エリアマネージャーの役割|多店舗の店長を支える仕事と置きどき
この記事の結論
エリアマネージャーの役割は、複数の店舗を回って作業を手伝うことではなく、店長が店の中で判断できるように支え、店ごとの差を数字と人の配置で埋めることです。置きどきは、オーナーが全店の店長と定期的に話せなくなったとき、店長が欠員の穴埋めで手一杯になったとき、新店の準備と既存店の運営が重なるときが目安です。
店舗が2つ、3つと増えてくると、オーナーが1人で全部の店を見るのが難しくなります。店長と話す時間が取れない。店ごとに数字の差が開いてきた。新しい店の準備をしているあいだに、既存の店で人が辞めた。そこで出てくるのが、複数の店舗をまとめる役、エリアマネージャーです。
結論から言うと、エリアマネージャーの役割は、店を回って作業を手伝うことではなく、店長が店の中で判断できるように支え、店ごとの差を数字と人の配置で埋めることです。置きどきは、店の数より、オーナーが全店の店長と話せなくなったかどうかで判断します。
この記事では、エリアマネージャーの仕事の中身と、店長・オーナーとの分け方、置きどき、中から上げるか外から採るかを、私たちが自分たちの店舗の体制を考えてきたことを交えて整理します。
エリアマネージャーは「店長の上司」より「店長の支え役」
店長とオーナーの間に人を置くと、伝わるものが増える一方で、伝わらなくなるものも出てきます。私たちの店舗でも、アルバイトのスタッフの様子は店長を通して上がってくるのが基本で、代表の中野谷は「店長が気づけなかったら、多分僕はフォローできていなかった」と話しています。間に人が増えるほど、こうした話は届きにくくなります。
だからこそ、エリアマネージャーは店長に指示を流す役というより、店長の相談相手として、店長が気づけないことを一緒に拾う役に置くのが合っています。
代表・中野谷のひとこと
マネージャーを1人置いておくだけで、だいぶ変わるんだろうなって思っています。僕も、マネジメントを1人入れてもいいなって思っていて。でも、そこの管理コストもなとか、いまの店長を一個ポジション下げなきゃいけないんだよなとか、いろいろあって悩んじゃっています。
置けば楽になると分かっていても、人件費と、いまの店長の立場をどう扱うかで迷うのが、店が少ないうちの正直なところです。この迷いは、置く前に整理しておくと解きやすくなります。
エリアマネージャーの仕事5つ
| 仕事 | 中身 |
|---|---|
| 店長と定期的に話す | 店ごとに時間を決めて面談する。数字の話だけでなく、スタッフの様子と店長自身の困りごとを聞く |
| 店ごとの数字を同じ形で並べる | 売上、予約の埋まり具合、出勤の人数、次回予約などを、全店で同じ形にして毎週見る |
| 人の配置と応援を組む | 店をまたいだシフト、急な欠員のときの応援、研修のための異動を決める |
| 採用と育成の型をそろえる | 求人の出し方、面接、最初の研修の流れを全店でそろえ、店ごとの差を小さくする |
| オーナーと店をつなぐ | 方針を店に伝え、店の声をオーナーに上げる。決めるのはオーナー、という線を守る |
店ごとの数字を毎日見る習慣のつくり方は店舗の数字を毎日見る習慣、多店舗の採用をそろえる手順は多店舗展開の店舗採用を仕組み化する方法にまとめています。
店長・エリアマネージャー・オーナーの分け方
置く前に、誰が何を決めるかを紙に書いておきます。たとえば次のように分けます。
| 役割 | 主に決めること・やること |
|---|---|
| 店長 | その日の店の運営、シフトの確定、新人の現場での教育、お客さまへの対応 |
| エリアマネージャー | 店長の相談相手、店ごとの数字のふりかえり、店をまたぐ人の配置、採用と研修の型 |
| オーナー | 出店や閉店、価格、大きな投資、評価と給与の最終決定 |
ここで気をつけたいのは、エリアマネージャーが現場の作業の代わりに入り続けることです。応援に入るのが当たり前になると、店長の相談に乗る時間も、数字を見る時間もなくなり、ただの応援要員になってしまいます。代表の中野谷は、アルバイトの誰が入っても店が回る状態をつくり、社員は少しずつ現場から離れていくのが理想だと考えています。エリアマネージャーは、その形をつくる側に立つ役です。
置きどきのサイン
次のことが起きてきたら、エリアマネージャーを置く時期です。
- オーナーが、全店の店長と定期的に話す時間を取れなくなった
- 店長が、欠員の穴埋めで手一杯になっている
- 新しい店の準備と、既存店の運営が重なっている
- 同じ業態なのに、店ごとの数字の差が開いてきた
- 店長として力をつけた人に、次のポジションが必要になってきた
最後のサインは、店を増やす理由そのものになることもあります。2店舗目を出すかどうかの考え方は2店舗目を出すタイミングで整理しています。
中から上げるか、外から採るか
中から上げる いちばん自然なのは、店長として結果を出してきた人に任せることです。店のやり方も、スタッフのことも分かっています。ただし、現場の仕事が好きな人と、複数の店を見る仕事をしたい人は違います。代表の中野谷も、現場でお客さまやスタッフとにぎやかに働きたい人もいれば、その上の役割に進みたい人もいて、その間の差を埋めるのが難しい、と話しています。
代表・中野谷のひとこと
このポストを作りたいけど、どう思う?ってことを聞いてから決めています。それで給料が上がるんだったらやりたいです、って言われたりとか、責任が多いのは嫌です、とか、いろいろ出てきますが。
先に本人に聞き、任せる範囲と待遇を一緒に決めます。上がった人のいた店には、後任のリーダーを先に育てておきます。
外から採る 中に適任がいないときは、外から採ります。このとき求人では、「エリアマネージャー」「スーパーバイザー」という職種名だけに頼らず、複数の店舗の運営に関わる仕事であること、店の立ち上げに関わることもあること、といった中身を書きます。代表の中野谷は、店舗の求人を出すときも、職種名の切り口を増やし、複数の店舗にも対応することがある求人を別に作っておくと、そうした仕事に関心のある人に届きやすい、と考えています。外から来た人には、まず一つの店で一定の期間働いてもらい、店のやり方を体で覚えてから複数の店を任せると、店長たちとの関係もつくりやすくなります。
置くときに決めておくこと
権限と待遇 採用、シフト、評価にどこまで関わるのかを決めます。エリアマネージャーや店長を労働基準法の管理監督者として扱うかどうかは、肩書きではなく、権限・働き方・待遇の実態で判断されます。考え方は店長の労働時間と休みで解説しています。店をまたぐ移動の時間も含めて、労働時間を記録しておきます。
業態をまたぐときの伝え方 私たちの店舗では、ある業態の店長に、別の業態の店も兼ねて見てもらったことがあります。そのとき、もう一方の店のスタッフから「この施術の大変さが分かっていない」と受け取られやすく、まとめ役として話が通りにくい、という悩みが出ました。業態をまたいで見てもらうなら、エリアマネージャーの仕事は現場の技術を教えることではなく、店の運営を支えることだと、最初に全員で共有しておきます。それぞれの店には、現場の技術を教えるリーダーを別に立てます。
店長の声を拾う場 定期の面談、日報、月1回のミーティングなど、店長とスタッフの声が上がってくる場を決めておきます。私たちも、1on1で一人ひとりが仕事やキャリアに望むことを確認するようにしています。
まとめ
- エリアマネージャーの役割は、店の作業を手伝うことではなく、店長が判断できるように支え、店ごとの差を数字と人の配置で埋めること
- 置きどきは、店の数より、オーナーが全店の店長と話せなくなったか、店長が穴埋めで手一杯か、新店と既存店が重なっているかで見る
- 中から上げるなら本人に先に聞き、外から採るなら仕事の中身を求人に書く。権限・待遇・業態をまたぐときの伝え方を、置く前に決めておく
次の一歩として、オーナーがこの1か月で各店の店長と何回、何分話したかを書き出してみてください。話せていない店があれば、そこがエリアマネージャーに最初に任せる店です。
よくある質問
エリアマネージャーとスーパーバイザーは、何が違いますか?
呼び方は会社によって違います。フランチャイズでは、本部の社員が加盟店を回って指導する役をスーパーバイザーと呼ぶことが多く、直営や1社で複数の店舗をまとめる役をエリアマネージャーと呼ぶことが多いです。名前より、どの店の何に責任を持ち、何を決められるかを先に決めてください。
エリアマネージャーは、何店舗になったら置くべきですか?
店舗の数より、オーナーが全店の店長と定期的に話す時間を取れているかで決めます。店長と話せない店が出てきた、店ごとの数字の差が開いてきた、新店の準備と既存店の運営が重なった、といったときが置きどきです。
エリアマネージャーが店に入って働いてもよいですか?
急な欠員のときに応援に入ることはあってよいのですが、それが当たり前になると、店長の相談に乗る時間も、店ごとの数字を見る時間もなくなります。応援に入った回数と時間を記録して、続くようなら採用やシフトの組み方で解決します。
社内の店長をエリアマネージャーに上げるときの注意点は?
現場の仕事が好きな人と、複数の店を見る仕事をしたい人は違います。本人に、このポストをつくりたいがどう思うかを先に聞き、任せる範囲と待遇を一緒に決めます。上がった人のいた店には、後任のリーダーを先に育てておきます。