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店舗採用・応募支援

アルバイトの時給の決め方|最低賃金・近隣相場・店舗の利益から逆算する

この記事の結論

アルバイトの時給は、勤務地の最低賃金を下限に、近くで同じ仕事・同じ時間帯の求人を相場として見て、その時給でシフトを組んでも店の利益が残るかを人件費から確かめて決めます。2026年度の最低賃金は都道府県ごとに10月1日から12月2日にかけて発効し、1,300円に届いた都道府県はなく、最も高いのは東京都の1,280円です。

「時給はいくらにすればいいのか」。店舗の求人を出すとき、最初に手が止まるのがここです。高くすれば応募は来やすくなりますが、そのぶん毎月の人件費が増えます。低くすれば応募が集まらず、採用が長引くほど今いるスタッフに負担がかかります。

この記事では、アルバイトの時給を「いくらにするか」を決める手順を、最低賃金という下限、近くの求人という相場、店の利益という上限の3本の線から整理します。決めた時給を求人にどう書くか(幅の付け方や研修中の時給の書き方)は「求人の給与の書き方」にまとめているので、あわせてご覧ください。

時給は「下限・相場・上限」の3本の線で決める

アルバイトの時給を思いつきで決めると、あとで困ります。上げた時給は下げにくく、低すぎた時給は採用が止まってから気づくからです。決めるときは、次の3本の線を先に引き、その間のどこに置くかを考えます。

線 何で決まるか 確かめること
下限 勤務地の最低賃金 研修中・試用期間中も含めて下回っていないか
相場 近くの同じ仕事・同じ時間帯の求人 求職者が並べて比べる求人の中で、どの位置にいるか
上限 店の売上と人件費 その時給でシフトを組んでも、利益が残るか

私たちは自社でも店舗を運営していて、募集条件を変えたときに応募の数や来る人がどう変わるかを、まず自分たちの店で確かめています。その立場から言うと、時給は「採用できるか」と「払い続けられるか」の両方から決めるものです。応募を集めたいあまり上限を超えた時給をつけると、採れた後に店が苦しくなります。逆に利益だけを見て相場より低く置くと、そもそも応募が来ません。

下限: 勤務地の最低賃金を確かめる(2026年度)

都道府県ごとに10月1日から12月2日にかけて発効

最低賃金は都道府県ごとに額も発効日も違います。厚生労働省の一覧では、2026年度(令和8年度)の地域別最低賃金の全国加重平均は1,177円です。主な都道府県は次のとおりです(出典: 厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金全国一覧」2026年10月確認)。

都道府県 2026年度の最低賃金 発効日
東京 1,280円 2026年10月1日
神奈川 1,279円 2026年10月1日
大阪 1,231円 2026年10月1日
埼玉 1,196円 2026年10月1日
千葉 1,195円 2026年10月1日
愛知 1,195円 2026年10月1日
京都 1,180円 2026年11月16日
兵庫 1,172円 2026年10月1日
北海道 1,131円 2026年10月1日
福岡 1,114円 2026年10月4日
沖縄 1,086円 2026年12月2日

「最低賃金が1,300円になるのはいつか」という質問もよく受けますが、2026年度の改定で1,300円に届いた都道府県はありません。最も高い東京都でも1,280円です。11月や12月に発効する県もあるので、勤務地の額と日付は厚生労働省の一覧で必ず確かめてください。

手当を足しても、最低賃金の判定に入らないものがある

時給を最低賃金の近くに置くときに注意したいのが、手当の扱いです。最低賃金を満たしているかは、毎月決まって支払う基本的な賃金で判断します。厚生労働省は、精皆勤手当・通勤手当・家族手当、時間外・休日・深夜の割増賃金、賞与などを最低賃金の対象から除くとしています(出典: 厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」2026年10月確認)。

つまり「基本の時給は最低賃金を少し下回るけれど、皆勤手当を足せば超える」という組み方はできません。基本の時給そのものを、最低賃金以上に置きます。

研修中・試用期間中も、最低賃金が下限

研修中や試用期間中の時給を本採用後より低くすること自体はよく行われていますが、その額も最低賃金を下回れません。下回る額にできるのは、試用期間中の人などについて、使用者が都道府県労働局長の許可を受けた「減額の特例」の場合だけです(出典: 厚生労働省 最低賃金特設サイト「適用される対象者は?」2026年10月確認)。

採用の時期から逆算して、改定を見越しておく

時給を決める時期にも気をつけてください。夏に求人を出して秋に入社する人は、働き始める頃に最低賃金の改定をまたぐことがあります。代表の中野谷は、お客さまから時給の相談を受けるとき、採用が改定の時期にかかるなら、今の額ではなく改定後の最低賃金に合わせて時給を置くよう勧めています。入社してすぐに時給を書き換える手間も、求人を出し直す手間も減らせます。

相場: 近くの「同じ仕事・同じ時間帯」の求人と比べる

比べる相手は、求職者が一緒に見る求人

下限が決まったら、次は相場です。ここで見るべきなのは全国やエリアの平均時給ではなく、求職者が自分の店の求人と並べて見る求人です。

調べ方は難しくありません。求人サイトで「職種名+店の最寄り駅」で検索し、出てきた求人を10件ほど書き出します。時給だけでなく、次の項目もメモしておくと比べやすくなります。

  • 入社時の時給と、上がる条件
  • 時間帯(昼か夜か、深夜の割増があるか)
  • 交通費の有無と上限
  • 研修中・試用期間中の時給と、その期間
  • まかない・社割などの待遇

同じ「ホールスタッフ」でも、ランチだけの求人と深夜まである求人では、時給の意味がまったく違います。自分の店の募集と条件がそろうものだけを並べ、その中で自店がどの位置にいるかを見ます。

県境の店は、隣の都道府県の時給とも比べられる

都道府県の境に近い店では、もう一段注意がいります。最低賃金は都道府県ごとに違うため、電車で数駅先が別の都県になるだけで、時給の水準が変わることがあるからです。アルバイトで働く人への調査では、時給が高い近隣地域でアルバイトをしたいと感じたことがある人は47.3%でした(出典: マイナビキャリアリサーチLab「最低賃金に関する調査レポート2026年」2026年9月)。

代表の中野谷も、県境に近いお客さまの相談では、少し足を延ばすだけでもっともらえると分かる、その差が大きいと話しています。相場を調べるときは、通勤圏に入る隣の都道府県の求人も一緒に並べてください。

時給の高さだけで選ばれる求人は、続きにくい

相場より高くすれば、応募は来やすくなります。ただ、代表の中野谷はお客さまに、時給が高いからだけで見られている求人は、広告で上に出しても意味がなくなりやすい、とも話しています。時給だけを見て応募した人は、条件を比べるうちにほかの求人へ移りやすい、というのが私たちの見立てです。

相場の中で時給を少し上に置くなら、時給以外に選ぶ理由(シフトの融通、通いやすさ、誰と働くか)も原稿で見せておくと、来てくれた人が続きやすくなります。シフトと定着の関係は「店舗の定着率を上げるシフト設計」で解説しています。

上限: 店の利益から「払える時給」を逆算する

人件費にあてられる額を、必要な勤務時間で割る

3本目の線は、店の利益です。時給は一度上げると下げにくいので、決める前に「この時給で1か月シフトを組んだら、いくら残るか」を計算してください。手順は次の3つです。

  1. 月の売上の見込みから、アルバイトの人件費にあてられる額を決める
  2. 1か月に必要なアルバイトの勤務時間を、シフト表から合計する
  3. 1の額を2の時間で割ると、平均で払える時給の目安が出る

仮に、アルバイトの人件費にあてられるのが月60万円で、必要な勤務時間が月450時間なら、平均で払える時給はおよそ1,333円(600,000円÷450時間)です。ここから深夜の割増賃金や交通費、社会保険料など、時給のほかにかかる分を差し引いた額が、基本の時給を置ける上限の目安になります。数字は説明のための仮のもので、人件費にあてられる割合は業態や店によって違います。

最初から満額の時給は重い。試用期間で段階をつける

上限に余裕がないときによく使われるのが、試用期間を設けて、その間は時給を低めにし、期間が終わったら本来の時給に上げる方法です。入ってすぐ辞めてしまう人が出る店ほど、初日から満額を払うのは負担になります。

代表・中野谷のひとこと

おすすめとしては、試用期間を絶対設けます。でないと、初っ端からは結構きついので。別に、期間を短くする分にはいいんですよ。一番嫌なのが、揉めちゃうことじゃないですか。書いてないんだけど、って言われるのはあれなんで。

大事なのは、試用期間の長さとその間の時給を、最初から書いておくことです。厚生労働省も、募集の際に明示する労働条件として試用期間を挙げ、賃金は「ただし、試用期間中は〜」と分けて書く例を示しています(出典: 厚生労働省「2024年4月から、労働者の募集や職業紹介事業者への求人の申込みの際、明示しなければならない労働条件が追加されます。」2026年10月確認)。試用期間中の時給も、最低賃金を下回ることはできません。

売上が上がったら、給与で返す

時給の上限は、一度決めたら終わりではありません。代表の中野谷は、働く人が生き生きと力を発揮できる店は接客の質が上がり、お客さまの再来店が増え、そうして安定した売上を給与や休みとして返していける、という循環を話しています。上限を計算したら、店のどの数字が上がったら時給を上げるのかも決めておくと、スタッフにとっての目標になります。

正社員との差は「仕事の中身」で説明できるようにする

2026年10月から、雇い入れ時に伝えることが増えた

正社員とアルバイトが同じ会社で働いているなら、時給を決めるときに同一労働同一賃金も確かめておきます。パートタイム・有期雇用労働法は、同じ会社の正社員とパート・アルバイトなどとの間で、基本給や手当、福利厚生について不合理な待遇差を設けることを禁じています。中小企業にも2021年4月1日から適用されています(出典: 厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」2026年10月確認)。

さらに2026年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れたときに明示する労働条件に、「正社員との待遇の違いの内容や理由について説明を求めることができる」旨が加わりました。違反すると10万円以下の過料の対象です(出典: 厚生労働省リーフレット「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります」2026年10月確認)。

「アルバイトだから低い」では説明にならない

同一労働同一賃金ガイドラインは、能力や経験に応じて支払う基本給について、正社員と同じ能力・経験を持つパート・アルバイトには同じ基本給を、違いがあるならその違いに応じた基本給を支払うよう求めています。賃金の決め方が違う理由を「将来の役割期待が違うから」といった主観的・抽象的な説明で済ませることも、認められていません(出典: 厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン 新旧対照表(解説付き)」2026年10月確認)。

代表・中野谷のひとこと

棚卸ししてあげて、ここまでできたらこの時給だよね、っていうのを出してあげる。よくわからず、アルバイトだから低い、っていう状態はできないので。優秀なアルバイトの方にはしっかり上げてあげれば、辞めなくて、しかも社員になるって可能性もあるんで。

(YouTube「アルバイトと社員の待遇差、どう設計する?同一労働同一賃金を店舗経営者が解説」より)

厚生労働省の雇用管理指針も、パート・アルバイトの賃金は、職務の内容や成果、意欲、能力、経験などを公正に評価し、昇給に反映させるなど、公正な評価に基づいて決めることが望ましいとしています(出典: 厚生労働省リーフレット「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります」)。店の仕事を「入社時にできること」「一人で任せられること」「教える側に回れること」のように段に分け、段ごとの時給を決めておくと、正社員との差も、アルバイトどうしの差も説明しやすくなります。

交通費の扱いもそろえる

時給を高く見せるために「交通費は出さず、その分時給を上げる」という形を考える店もあります。その場合は、正社員に通勤手当を出していないかを先に確かめてください。ガイドラインは、パート・アルバイトにも正社員と同一の通勤手当を支給するよう求めています(出典: 厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン 新旧対照表(解説付き)」)。正社員には出してアルバイトには出さない、という形は避けるのが無難です。個別の判断は、社会保険労務士や都道府県労働局に相談してください。

今いるスタッフの時給との釣り合いを見る

新しく募集する時給は、今いるスタッフの目にも入ります。求人サイトは誰でも見られるので、新人の時給が長く働いている人と同じか、それより高ければすぐに気づかれます。募集の時給を決めるときは、今いるスタッフの時給を一覧にして、次のことを確かめてください。

  • 新人の入社時の時給が、経験を積んだスタッフを上回っていないか
  • 上回るなら、今いるスタッフの時給も一緒に見直すか
  • 最低賃金の改定のあとで、段ごとの差が縮みすぎていないか

私たちの会社では、給与やキャリアに思うところがある人と、一人ずつ話す時間を取っています。時給を変えるときも、張り紙で知らせるだけにせず、理由と次に上がる条件を直接伝えたほうが、納得して働き続けてもらえます。

時給を上げる前に確かめたい2つのこと

1つ目は、使える制度です。事業場で最も低い賃金を引き上げ、あわせて設備投資などを行った場合に、費用の一部を助成する業務改善助成金があります。2026年度の申請期間は9月1日から、勤務地の最低賃金の発効日の前日か11月30日のいずれか早い日までなので、すでに締め切りを過ぎた地域もあります(出典: 厚生労働省「業務改善助成金」2026年10月確認)。

2つ目は、応募が来ない理由が本当に時給なのか、です。求人がそもそも表示されていない、クリックされていない段階で止まっているなら、時給を上げても応募は増えません。止まっている場所の切り分け方は「店舗のアルバイト採用がうまくいかない理由とコツ」で解説しています。

まとめ

  • アルバイトの時給は、下限(最低賃金)・相場(近くの同じ条件の求人)・上限(店の利益)の3本の線を引いてから決める
  • 2026年度の最低賃金は都道府県ごとに10月1日から12月2日にかけて発効し、1,300円に届いた都道府県はない。精皆勤・通勤・家族手当などは最低賃金の判定に入らない
  • 試用期間で段階をつけるなら、期間とその間の時給を最初から書いておく。試用期間中も最低賃金が下限
  • 正社員との差は「アルバイトだから」ではなく、仕事の中身とできることの違いで説明できるようにする

次の一歩は、店の最寄り駅で同じ職種の求人を10件書き出し、自店の時給と並べることです。そのうえで、その時給で来月のシフトを組んだら人件費がいくらになるかを計算すると、上げるか据え置くかの判断がつきます。

動画で見る

代表の中野谷が発信している YouTube「店舗運営チャンネル【採用と集客】」から、この記事に関係する回です。

同一労働同一賃金ってなに?
雇用形態に関係なく、同じ仕事をしていれば同じ賃金を払うという考え方の要点を、代表が短く話しています。

よくある質問

アルバイトの時給はどうやって決めればよいですか?

勤務地の最低賃金を下限に、近くで同じ仕事・同じ時間帯の求人の時給を相場として確かめ、その時給でシフトを組んだときに店の利益が残るかを人件費から計算して決めます。上げた時給は下げにくいので、払える上限を先に計算しておくと安全です。

最低賃金が1,300円になるのはいつからですか?

厚生労働省の一覧では、2026年度の地域別最低賃金で1,300円に届いた都道府県はありません。最も高い東京都が1,280円、神奈川県が1,279円で、どちらも2026年10月1日に発効しています。

手当を足せば、基本の時給が最低賃金を下回ってもよいですか?

できません。精皆勤手当・通勤手当・家族手当、時間外・休日・深夜の割増賃金、賞与などは最低賃金の判定から除かれます。基本の時給そのものを最低賃金以上に置きます。

試用期間中の時給を最低賃金より低くできますか?

原則としてできません。最低賃金を下回る額にできるのは、使用者が都道府県労働局長の許可を受けた減額の特例の場合だけです。試用期間中の時給を本採用後より低くするなら、最低賃金以上の額にして、期間とあわせて求人と労働条件に書いておきます。

正社員とアルバイトで時給に差をつけてもよいですか?

仕事の内容や責任、配置の変更の範囲などの違いに応じた差はつけられますが、「アルバイトだから」という理由だけの差は不合理とされるおそれがあります。2026年10月からは、雇い入れ時に、待遇差の説明を求められることを明示する必要もあります。

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