。

人が足りないとき、真っ先に考えるのは「フルで入れる人を、もう1人採ろう」です。ところが、その1人がなかなか来ない。そのあいだに今いるスタッフの負担が増え、家庭や体調、学業の事情で「今の時間では続けられない」という人が出てくる。選択肢がフルで働くか辞めるかの2つしかない店では、ここで人がまた1人減ります。

私たちの店舗でも、週5日で入っていたスタッフが続けて抜けることになり、残るのは週1〜2日のアルバイトだけ、という状況になりかけたことがあります。少ない日数で入れる人がいても、店の中心になって回せる人がいないと、予約の枠を開けられません。この経験から、人手不足は「人数」ではなく「どの時間帯に、どんな働き方の人がいるか」の組み合わせで考えるようになりました。

この記事では、時短勤務や短時間のシフトを使ってスタッフ不足を乗り切るための、店舗の働き方の選択肢と、決めておくべきことを整理します。

短い働き方が人手不足に効く3つの理由

1つ目は、今いる人が辞めずに残れることです。フルタイムでは続けられなくなった人も、時間や日数を減らせば続けられることがあります。仕事を覚えた人が残ってくれる価値は、新しく1人採る手間と比べるとよく分かります。

2つ目は、求人の母数が広がることです。フルタイムでは働けないけれど、短い時間なら働きたいという人は少なくありません。

代表・中野谷のひとこと

週4とか時短というのは、人の面でもかなりプラスになっているので、めちゃめちゃいいと思います。しかも、そういう求人って集めやすかったりするんです。

3つ目は、忙しい時間帯にだけ人を厚くできることです。店舗の忙しさは時間帯で大きく違います。全員がフルタイムだと、暇な時間にも人が余り、忙しい時間には足りない、ということが起きます。短い時間の人をピークに合わせて入れると、同じ人件費でも店の回り方が変わります。

店舗で使える働き方の選択肢

フルタイムとアルバイトの間には、いくつもの形があります。

働き方 中身 向いている人 決めておくこと
時短の正社員 1日の勤務時間を短くする 育児・介護・通院がある人、通勤が長い人 時間あたりの賃金の決め方、任せる役割
週4日の正社員 勤務日数を減らす 休みを増やしたい人、学びや副業と両立したい人 繁忙期に日数を増やせるかどうか
時間帯を区切ったアルバイト・パート ランチだけ、開店準備だけ、夕方だけなど 家庭や学校の予定がある人 担当する仕事の範囲と引き継ぎ
繁忙期だけ増やす約束 普段は短く、忙しい時期は相談のうえ増やす もう少し働きたい気持ちがある人 増やす時期と、断ってもよいこと
仕事の場所や中身を変える 店舗の仕事から事務や在宅の仕事へ移る 体力や家庭の事情で店に立ち続けるのが難しい人 お試しの期間と、戻れるかどうか

最後の「仕事の場所や中身を変える」は、私たちが自社で取り入れている形です。ライフステージが変わっても働き続けられるように、店舗で身につけた知識を生かして事務や在宅の仕事に移れる道をつくっています。いきなり異動を決めるのではなく、まずお試しの期間を設けて、本人と店の両方が合うかを確かめます。

子育て中の社員の短時間勤務は、法律で決まっている

短い働き方の中には、法律で事業主の義務になっているものもあります。

育児・介護休業法では、3歳に満たない子を養育する労働者について、1日の所定労働時間を原則6時間とする短時間勤務制度を講じなければならないとされています(出典: 厚生労働省 育児休業制度特設サイト「短時間勤務等の措置」2026年10月確認)。継続して雇用された期間が1年未満の人や、週の所定労働日数が2日以下の人などは、労使協定で対象から外すことができます。

さらに2025年10月1日からは、3歳から小学校に入るまでの子を養育する労働者について、事業主は「始業時刻の変更」「テレワーク等」「保育施設の設置運営等」「養育両立支援休暇の付与」「短時間勤務制度」の5つから2つ以上を選んで講じることになりました(出典: 厚生労働省「柔軟な働き方を実現するための措置」2026年10月確認)。

店舗にとって大事なのは、これを「義務だから仕方なく」ではなく、もともと必要だった制度として設計することです。子育てのための短時間勤務の形が決まっていれば、介護や通院、学び直しといったほかの事情にも、同じ考え方で広げられます。

賃金と社会保険は、先に決めて書いておく

短い働き方で揉めやすいのは、お金のことです。始める前に決め、書面にしておきます。

時短や週4日の正社員の給料は、減らした時間の割合に応じて決めるのが基本です。厚生労働省は短時間正社員を、フルタイムの正社員より所定労働時間が短く、無期の労働契約で、時間あたりの基本給や賞与・退職金などの算定方法が同じ種類のフルタイム正社員と同等の社員としています(出典: 厚生労働省「多様な働き方の実現応援サイト」短時間正社員)。時間が短いことを理由に、時間あたりの賃金まで下げる設計にはしないでください。

任せる仕事や責任をフルタイムの人と変えるなら、何がどう違うのかを言葉にして、労働条件通知書や就業規則に書いておきます。パート・アルバイトについては、同じ会社の正社員との間で、基本給や手当などに不合理な差をつけることが法律で禁じられています。2026年10月1日からは、パートタイム・有期雇用の人を雇い入れるときに、正社員との待遇の違いの内容や理由について説明を求めることができる旨も明示する必要があります(出典: 厚生労働省リーフレット「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)」)。時給の決め方はアルバイトの時給の決め方で詳しく書いています。

社会保険も確かめておきます。日本年金機構の案内では、1週間の所定労働時間か1か月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満の人は、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等で働く場合、週の所定労働時間が20時間以上で学生でなければ、健康保険・厚生年金保険の加入対象になります。この企業規模の要件は、2027年10月から36人以上の企業等に広がる予定です(出典: 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」2026年10月1日更新)。時間を短くすると加入の扱いが変わる人もいるので、本人に説明する前に確認してください。細かい設計は、社労士に相談しながら就業規則と賃金規程に落とすのが安全です。

短い働き方を回すための段取り

働き方の選択肢を増やすと、シフトを組む側の手間は増えます。次の順番で整えると、混乱が少なくなります。

  1. 時間帯ごとの忙しさを書き出す — 曜日と時間帯ごとに、何人いれば回るかを決める
  2. 短い時間でも完結する仕事を切り出す — 開店準備、仕込み、予約の確認、清掃、SNSの投稿など
  3. 引き継ぎの形を決める — 入れ替わりが増えるほど、口頭の引き継ぎは抜けやすくなる
  4. 求人で働き方をそのまま見せる — 時間帯ごとに求人を分けて出す
  5. フルタイムの人に負担が偏らないようにする — 責任の重さと評価の違いを言葉にする

3つ目について、私たちの店舗では、その日の出来事を残す日報の入口を社内のポータルにまとめ、書いた内容が店のLINEグループにもそのまま届くようにしました。いつものLINEで読めるので、次に入る人が前の時間帯に何があったかを確かめやすくなります。

4つ目は、応募の集まり方に直結します。

代表・中野谷のひとこと

週5でずっと求人をかけていたのを週4にしたら、これだけ応募が増えた。そういう事例も、僕は持っています。

求人に「週4日の正社員」「ランチの3時間だけ」と具体的に書くと、その働き方を探している人に届きます。時間帯で求人を分ける考え方は主婦(夫)パートの採用、シフトの決め方のルールは店舗の定着率を上げるシフト設計にまとめています。

5つ目を放っておくと、フルタイムで働く人が「自分ばかり大変」と感じて辞めていきます。短い時間の人には任せない仕事、フルタイムの人だけが持つ責任を決め、その違いを評価や手当で説明できるようにしておきます。今いる人の不満の拾い方はスタッフが辞めたくなる店舗の特徴で書いています。

まずは今いるスタッフに聞く

新しい制度をつくる前にやってほしいのは、今いるスタッフ一人ひとりに、これからの働き方の希望を聞くことです。「もう少し時間を減らしたい」と考えている人もいれば、「もっと入りたい」と思っている人もいます。私たちは1on1で、仕事やキャリアに望むことを一人ずつ確かめています。

辞めると言われてから「時短なら続けられる?」と聞いても、たいていは遅すぎます。働き方の選択肢があることを先に伝えておくと、事情が変わったときに、辞める前に相談してもらえるようになります。

まとめ

  • 人手不足は人数でなく、時間帯と働き方の組み合わせで考える。短い働き方は、残れる人を増やし、求人の母数を広げ、ピークを厚くする
  • 選択肢は時短の正社員、週4日の正社員、時間帯を区切ったアルバイト、繁忙期だけ増やす約束、仕事の場所や中身を変える形
  • 子育て中の社員の短時間勤務は法律上の義務。賃金は時間に応じて決め、待遇の違いと社会保険の扱いを先に確かめて書いておく
  • 仕事の切り出しと引き継ぎを整え、求人に働き方をそのまま書き、フルタイムの人に負担を偏らせない

次の一歩は、店の1週間を時間帯ごとに区切り、「この時間だけ人がいれば助かる」という枠を書き出すことです。その枠が、短い働き方の求人の中身になります。

動画で見る

代表の中野谷が発信している YouTube「店舗運営チャンネル【採用と集客】」から、この記事に関係する回です。

アルバイトと社員の待遇差、どう設計する?同一労働同一賃金を店舗経営者が解説
雇用形態が違っても同じ仕事なら同じ待遇が原則であることと、仕事の範囲を変えるならそれを決めて書いておく必要があることを、代表が話しています。

よくある質問

時短勤務や週4日勤務は、店舗の人手不足対策になりますか?

なります。フルタイムで働けなくなった人が辞めずに残れるうえ、短い時間なら働きたいという人にも求人が届くようになります。忙しい時間帯にだけ人を厚くできるので、店の忙しさの波にも合わせやすくなります。

時短の正社員の給料は、どう決めればよいですか?

減らした時間の割合に応じて決めるのが基本です。厚生労働省は短時間正社員を、時間あたりの基本給や賞与・退職金などの算定方法がフルタイムの正社員と同等の社員としています。任せる仕事や責任を変えるなら、その違いを書面にしておきます。

子育て中の社員から時短勤務を求められたら、断れますか?

小さな子どもを育てる社員には、育児・介護休業法で短時間勤務制度を用意することが事業主に義務づけられています。対象や例外は法律と労使協定で決まるので、就業規則を確認し、迷ったら社労士や労働局に相談してください。

働く時間を短くすると、社会保険はどうなりますか?

所定労働時間や日数が通常の正社員より短くなると、加入の扱いが変わることがあります。短時間労働者の加入要件は会社の規模によっても違い、段階的に広がっているので、日本年金機構の案内で確かめてから本人に説明します。

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