パーソナルジム・ピラティススタジオの集客と予算配分
この記事の結論
パーソナルジムやピラティススタジオの集客は、「体験の予約 → 入会 → 継続」のどこで人が減っているかを分けて見て、予算をそこに配ります。売り物はトレーナーやインストラクターが教える時間なので、受けられる枠から逆算して集客の予算を決め、教える人の採用と定着の予算は集客と分けて持つのがポイントです。
パーソナルジムやピラティススタジオは、同じ駅の周りに何店舗も並んでいることが珍しくありません。広告を出せば体験の予約は入るものの、入会につながらない、入会しても続かない、気づけば毎月の広告費だけが重くなっている。そんなときは、広告費を足す前に見ておくところがあります。
結論から言うと、パーソナルジムやピラティススタジオの集客は、「体験の予約 → 入会 → 継続」のどこで人が減っているかを分けて見て、予算をそこに配ることから始めます。そして、売り物はトレーナーやインストラクターが教える時間です。受けられる枠から逆算して集客の予算を決め、教える人の採用と定着の予算は、集客とは別に持つのがポイントです。
予算を決める前に、「体験予約 → 入会 → 継続」を分けて見る
私たちは、求人の相談を受けたとき、最初に「表示されているか・クリックされているか・応募されているか」を分けて見ます。どこで詰まっているかが分からないまま原稿を直したり予算を足したりしても、結果は動かないからです(詳しくはIndeedで応募が来ない7つの原因と改善チェックリスト)。
お客さまを集めるときも、考え方は同じです。パーソナルジムやピラティススタジオなら、次の3つの段に分けて見ます。
| 段 | 見る数字 | 低いときに疑うこと |
|---|---|---|
| 体験の予約 | 体験の予約数、どこから予約が来たか | 広告の届け先、Webページや地図の情報、予約の取りやすさ |
| 入会 | 体験から入会した割合 | 体験の中身、料金やコースの伝え方、担当したトレーナーとの相性 |
| 継続 | 入会した人が数ヶ月後も通っているか | 成果を感じられているか、予約が取りやすいか、担当が変わっていないか |
体験の予約は入っているのに入会が少ないなら、広告費を足しても入会は増えにくく、直すべきは体験の中身や料金の伝え方です。入会は多いのに続かないなら、新しい会員を呼ぶ広告より、続けてもらう仕組みに手をかけたほうが売上は安定します。予算を配る先は、いちばん落ち込んでいる段です。
受け皿: 体験を申し込む前に見られる場所を整える
体験に申し込む人は、広告を見てすぐ予約するとは限らず、いったんお店の名前で調べ直すこともよくあります。そのときに見られる場所を先に整えます。
- Webページ: 料金とコース、通う頻度の目安、トレーナーやインストラクターの紹介、体験の流れと持ち物
- Googleマップ: 営業時間、写真(スタジオの中、器具、更衣室など)、口コミへの返信
- SNS: レッスンの雰囲気が分かる投稿、教える人の顔が見える投稿
- 予約ページ: 体験の空き枠がすぐ分かり、迷わず予約できるか
とくに、誰が教えてくれるのかは、パーソナルジムやピラティスを選ぶ人にとって大きな判断材料です。教える人の紹介が薄いと、ほかのお店と比べたときに選ぶ理由が残りません。
予算は「売れる枠」から逆算する
パーソナルジムやピラティススタジオの売上は、教える人の時間でできています。教える人が1時間に見られる人数と、営業している時間で、売れる枠の上限が決まります。広告で呼べる人数の上限も、本当はここで決まっています。
予算は、相場ではなく、この枠から逆算します。
- 体験に使える枠が、ひと月に何件あるかを出す
- 体験から入会する割合を、仮に置く
- 体験1件を取るのにかかる広告費を、仮に置く
- 1と3を掛けて、ひと月の広告費の上限を出す
- 実績が出たら、2と3を本物の数字に置き換える
試算の例を置きます。仮に、体験に使える枠がひと月に40件あり、体験1件を取るのに5,000円かかるとすると、この試算では広告費の上限はひと月20万円です。それ以上かけても、体験を受けきれません。ここに2の入会の割合を掛ければ、ひと月に見込める入会の数も出せます。逆に、枠が空いているのに広告を絞っているなら、その空いた枠のぶんの家賃や人件費は回収できないまま出ていきます。開業直後の広告費の考え方は、開業後3ヶ月の広告費の考え方で詳しく書いています。
季節によってお客さまの動きが変わる業態は、去年の自分の数字で、体験の予約が増える時期と減る時期を確かめておきます。増える時期に枠を空けておけるよう、教える人の採用と研修を前に置くのが大切です。私たちの店舗でも、忙しくなる時期から逆算して採用を前倒しにし、研修の型を先に固めてから新しい人を迎えるようにしています。
集客の予算と、教える人の予算は分けて持つ
予算配分の話で見落とされやすいのが、教える人にかけるお金です。トレーナーやインストラクターが足りなければ、どれだけ広告で体験を集めても受けられません。担当していたトレーナーが辞めると、その人についていたお客さまが離れてしまうこともあります。
そこで、予算は少なくとも次のように分けて考えます。
- 新しいお客さまを呼ぶ広告の予算
- 体験と入会の質を上げる予算(体験の流れの見直し、写真や紹介ページの更新など)
- 続けてもらうための予算(進み具合の記録や共有、予約の取りやすさの改善など)
- 教える人の採用と定着の予算(求人、研修、働きやすさの改善)
ここで大事なのは、集客と採用を同じ広告やチラシで済ませようとしないことです。
代表・中野谷のひとこと
僕的には、求人は(集客とは)別って考えてもいいんじゃないかなと思っています。探している人しか見ていないので、それはそれで割り切っちゃっていいんじゃないかなと。ただ、ポスティングと広告で求人を集めます、というのは避けてほしいです。そうすると集客にも影響するので。
お客さま向けのチラシや広告に「トレーナー募集」が大きく載っていると、お客さまからは人手が足りないお店に見えることがあります。求人は、仕事を探している人が見る求人サイトなどで、集客とは分けて出します。そのうえで、教える人が長く働き続けられるよう、入ってすぐの時期の受け入れを丁寧にします。新しく入った人が辞めにくくなる受け入れ方は新人がすぐ辞める店舗の共通点と、3ヶ月のオンボーディング設計にまとめています。
広告・SNSの表現で気をつけること
体づくりのサービスは、成果を見せたくなる業態です。ただし、表現には景品表示法のルールがあります。
効果をうたう表現には、根拠が要る 景品表示法は、サービスの品質などを実際より著しく優良だと示す表示(優良誤認表示)を禁止しています。消費者庁は、表示の根拠となる合理的な資料の提出を事業者に求めることができ、資料が出されない場合や、合理的な根拠と認められない場合は、優良誤認表示とみなされます(景品表示法第7条第2項・出典: 消費者庁「優良誤認とは」2026年10月確認)。「必ず痩せる」「誰でも◯kg減」のような言い切りは避けます。
体験談は「大体の人に効く」と受け取られる 消費者庁の調査では、体験談を見た人は「大体の人が効果を得られる」という認識を抱き、「個人の感想です。効果には個人差があります」といった打消し表示に気づいても、その認識はほとんど変わらないと考えられる、とされています。また、食事療法や運動療法の併用が必要な場合や、特定の条件の人にしか効果が出ない場合は、その旨を明瞭に表示する必要があるとしています(出典: 消費者庁「打消し表示に関する実態調査報告書(概要)」平成29年7月)。
ビフォーアフターの写真や会員の声を使うなら、期間・頻度・食事の指導の有無など、その結果が出た条件を一緒に書きます。成果の写真で引きつけるより、教える人の紹介やレッスンの雰囲気、続けている人の様子を伝えるほうが、入会後のずれも起きにくくなります。
入会しなかった人の理由を、聞いておく
体験から入会しなかった人の理由は、次の改善のいちばんの材料です。体験の最後や、その後のメッセージで、無理のない形で聞いてみます。
- 料金が合わなかったのか、通う頻度が合わなかったのか
- 時間帯や場所が通いにくかったのか
- ほかのお店と比べて決めたのか、何と比べたのか
理由が料金なら料金の見せ方やコースの組み方を、時間帯なら枠の出し方を、と、打ち手がはっきりします。広告費を足すのは、それからでも遅くありません。教える人の時間が売り物になるという点では、子ども向けのスクールも同じです。親が見ているポイントは習い事・スクールの集客で書いています。
まとめ
- 集客は「体験の予約 → 入会 → 継続」に分けて見て、いちばん落ち込んでいる段に予算を配る
- 広告費は、教える人が受けられる枠から逆算する。枠を超えた広告は無駄になり、枠が空いたままだと固定費が回収できない
- 集客の予算と、教える人の採用・定着の予算は分けて持つ。広告の表現は景品表示法に沿って、効果を言い切らない
次の一歩は、直近3ヶ月の「体験の予約数」「入会数」「3ヶ月後も通っている人数」を1枚の表に書き出すことです。いちばん数字が落ちているところが、予算を配る先です。
よくある質問
パーソナルジムの集客は、まず何から見直せばよいですか?
体験の予約数、体験から入会した割合、入会した人が続いているかの3つを分けて見ます。いちばん落ち込んでいる段から手を付けると、広告費を足すより早く結果が動くことがあります。
ピラティススタジオの広告費はどう決めればよいですか?
相場ではなく、受けられる枠から逆算します。インストラクターが体験に使える枠の数、体験から入会する割合、体験1件を取る費用を仮に置いて計算し、実績が出たら置き換えます。枠を超えて広告を出しても、受けきれずに無駄になります。
集客のチラシや広告に、トレーナーの募集も載せてよいですか?
勧めません。お客さま向けの広告に求人が大きく出ていると、集客の邪魔になることがあります。求人は、仕事を探している人が見る求人サイトなどで出し、集客とは分けて考えます。
ビフォーアフターの写真や体験談を広告に使ってもよいですか?
使うなら、その効果に根拠があるか、同じ結果を得られなかった人がどれくらいいるか、食事の指導などほかに必要なことがあるかに注意します。「個人の感想です」と書き添えても、体験談から受ける印象はほとんど変わらないと消費者庁の調査で示されています。