外国人アルバイトの採用で店舗が押さえること|在留カードの確認、週28時間、届出、伝わる求人
この記事の結論
外国人アルバイトの採用では、選考中は在留資格を口頭や書面で確かめ、内定後に在留カードで働ける範囲を確認し、雇い入れたらハローワークへ届け出るのが基本の流れです。留学生は資格外活動許可の範囲(原則週28時間以内)でしか働けないため、ほかのアルバイトを含めた勤務時間を確認し、求人には国籍ではなく仕事で使う日本語の程度を書きます。
外国人スタッフの採用を考えたとき、最初に迷いやすいのが「何を確認すればいいのか」という点です。在留資格や許可の種類は数が多く、制度も改正されます。ただ、店がアルバイトを採用する場面でやることは、それほど多くありません。確認する時期と場所を決めておくこと、届出を忘れないこと、そして働ける条件の中で長く続けてもらえる受け入れを整えることです。
私たちは店舗の採用を支援している会社で、在留資格の可否を判断する立場にはありません。この記事は、出入国在留管理庁と厚生労働省が2026年10月時点で公開している案内をもとに、店が採用の手順として押さえておくことを整理したものです。個別のケースで働けるかどうかは、地方出入国在留管理官署やハローワーク、行政書士などの専門家に確認してください。
確認は「選考中は口頭・書面で、内定後に在留カードで」
最初に押さえておきたいのが、確認するタイミングです。厚生労働省は、採用選考の段階で応募者に在留カードなどを提示させると、国籍など適性や能力に関係のない事項を把握することになり、採否の決定に偏見が入り込むおそれがあるとしています。そのため、選考中は在留資格や資格外活動許可の有無を口頭か書面で確認し、採用内定後に在留カードで就労できることを確認するよう案内しています(出典: 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「外国人雇用はルールを守って適正に」2026年6月版)。
| 段階 | 店がやること |
|---|---|
| 求人・応募 | 国籍で応募できる人を限らない。仕事で使う日本語の程度などを書く |
| 面接 | 在留資格や資格外活動許可の有無、ほかのアルバイトの勤務時間を、口頭や書面で確認する |
| 内定後 | 本人の同意を得て在留カードの原本を見せてもらい、働ける範囲と在留期間を確認する |
| 雇い入れ後 | ハローワークへ届け出る。在留期間の満了日を控えて管理する |
在留カードやパスポートは、確認したら本人に返します。厚生労働省の指針では、外国人労働者の旅券や在留カードを保管しないようにすることとされています。また、内定後に在留カードの提示を求めるときは、個人情報であることに十分注意して確認するよう案内されています(出典: 同上)。
在留カードで見る場所と、2026年6月からの新しいカード
内定後に在留カードを確認するときは、主に次の3か所を見ます(出典: 出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」)。
- 表面の「就労制限の有無」: 「就労制限なし」なら仕事の内容に制限はありません。「就労不可」とある場合は原則として雇えませんが、裏面の資格外活動許可欄を確認します。「在留資格に基づく就労活動のみ可」「指定書により指定された就労活動のみ可」とある場合は、認められた活動の範囲を指定書なども含めて確認します
- 裏面の「資格外活動許可欄」: 「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く。)」などの記載があれば、その範囲内で働けます
- 在留期間の満了日: 期限が切れていないかを確認し、満了日を控えておきます
2026年6月14日からは在留カードの券面が新しくなり、在留カードとマイナンバーカードが一体になった「特定在留カード」の運用も始まりました。特定在留カードでは資格外活動許可欄が表面にあり、「許可(週28時間以内・風俗営業不可)」のように記載の文言も異なります。追記欄に「就労不可」と書かれる場合もあります(出典: 出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」、厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」2026年6月版)。それより前に交付されたカードを持っている人もいるので、新旧どちらの券面も読めるようにしておきます。
カードの確認には、出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリケーション」が使えます。ICチップに記録された情報と券面を見比べられるほか、2025年11月14日からはアプリから在留カードの番号が失効していないかの照会もできるようになりました。アプリを使うときも、本人の同意を得たうえで提示を受けることが必要です(出典: 出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ」)。
なお、旅券に在留カードを後日交付する旨の記載がある人や、在留期間が3か月以下の人などは、在留カードを持っていなくても働ける場合があります。その場合は旅券などで確認します(出典: 出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」)。
在留資格ごとの「働ける範囲」の考え方
アルバイトの採用で出会うことが多い在留資格を、働ける範囲で整理すると次のとおりです(出典: 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」2026年6月版の在留資格一覧表、出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」)。
| 在留資格の例 | アルバイトとして働ける範囲 |
|---|---|
| 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 | 在留中の活動に制限がない |
| 留学、家族滞在 | 就労は認められていない。資格外活動許可を受けていれば、その範囲内で働ける |
| 特定活動 | 個々の許可の内容(指定書)によって決まる |
| 技術・人文知識・国際業務、技能など | その在留資格で認められた仕事の範囲内。範囲外の仕事は、資格外活動許可がなければできない |
最後の行は見落とされやすいところです。出入国在留管理庁は、外国料理のコックや語学学校の先生として働くことを認められた人が工場で作業員として働くといった、認められた範囲を超えて働くケースを不法就労の例として挙げています。表にない在留資格や、判断に迷う場合は、外国人在留総合インフォメーションセンターや地方出入国在留管理官署に確認してください。
留学生は「週28時間」を、すべての勤務先の合計で
アルバイトの採用でとくに出会う機会が多いのが留学生です。留学の在留資格では就労が認められていないため、アルバイトをするには資格外活動許可が必要です。包括許可を受けている場合、働ける時間は1週について28時間以内、在籍する教育機関の長期休業期間は1日について8時間以内とされています(出典: 出入国在留管理庁「「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について」)。
ここで店が注意したいことが3つあります。
- 週28時間は、その人が働くすべての勤務先の合計です。ほかの店でもアルバイトをしているなら、自店のシフトだけを見ていては足りません(出典: 出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」)
- 許可された時間を超えて働くことは、不法就労になります。シフトを組む店の側が、超えないように管理する必要があります
- 風俗営業等が営まれている営業所での仕事は、資格外活動の許可の対象になりません(出典: 出入国在留管理庁「資格外活動許可申請」)。パチンコ店やゲームセンターなども風俗営業として規定されているので(出典: 厚生労働省「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A」)、自店が当たるか分からない場合は確認してください
こうした条件は、求人に細かく並べるより、応募のあとに確かめるほうが現実的です。細かな条件を求人に並べると応募の間口が狭まり、かといって一人ずつ聞くと店長の負担が増える。これは私たちが店舗の採用でいつも向き合っている問題です。留学生の場合は、面接で「ほかのアルバイトを含めて、週に何時間働いているか」「学校の長期休みはいつからいつまでか」を必ず聞き、採用後もシフトの合計時間を勤怠で管理してください。
雇い入れたら、ハローワークへ届け出る
外国人を雇う事業主には、雇い入れたときと離職したときに、氏名や在留資格、在留期間などをハローワークへ届け出ることが、労働施策総合推進法で義務づけられています。特別永住者と、在留資格が「外交」「公用」の人を除くすべての外国人が対象で、留学生のアルバイトや短期のアルバイトも含まれます(出典: 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」2026年6月版)。
| 雇用保険 | 届出の方法 | 期限 |
|---|---|---|
| 被保険者にならない人 | 外国人雇用状況届出書(インターネットの届出システムも使える) | 雇い入れ・離職とも、翌月の末日まで |
| 被保険者になる人 | 雇用保険の資格取得届・資格喪失届に、在留資格などを書いて出す | 雇い入れは翌月10日まで、離職は翌日から10日以内 |
どちらに当たるかは働き方によって変わるので、迷ったら管轄のハローワークに確認してください。届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象になります(出典: 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」2026年6月版)。なお、在留カードのコピーをハローワークに提出する必要はありません。
「知らなかった」では済まない不法就労助長罪
働く資格のない人を働かせたり、許可された範囲を超えて働かせたりすると、雇った側も不法就労助長罪として処罰の対象になります。罰則は3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金で(出典: 出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」)、2027年4月1日以降は5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金に引き上げられます(出典: 同)。
出入国在留管理庁は、雇おうとした人が不法就労者だと知らなかったとしても、在留カードを確認していないなどの過失がある場合は処罰を免れないとしています。「本人ができると言っていた」では足りません。内定後に在留カードを確認した日と、確認した在留資格・在留期間・資格外活動許可の内容を、個人情報として扱いに注意しながら記録に残しておきます。
国籍で労働条件を変えない
労働基準法は、国籍を理由に賃金や労働時間などの労働条件で差別的な扱いをすることを禁じています(第3条)。厚生労働省も、労働基準法や健康保険法などの労働関係法令・社会保険関係法令は国籍を問わず外国人にも適用されると案内しています(出典: 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」2026年6月版)。最低賃金、深夜や残業の割増賃金、年次有給休暇も、日本人のスタッフと同じルールで扱います。
求人の段階でも同じです。外国人だけを対象にしたり、外国人は応募できないとしたりする求人は出せません。国籍ではなく、仕事に必要なスキルや能力を条件にするよう案内されています(出典: 同)。
労働条件は書面で明示し、その際は母国語や平易な日本語など、本人が理解できる方法で示すよう努めることとされています(出典: 同)。出入国在留管理庁も、給料の支払いの仕組みや控除の制度が日本と違う国もあるため、控除の額や手取りの額を具体的な金額で示し、本人が理解できる方法で説明するよう呼びかけています(出典: 出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」)。
求人は、仕事で使う日本語の程度と「やさしい日本語」で書く
ここからは、採用を前に進めるための工夫です。求人に「日本語ができる方」と書いても、応募する人は自分が当てはまるかを判断できません。求める日本語の程度は、仕事の場面で書いてください。
- 注文を聞いて、くり返して確認できる日本語
- 先輩の指示を聞いて、作業を進められる日本語
- 会話はほとんど使わない。作業は手順書と見本で覚える
私がよくお伝えしている「仕事を分けて求人を出す」考え方は、ここでも使えます。同じ店の中でも、仕込みや洗い場のように会話が少ない仕事と、ホールのように接客が中心の仕事とでは、必要な日本語の程度が違います。主にする仕事を変えて求人を分け、それぞれに必要な日本語を書くと、応募する人が自分に合う求人を選びやすくなります。どの求人も、国籍にかかわらず誰でも応募できる形にしておきます。中身がほとんど同じ求人を並べると媒体側で重複とみなされることがあるので、仕事内容や時間帯は実態に合わせて書き分けてください。仕事内容の書き方は求人の仕事内容の書き方と例文に、職種名を含めた原稿全体の作り方は求人原稿の書き方にまとめています。
文章そのものは、「やさしい日本語」で書くと伝わりやすくなります。出入国在留管理庁と文化庁の「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」(2020年8月)には、たとえば次のようなポイントがあります。
- 一文を短くし、一つの文で言いたいことは一つにする
- 三つ以上のことを言うときは、箇条書きにする
- 「〜ないことはない」のような二重否定を使わない
- 尊敬語や謙譲語は使わず、文末は「です」「ます」でそろえる
- 時間は「午後6時から午後10時まで」のように書き、「〜」は使わない
- 漢字の量に気をつけ、ふりがなをつける
- できあがった文を、外国人などに読んでもらい、伝わるかを確かめる
求人の文に当てはめると、たとえば次のように書き換えられます。
| よくある書き方 | やさしい日本語の例 |
|---|---|
| 勤務時間 18:00〜22:00(シフト制) | 午後6時から午後10時まで働きます。働く日は相談して決めます |
| お気軽にご応募ください | このページから応募してください |
| 交通費規定支給 | 電車やバスのお金を払います。上限があります |
| 未経験者歓迎 | はじめての人も働けます。先輩がやり方を教えます |
| 日本語ができる方 | お客さんの注文を聞いて、くり返して言える人 |
入ってからの最初の期間を、短く、同じ人で
採用したあとに差がつくのは、最初の期間の教え方です。私が新人の受け入れでおすすめしているのは、仕事を覚える最初の期間をできるだけ短い間に詰め、できれば同じ人が続けて教えることです。日によって教える人が変わると、言い方ややり方が少しずつ違い、日本語に慣れていない人にとってはなおさら分かりにくくなります。留学生の場合は、週28時間の範囲に収まるようにシフトを組んだうえで、最初の数回は間を空けずに入ってもらうと、覚えたことが積み上がります。
初日は、店がいちばん忙しい日を避けてください。手が回らない中に新人が入ると、居場所がないと感じさせてしまいます。仕事の手順、持ち物、遅刻や休むときの連絡先は、写真や図を使った紙にしておくと、言葉だけで伝えるより確実です。出入国在留管理庁も、円滑なコミュニケーションのために翻訳機や通訳機を活用することも有効だとしています(出典: 出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」)。
そして、在留期間の満了日を一覧で管理します。担当者が変わると抜けやすい項目なので、満了日が近づいたら本人に更新の状況を確認する運用にしておくと安心です。新人の受け入れ全体の流れは新人がすぐ辞める店舗の共通点と、3ヶ月のオンボーディング設計で詳しく書いています。
まとめ
- 選考中は在留資格や資格外活動許可の有無を口頭・書面で確認し、内定後に在留カードで働ける範囲と在留期間を確かめる。2026年6月からは新しい券面と特定在留カードも加わっている
- 留学生は資格外活動許可の範囲(原則週28時間以内、長期休業期間は1日8時間以内)で働く。ほかの勤務先を含めた合計で管理する
- 雇い入れ・離職のときはハローワークへ届け出る。国籍で応募の可否や労働条件に差をつけない
- 求人には、仕事で使う日本語の程度を場面で書き、やさしい日本語で伝える
まずは、いま働いている外国人スタッフの在留期間の満了日と、資格外活動許可の内容を一覧にすることから始めてください。制度の判断は専門家や行政の窓口に任せ、店は求人と受け入れの質を高めることに力を使うのが、いちばん確実な進め方です。
よくある質問
留学生は週に何時間までアルバイトできますか?
出入国在留管理庁の案内では、資格外活動の包括許可を受けた留学生は、原則として1週について28時間以内、在籍する教育機関の長期休業期間は1日について8時間以内で働けます。複数のアルバイト先がある場合は、その合計で判断されます。
面接のときに在留カードを見せてもらってもよいですか?
厚生労働省は、採用選考の段階では在留資格や資格外活動許可の有無を口頭や書面で確認し、採用内定後に在留カードで就労できることを確認するよう案内しています。選考中に在留カードを提示させると、採否に偏見が入り込むおそれがあるためです。
外国人のアルバイトを雇ったら、届出は必要ですか?
必要です。特別永住者と、在留資格が「外交」「公用」の人を除き、雇い入れたときと離職したときにハローワークへ届け出ます。留学生のアルバイトや短期のアルバイトも対象です。
求人に「日本人のみ」「外国人のみ」と書いてもよいですか?
外国人だけを対象にしたり、外国人は応募できないとしたりする求人は出せません。厚生労働省は、国籍ではなくスキルや能力を条件にするよう案内しています。求める日本語の程度を、仕事の場面に即して書いてください。
特定在留カードとは何ですか?
在留カードとマイナンバーカードが一つになったカードで、2026年6月14日に運用が始まりました。資格外活動許可欄が表面にあるなど、確認する項目の位置が通常の在留カードと異なるので注意が必要です。