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開業後3ヶ月の広告費の考え方|オープン初期に予算をケチると損をする理由

この記事の結論

開業直後の広告費は、「とりあえず少しだけ」で様子を見るより、スタッフと予約の枠をそろえたうえで最初の3ヶ月に集中してかけ、どの広告が効くかのデータを取るほうが、結果的に安くつきます。家賃などの固定費はお客さまがいなくても出ていくこと、広告はデータがたまるまで良し悪しが分からないこと、新規が来ないとリピーターも積み上がらないことが理由です。

お店を開けた直後、広告費をどれくらいかけるか。多くの経営者が「まずは少しだけ出して、反応を見てから増やそう」と考えます。内装や設備でお金が出ていったあとなので、慎重になるのは当然です。

ただ、私たちは、受け入れの準備が整っているなら、開業直後の「少しずつ」はかえって高くつくことが多いと考えています。結論から言うと、スタッフと予約の枠をそろえたうえで、最初の3ヶ月は広告費を初期投資として見て集中的にかけ、どの広告が効くかのデータを取る。3ヶ月たったら、そのデータをもとに効かないものから削っていく。これが結果的にいちばん安く済む進め方です。

開業直後の「少しずつ」が損になりやすい3つの理由

理由1: 固定費は、お客さまが来なくても出ていく

家賃・人件費・設備のリース、フランチャイズならロイヤリティ。お店の固定費は、予約が埋まっていても空いていても同じだけかかります。開業直後に広告を絞ると、広告費は浮いても、空いている枠のぶんの固定費はそのまま出ていきます。

代表・中野谷のひとこと

皆さん、最初はスロースタートで、って言って、枠もあんまり空けずに、ちょっとずつプレオープンみたいなことをやる人がいるんですけど、結局それって家賃もかかってるし、ロイヤリティもそうだし、固定費がかかっている。ちゃんとしっかり準備して、枠を開けて、リピーターを積んで、広告を踏んでいく。そうしないと、機会損失が垂れ流しになっちゃうんですよね。

理由2: 広告は、データがたまるまで良し悪しが分からない

検索広告とSNS広告のどちらが効くのか。同じSNS広告でも、どの写真・どの文面が反応を取るのか。これは業種とエリアによって違い、やってみないと分かりません。

広告の仕組みの側も、データがたまるまでは安定しません。たとえばGoogle広告では、自動入札の戦略を新しく作ったり設定を変えたりすると「学習中」の状態になり、その期間の長さは、獲得したコンバージョン(予約や問い合わせなどの成果)の数、クリックから成果までにかかる時間、入札戦略の種類で変わると説明されています(出典: Google 広告 ヘルプ「キャンペーンの学習期間の長さと、それに影響を与える要因」2026年10月確認)。

予算が少なすぎると成果の数がなかなか増えず、いつまでたっても判断がつきません。「少しだけ出して様子を見る」は、様子が見えるところまで届かないことが多いのです。

理由3: 新規が来ないと、リピーターも積み上がらない

予約制のお店の売上は、新規のお客さまと、また来てくれるお客さまの合計です。リピーターは、新規のお客さまからしか生まれません。開業直後に新規を取りこぼすと、数ヶ月後に積み上がっているはずのリピーターが少ないまま、ずっと新規集めに追われることになります。

逆に、最初にしっかり新規に来てもらい、その方たちに次回も来ていただければ、だんだんとリピーターで埋まる枠が増え、新規で埋めるべき枠は減っていきます。広告費を後から下げられるのは、この順番を踏んだときです。

ただし、「人」と「枠」がそろっていることが前提

ここまでの話には条件があります。予約を受けられる枠が空いていること、そしてその枠を受けるスタッフがそろっていることです。

広告で予約が入っても、受けられる枠がなければ、来たいと思ってくれた人を断ることになります。慣れないスタッフで無理に受ければ、最初の体験が崩れて、悪い口コミが残ります。私たち自身も、受け入れの準備が整っていない時期に、集客の広告をあえて出さない判断をしたことがあります。かけるべきなのは「体制が整ってからの3ヶ月」です。

開店前に何を整えておくかは新店オープンの集客、人の準備は新店オープニングスタッフ採用の段取りで書いています。

最初の3ヶ月の予算は、相場ではなく逆算で決める

開業時の広告費の「相場」は、業種・地域・席数・客単価によって大きく変わるので、他店の金額はあまり参考になりません。自分の店の数字から逆算します。

  1. 目標の売上と客単価から、ひと月に必要な来店数を出す
  2. そのうち、まだリピーターがいない開業直後は、ほとんどを新規で埋める前提にする
  3. 新規1人を呼ぶのにかかる広告費を仮に置き、必要な新規の人数を掛ける
  4. 受けられる枠の数を超えていないかを確かめる
  5. 3ヶ月の実績で、仮に置いた数字を本物の数字に置き換える

試算の例を1つ置きます。仮に、ひと月に新規のお客さまが60人ほしく、広告から新規1人を呼ぶのに3,000円かかるとすると、この試算では広告費はひと月18万円です。ここで大事なのは金額そのものではなく、「1人を呼ぶ費用」がまだ分かっていないことを認めて、最初の3ヶ月でそれを確かめにいく、という考え方です。

代表の中野谷は、開業直後の数ヶ月の広告費は「初期投資として見る」のがポイントだと話しています。内装や設備と同じく、お店を立ち上げるための費用として、開業前の資金計画に最初から入れておくと、オープン後に慌てて削らずに済みます。

3ヶ月でやること: 分けて試し、効いたところに寄せる

最初の3ヶ月は、ただ広告を出し続ける期間ではありません。次の3つを回して、その後の判断材料をつくります。

1. 予約の経路を必ず記録する 予約や来店のたびに、何を見て来てくれたかを記録します。広告の管理画面の数字だけでなく、お客さま本人に聞いた答えも残しておくと、実態とのずれに気づけます。

2. 広告は対象や中身を分けて、少しずつ比べる 私たちの店舗では、SNS広告を、届ける相手を分けた複数の配信に分け、1日あたりの予算を抑えて様子を見ながら回しました。1人を呼ぶ費用が安い配信が見えてきたら、そこに予算を寄せます。スタッフに撮ってもらった動画が用意できたら、それも新しい広告として足していきます。ただし、設定を頻繁に変えるとそのたびにデータの取り直しになるので、比べる期間を決めてから動かします。

3. 広告以外で、スタッフが動かせることを決める 広告費をかけている間も、お店の側でできることは多くあります。私たちの店舗では、店舗ミーティングで「広告費以外で、空いた時間にやる集客のこと」を店ごとに1つ決め、翌週までにやり切るようにしました。Googleビジネスプロフィールの投稿、写真の入れ替え、来てくださったお客さまへの口コミのお願いなど、小さなことの積み重ねが、広告費を下げたあとの集客を支えます。

3ヶ月たったら「効いていない広告」から削る

3ヶ月分のデータがそろったら、広告ごとに「1人を呼ぶ費用」と「その人が次回も来てくれたか」を並べます。削るのは、費用が高い広告、来てくれても次につながっていない広告からです。

一律に減らすと、効いている広告まで止まってしまいます。また、リピーターで枠が埋まってきた時期は、新規を無理に呼ばなくても売上が立ちます。その場合は、また枠が空いたタイミングで広告を強める、という使い方ができます。

開業後に苦労するのは「お客さま」と、その次に「人」

開業後の悩みは、データでも確かめられます。日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」では、同公庫が融資した開業まもない企業に、苦労したことを三つまで選んでもらっています。

項目 開業時に苦労したこと 現在苦労していること
資金繰り、資金調達 56.9% 36.2%
顧客・販路の開拓 49.9% 48.8%

(出典: 日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査~アンケート結果の概要~」2025年12月5日。2024年4月〜9月に同公庫が融資した、融資時点で開業後1年以内の企業が対象・回収2,165社・三つまでの複数回答)

同じ調査では、開業時と比べて「従業員の確保」や「従業員教育、人材育成」といった人材に関する項目の割合が上がっていることも示されています。お客さまが来始めると、次は受ける人が足りなくなる。集客と採用は、同じ計画の中で考える必要があります。

まとめ

  • 開業直後の「少しずつ」は、固定費の空回り・データ不足・リピーターの積み残しで損になりやすい
  • かけるのは、人と枠がそろってからの最初の3ヶ月。金額は相場ではなく逆算で決め、開業前の資金計画に入れておく
  • 3ヶ月は経路を記録し、広告を分けて試し、広告以外の集客も回す。そのあと効いていない広告から削る

次の一歩は、開業前の資金計画の表に「最初の3ヶ月の広告費」という行を1本足すことです。業態ごとの考え方は、パーソナルジム・ピラティススタジオの集客と予算配分も参考にしてください。

よくある質問

開業直後の広告費は、少額から始めたほうが安全ですか?

少額すぎると、どの広告が効いているのかを判断できるだけのデータが集まらず、結局ずっと手探りのままになりがちです。受け入れの体制が整っているなら、最初の数ヶ月は試すための予算と割り切ってかけ、効いたものに寄せていくほうが無駄が減ります。

開業時の広告費はいくらくらい用意すればよいですか?

業種・地域・席数で大きく変わるので、相場ではなく逆算で決めます。目標の売上から必要な新規のお客さまの数を出し、1人を呼ぶのにかかる費用を仮に置いて掛け算し、最初の数ヶ月の実績で置き換えていきます。

人がまだそろっていなくても、広告は出したほうがよいですか?

予約を受けられる枠が空いていない状態で広告を出すと、来たいお客さまを断ることになり、広告費が無駄になります。スタッフと枠がそろってから、受けられる量に合わせて出します。

開業して3ヶ月たったら、広告費は減らしてよいですか?

効いていない広告から削り、効いている広告は残します。リピーターが増えて新規で埋めるべき枠が減ってくれば、広告費は自然に下げられます。一律に減らすのではなく、どこから予約が来ているかの記録をもとに決めます。

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