深夜・早朝バイトの採用のコツ|時間帯で求人を分け、時給と年齢の決まりを正しく書く
この記事の結論
深夜と早朝のアルバイト採用は、1本の求人にまとめず、時間帯ごとに分けて出すのが近道です。深夜の求人には基本の時給と午後10時〜午前5時の割増込みの時給を両方書き、18歳未満は深夜に働けないことを時間帯とあわせて示すと、その時間に働きたい人に正しく届きます。
深夜と早朝は、どちらも「人が集まりにくい時間帯」として、同じ悩みに数えられがちです。けれど、夜10時から働きたい人と、朝5時から働きたい人では、一日の過ごし方がまるで違います。働きたい理由も、応募の前に確かめたいことも違うのに、1本の求人で「深夜・早朝に入れる方」とまとめてしまうと、どちらの人にも半分しか伝わりません。
この記事では、店舗の深夜と早朝のアルバイト採用を時間帯ごとに組み立てる方法と、深夜の求人で外せない給与と年齢の書き方を、厚生労働省の一次情報とあわせて整理します。
深夜と早朝では、働く人の生活のリズムが違う
まず、2つの時間帯で何が違うのかを並べます。年齢や家庭の事情で「こういう人が来る」と決めつけるのではなく、その時間に働きたい生活のリズムの人に向けて書く、と考えると書き分けやすくなります。
| 深夜の枠(午後10時〜午前5時を含む) | 早朝の枠(開店前など) | |
|---|---|---|
| 働きたい理由になりやすいこと | 日中の時間を別のことに使える、割増のある時間に働ける | 朝のうちに仕事を終え、その後の時間を自由に使える |
| 応募の前に確かめたいこと | 一人になる時間があるか、帰り道、休憩の取り方 | 何時に終わるか、始発前でも通えるか、朝の作業の量 |
| 求人で前に出すこと | 基本の時給と深夜帯の時給、人員体制、防犯 | 終わる時刻、作業の中身、通い方 |
同じ店の求人でも、深夜と早朝では前に出す言葉がまったく変わります。
時間帯ごとに求人を分けて、入口を増やす
私がよくお伝えしているのは、同じ店の仕事でも、時間帯や仕事の中身で分けて出すと、求人が表示される場所が増えるということです。朝だけの募集を別に出すのは、その分かりやすい例です。重ならないように分けていけば、1店舗でも3〜4本には分けられます。
分けるときに気をつけたいのが、書き分ける量です。店の紹介のように共通にしてよい部分は3割ほどにとどめ、残りの7割は、その時間帯の仕事内容、時給、通い方に合わせて変えてほしいとお伝えしています。朝・夕方・夜で分けた求人を同じような書き方で並べると、媒体によっては重複とみなされて載らなくなるからです。経験の有無で分ける、時給を変えるなど、中身に違いをつけてください。時間帯と仕事内容での分け方は、小売・コンビニのアルバイト採用のコツでも詳しく書いています。
どの媒体が合うかも、業種や募集する時期、どの時間帯で働く人を探すかによって変わります。深夜と早朝で、出す媒体を変えるのも一つの手です。
深夜の求人は、基本の時給と深夜帯の時給を両方書く
深夜の時間帯には、法律で割増賃金が決まっています。労働基準法第37条は、午後10時から午前5時までに働いた時間について、通常の賃金の2割5分以上の率で割増賃金を支払うよう定めています(出典: 厚生労働省「確かめよう労働条件」アルバイトの深夜割増についてのQ&A、2026年10月確認)。
求人では、この割増で実際にいくらになるのかを書きます。ただし、割増込みの金額だけを大きく出すと、どの時間帯もその時給だと受け取られかねません。基本の時給と、深夜の時間帯の時給を並べて書くのが確実です。
- 書き方の例: 時給1,300円(22時〜翌5時は1,625円)
- 仮に基本の時給が1,300円なら、2割5分増しで深夜の時間帯は1,625円以上になります
- 週に何回入ると月いくらになるかを示すなら、いちばん多く入った場合ではなく、標準的な入り方の例で書く
求人を出す会社には、職業安定法で、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしないこと、求人情報を正確で最新の内容に保つことが義務づけられています(出典: 厚生労働省「職業安定法 改正のポイント」2022年10月1日施行、2026年10月確認)。深夜の時給をはっきり書くことは、この義務に沿うことでもあります。
もう一つ、今の時期に確かめたいのが最低賃金です。2026年度の地域別最低賃金は、都道府県ごとに10月1日から12月2日までの間に順に発効します(全国加重平均1,177円。出典: 厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」2026年9月3日発表)。深夜割増のうち通常の賃金を超える部分は、最低賃金と比べるときの賃金から除かれます(出典: 厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」、2026年10月確認)。割増込みの深夜の時給が新しい最低賃金を上回っていても、それだけでは足りません。計算の土台になる基本の時給が改定後の最低賃金を下回っていないかを、自分の県の発効日とあわせて確かめてください。給与欄の見直し方は求人の給与の書き方にまとめています。
18歳未満は深夜に働けない。年齢は時間帯とセットで書く
労働基準法第61条は、満18歳に満たない人を午後10時から午前5時までの間に働かせることを、原則として禁止しています(出典: 厚生労働省「確かめよう労働条件」アルバイトの深夜割増についてのQ&A、2026年10月確認)。
募集・採用で年齢を理由にした制限を設けることは、労働施策総合推進法で禁止されています(出典: 厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」、2026年10月確認)。ただし、法令の規定で年齢の制限がある場合は例外で、厚生労働省のQ&Aは、この18歳未満の深夜業の禁止を例外の一つに挙げています。そのうえで、深夜の時間帯を含む求人では下限の年齢を書く必要があり、その際は深夜の時間帯とあわせて書くよう示しています。例として挙がっているのは「午前1時〜4時までは深夜業のため18歳以上」という書き方です(出典: 厚生労働省「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A」Q3-1・Q3-3、2026年10月確認)。
実際の求人では、次のように考えます。
- 20時から翌2時までの枠なら、「22時〜翌2時は深夜業のため18歳以上」と時間帯を示して書く
- 早朝でも、午前5時より前に始まる枠は深夜の時間帯を含むので、同じように書く
- 午前5時から始まる早朝の枠や、夕方で終わる枠など、深夜にかからない求人には、ほかに法令上の理由がない限り「18歳以上」を付けない
最後の点は見落とされがちです。法令上の理由がないのに年齢の条件を付けると、年齢で応募を絞ることになってしまいます。時間帯ごとに求人を分けておけば、どの求人に年齢の記載が要るのかも整理しやすくなります。
深夜の不安には、体制と帰り道で答える
深夜の求人では、時給と並んで、安全面の不安が応募をためらわせる理由になります。一人で店を回すことになるのか、帰り道は大丈夫か。ここに答えていない求人は、興味を持たれても応募まで進みにくくなります。
- 深夜の人員体制(何人で入るか。一人になる時間があるなら、その時間帯と対策)
- 防犯の備え(防犯カメラ、非常時の通報の方法、レジの現金の扱い)
- 帰り方(駐輪場や駐車場の有無、終電の後の帰り方の実態)
- 休憩の取り方
- 深夜の実際の仕事(接客より、品出しや清掃、仕込みが中心になるなら、それを書く)
深夜を「大変な時間」としてだけ書く必要はありません。お客さまが少なく作業に集中できるなど、深夜だから働きやすい面が実際にあるなら、それも言葉にしてください。
早朝は「何時に終わるか」と「通えるか」を書く
早朝の求人では、始まる時刻と同じくらい、終わる時刻が見られます。その後の予定に間に合うかどうかで、応募するかを決める人がいるからです。
- 終わる時刻を書く。「時間どおりに上がれます」と書けるのは、実際にそうなっている場合だけです。延びることがあるなら、どれくらいの頻度か、延びた分の賃金がどうなるかを書く
- 開店前の作業を具体的に書く(納品の受け取り、品出し、清掃、仕込みなど)
- 週何日から、1日何時間から入れるかを書く
- 始発より前に始まる枠なら、徒歩・自転車・車で通えるか、駐輪場や駐車場があるかを書く
早朝の枠は短い時間になりやすく、通うのに時間がかかる人はそもそも応募しにくい時間帯です。そのぶん、店の近くに住む人には働きやすい条件になります。通える範囲の目安を書いておくと、近くの人に自分ごととして読んでもらえます。埋まらない時間帯を、その都度の頼み込みではなく採用の計画で埋める考え方は、店舗の定着率を上げるシフト設計で書いています。
連絡と面接は、相手の起きている時間に合わせる
深夜・早朝の採用で見落とされやすいのが、連絡する時間帯です。夜に働きたい人は日中に眠っていることがあり、朝の早い人には夜遅い電話は負担になります。応募した直後は早く連絡するのが基本ですが、電話をかける時間は相手の生活を想像して選んでください。
応募する人が面接を受けたい時間も、店の営業時間とは限りません。当社がAI面接を提供している支援先の受験記録では、22時〜翌9時に面接を受けた人が16.9%いました(出典: 当社「店舗採用データ 2026」、6社・1,117人、2026年5月19日〜9月26日。店舗ビジネスを中心とした当社支援先の実績で、市場平均ではありません)。深夜や早朝に働く人だけの数字ではありませんが、夜遅くや朝早くに面接を受けたい人がいることは分かります。私たちの店舗でも、最初の面接はAI面接にして、応募した人が都合のよい時間に受けられるようにしています。
- 媒体のメッセージ・メール・SMS・電話のどれかで届くよう、連絡の手段を重ねる
- 電話は、相手が起きていそうな時間を選ぶ
- 面接の候補日時は、応募した人の生活のリズムに合わせて出す。平日の昼だけに限らない
- 実際に働く時間帯の前後に面接を入れると、その時間の店の様子も見てもらえる
応募してから面接までの連絡の組み立て方は、応募対応のスピード設計で解説しています。
まとめ
- 深夜と早朝は、働く人の生活のリズムも、確かめたいことも違う。時間帯で求人を分け、文面の大部分を書き分ける
- 深夜の求人は、基本の時給と深夜帯の時給を両方書く。最低賃金の改定では、割増込みでなく基本の時給が新しい額以上かを確かめる
- 18歳未満の深夜業は原則禁止。年齢の条件は深夜の時間帯とあわせて書き、深夜にかからない求人には、ほかに法令上の理由がない限り付けない
次の一歩は、いま出している求人を「深夜」と「早朝」に分け、それぞれの給与欄と年齢の書き方を、この記事のチェックに沿って見直すことです。予算を増やさずに試せます。
動画で見る
代表の中野谷が発信している YouTube「店舗運営チャンネル【採用と集客】」から、この記事に関係する回です。
朝だけの募集のように、時間帯や仕事の中身で求人を分けると表示される場所が増えること、分けるときは文面の大部分を書き分けることを代表が話しています。
朝・夕方・夜のように時間で分けた求人は、同じ書き方だと重複とみなされるので、経験の有無や時給を変えて出し分けることを代表が話しています。
よくある質問
深夜と早朝のアルバイトは、同じ求人で募集してもよいですか?
募集はできますが、分けて出すほうが伝わります。深夜に働きたい人と早朝に働きたい人では、生活のリズムも、応募の前に確かめたいことも違います。時間帯ごとに求人を分け、それぞれの本文を書き分けてください。
深夜の時給は求人にどう書けばよいですか?
基本の時給と、深夜の時間帯の時給を両方書いてください。厚生労働省の案内のとおり、午後10時から午前5時までの労働には通常の賃金の2割5分以上の割増賃金が必要です。割増込みの金額だけを大きく出すと、どの時間帯もその時給だと誤解されるおそれがあります。
深夜の求人に「18歳以上」と書いてもよいですか?
18歳未満の深夜業は労働基準法で原則として禁止されているため、深夜の時間帯を含む求人では下限の年齢を書く必要があります。厚生労働省のQ&Aでは、深夜の時間帯とあわせて書く形が示されています。深夜にかからない時間帯の求人には、ほかに法令上の理由がない限り年齢の条件を付けないでください。
最低賃金が上がったら、深夜の時給も見直す必要がありますか?
見直してください。深夜割増のうち通常の賃金を超える部分は、最低賃金と比べるときの賃金から除かれます。割増の土台になる基本の時給が新しい最低賃金を下回っていないかを、勤務地の都道府県の発効日とあわせて確かめます。