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店舗経営とAI

面接の質問をAIで作る方法|プロンプトの例と、聞いてはいけない質問の除き方

この記事の結論

面接の質問をAIで作るときは、店の情報と「何を確かめたいか」を渡して質問案を出させ、人がその案を「聞いてはいけない質問が混じっていないか」「答えが判断に使えるか」の2つで点検してから使います。頼み方の中で、家族・出身・思想信条などを聞かないことを先に伝え、応募者の名前や履歴書などの個人情報は入れないのが基本です。

ChatGPTやClaudeのような生成AIに「アルバイト面接の質問を考えて」と頼むと、それらしい質問がすぐに並びます。面接のたびに質問を考える手間が省けるので、使わない手はありません。

ただ、出てきた案をそのまま使うのは危険です。AIは頼まれたとおりに、もっともらしい質問を書きます。その中には、「休みの日は何をしていますか」「ご家族はどんなお仕事を」のような、店の面接で悪気なく使われがちで、実は聞いてはいけない質問が混じることがあります。答えを聞いても採用の判断が何も変わらない質問も、たくさん入ってきます。

この記事では、店舗のアルバイト面接の質問をAIで作る手順を、そのまま使える頼み方の例と、人が聞いてはいけない質問を除く手順に分けて説明します。

AIに頼む前に、人が決めておく3つのこと

AIに質問を作らせる前に、次の3つは人が決めておきます。ここが決まっていないと、AIは一般的な質問を並べるだけになります。

  1. 面接で確かめたいこと — 入れる曜日と時間帯、通勤、忙しい時間帯に周りと協力して動けるか、応募のきっかけ。長く働いてくれている人と、すぐに辞めてしまった人の違いを思い出すと、店にとって確かめたいことが出てきます
  2. 面接の形と長さ — 店での対面か、オンラインか、AI面接か。何分で終えたいか
  3. 次に進んでもらう目安 — どんな答えなら、二次面接や採用に進んでもらうか

私たちが社内の仕事をAIに置き換えるときも、順番は同じです。人が先にやり方の型を作り、その型をAIに渡す。面接の質問でいえば、「何を確かめたいか」が型にあたります。

そのまま使えるプロンプトの例

上の3つを書き込んで、AIに渡す頼み方の例です。【 】の中を店に合わせて書き換えてください。

``` あなたは店舗のアルバイト採用を手伝う採用担当です。 次の条件で、アルバイト面接の質問案を作ってください。

■お店と仕事 ・業態:【例:駅前のカフェ】 ・募集する仕事:【例:ホール(注文・配膳・レジ)】 ・人が必要な時間帯:【例:平日の夕方〜閉店、土日の昼】

■面接で確かめたいこと ・入れる曜日と時間帯 ・通勤 ・忙しい時間帯に、周りと声をかけ合って動けるか ・応募のきっかけと、不安に思っていること

■質問の作り方 ・1つの質問で聞くことは1つにする ・考えではなく、過去に実際にしたことを聞く ・質問ごとに「何を確かめる質問か」と「答えが浅いときの聞き直し方」を1行ずつ書く ・面接は【15分】で終わる数にする

■入れてはいけない質問 ・本籍・出生地、家族のこと(職業・続柄・健康・収入など)、住まいの様子、生活環境・家庭環境 ・宗教、支持政党、人生観、尊敬する人物、思想、労働組合、愛読書など ・結婚や出産の予定、恋人の有無、性別によって変える質問 ・年齢を理由に判断するための質問 ・仕事に必要のない健康状態や病歴

分からないことがあれば、作る前にまとめて質問してください。 ```

最後の一文は、入れておくと効きます。

代表・中野谷のひとこと

分からないことは、質問事項としてまとめて教えて、と言っておいた方がいいです。AIから質問が返ってくるので、それに答えていくと、ある程度形になります。

AIから「ランチの時間帯も人が必要ですか」「経験のない人も採りますか」といった確認が返ってきたら、それはこちらの書き漏れです。答えを足していくほど、店に合った質問案になります。

AIの案から、聞いてはいけない質問を除く手順

案が出てきたら、使う前に人が点検します。頼み方で「入れてはいけない質問」を伝えていても、言い回しを変えて似た質問が入ってくることがあるからです。

手順1: 判断の物差しを確かめる

厚生労働省は、採用選考は応募者の適性・能力に基づいた基準で行うことを基本とし、本籍・出生地、家族に関すること、住宅状況、生活環境・家庭環境といった本人に責任のない事項や、宗教・支持政党・人生観・尊敬する人物・思想・労働組合・愛読書など本来自由であるべき事項を、応募書類に書かせたり面接で尋ねたりして把握することは、就職差別につながるおそれがあるとしています(出典: 厚生労働省「男女均等な採用選考ルール」令和8年6月作成「採用選考時に配慮すべき事項」・「公正な採用選考の基本」2026年10月確認)。

性別についても、同じリーフレットに、女性にだけ子どもが生まれた場合に働き続ける意思を質問することが、面接での違法な取扱いの例として載っています。年齢については、厚生労働省は年齢を理由に応募者を不採用とすることも法律違反になるとしています(出典: 厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」2026年10月確認)。

手順2: 1問ずつ、表に当てて読む

AIの案を上から1問ずつ読み、次の表に当てはまるものを外します。外すだけで終わらず、確かめたかったことを仕事に関係する聞き方に言い換えるのがこつです。

AIの案に混じりやすい質問 何に当たるか 言い換えの例
「ご家族は、どんなお仕事をされていますか」 家族に関すること 外す。勤務の都合を知りたいなら「入れる曜日と時間帯を教えてください」
「一人暮らしですか、ご実家ですか」 住まい・生活環境 外す。通えるかを知りたいなら「お店まで、どのくらいの時間で通えますか」
「ご出身はどちらですか」 本籍・出生地 雑談でも聞かない
「休みの日は、何をして過ごしていますか」 生活環境・思想信条に触れやすい 外す。人柄を知りたいなら「人と協力して何かをやり遂げた経験を教えてください」
「尊敬する人は誰ですか」「好きな本は」 本来自由であるべき事項 外す
「結婚や出産のご予定はありますか」 家庭環境に関わり、性別による取扱いにもつながりやすい 外す。長く働けるかを知りたいなら、全員に「どのくらいの期間働きたいと考えていますか」

手順3: 聞き直しの質問まで読む

AIは、質問ごとに「答えが浅いときの聞き直し方」も書いてきます。表の質問は、本体の質問より、この聞き直しの中に入り込みやすいので、最後まで目を通します。AI面接に設定する場合は、なおさらです。AI面接では同じ質問が全員にそのまま聞かれるので、1つ混じれば全員に繰り返されます。

手順4: 別の目線で、もう一度点検させる

人が点検したあとに、AIに別の役割を与えて、もう一度見させるのも効きます。

代表・中野谷のひとこと

マーケターやデザイナーのAIスタッフを作って、僕だったら事業責任者も入れて、議論させて、必要なものは修正して、とお願いしちゃいます。

これはホームページづくりの相談のときに話していたやり方ですが、面接の質問にもそのまま使えます。たとえば「応募者の立場で、答えにくい質問や不快に感じる質問を挙げて」「採用の決まりに詳しい担当者の立場で、就職差別につながるおそれのある質問がないか確かめて」と、目線を変えて点検させます。ただし、AIが「問題ありません」と答えても、最後に決めるのは人です。

私たちは求人の相談を受けるときも、性別や年齢で差をつける書き方をしないよう、お伝えしています。面接の質問も同じで、AIに作らせたものほど、人の目で通して読む一手間を省かないでください。店舗の面接で悪気なく出やすい質問の全体像は「面接で聞いてはいけないこととは」にまとめています。

判断に使える質問かを確かめる

聞いてはいけない質問を除いたら、残った質問を、判断に使えるかどうかで絞ります。基準は、答えを聞いたあとに、店長の判断が動くかどうかです。

  • 「当店の印象を教えてください」のように、誰が答えても似たような答えになる質問は、判断に使えません
  • 「接客は好きですか」のように「はい」で終わる質問は、過去にしたことを聞く形に変えます。「お客様に喜ばれた経験を、1つ教えてください」
  • 確かめたいことが同じ質問が2つあれば、1つにまとめます

面接の時間を決めているなら、ここで数を合わせます。AI面接で使う場合の長さの目安や、質問のまとまりの組み方は「AI面接の質問設計」で詳しく書いています。

応募者の情報は、AIに入れない

面接の質問を作るのに、応募者の個人情報は要りません。応募者ごとに質問を変えたくなっても、履歴書や応募のメッセージをそのままAIに読み込ませるのは避けてください。

個人情報保護委員会は、事業者が生成AIサービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、利用目的の達成に必要な範囲内であることを十分に確認すること、あらかじめ本人の同意を得ずに個人データを含むプロンプトを入力する場合は、そのサービスの事業者が個人データを機械学習に利用しないことなどを十分に確認することを求めています。あわせて、応答結果には不正確な内容が含まれることがあるとも注意しています(出典: 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」令和5年6月2日・2026年10月確認)。

社内でAIに入れてよい情報と入れない情報の分け方は「生成AIを社内で使うときの情報の扱い」で整理しています。

使いながら直す: AIの案と、人が直した版を両方残す

質問は、一度作って終わりではありません。面接で使ってみると、答えにくそうだった質問、全員が同じ答えをした質問、判断に迷ったときに聞いておけばよかったことが出てきます。それを次の頼み方に書き足して、案を作り直します。

このとき、AIが最初に出した案と、人が直して実際に使った版を、両方とも残しておくと便利です。何をどう直したかが見えれば、次に頼むときの「入れてはいけない質問」や「質問の作り方」の書き足しどころが分かります。AIの答えと人の判断を分けて残す考え方は、採用以外の仕事も含めて「AIに判断を任せるときのルール」にまとめています。

まとめ

  • AIに頼む前に、確かめたいこと・面接の形と長さ・次に進んでもらう目安の3つを人が決める
  • 頼み方には、店と仕事の情報、質問の作り方、入れてはいけない質問の一覧を書き、分からないことは先にまとめて質問させる
  • 出てきた案は、人が1問ずつ表に当てて、聞いてはいけない質問を外して言い換える。聞き直しの質問まで読み、判断に使えるかで絞る。応募者の個人情報はAIに入れない

次の一歩は、この記事の頼み方の例を、店の業態と募集する仕事に書き換えて、一度AIに渡してみることです。出てきた案を表に当てて読むだけで、いま使っている質問の中にも、外したほうがいいものが見つかるかもしれません。

よくある質問

面接の質問をAIに作らせても大丈夫ですか?

質問の案を作らせるのは便利です。ただし、AIの案には聞いてはいけない質問や、答えを聞いても判断に使えない質問が混じることがあります。人が1問ずつ点検してから使うことが前提です。

どんなプロンプト(頼み方)で頼めばよいですか?

店の業態と募集する仕事、必要な時間帯、面接で確かめたいこと、質問の作り方の決まり、入れてはいけない質問の一覧を渡します。最後に「分からないことがあれば先にまとめて質問して」と添えると、こちらの書き漏れをAIが聞き返してくれます。

AIが聞いてはいけない質問を出してきたら、どうすればよいですか?

その質問は外し、確かめたかったことを仕事に関係する聞き方に言い換えます。たとえば家族のことを聞く質問は外し、入れる曜日と時間帯を直接聞く形にします。直したあとは、もう一度一覧で通して読みます。

応募者の履歴書をAIに読み込ませて、質問を作ってもよいですか?

避けたほうが安全です。個人情報保護委員会は、事業者が生成AIに個人情報を含む入力をするときは、利用目的の範囲内かを十分に確認し、本人の同意なく個人データを入力する場合は、そのデータが機械学習に使われないことなどを十分に確認するよう注意を促しています。質問づくりには、応募者の情報は要りません。

AI面接の質問も、この方法で作れますか?

作れます。AI面接では同じ質問が全員にそのまま聞かれるので、聞いてはいけない質問が1つ混じると全員に繰り返されます。深掘りの聞き方まで含めて点検してから設定してください。

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