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店舗採用・応募支援

保育士の採用のコツ|待遇より先に「働き方の中身」を見せる

この記事の結論

保育士の採用は、給与の数字を上げる前に、持ち帰り仕事・行事の準備・職員どうしの関わり方といった「働き方の中身」を事実で書くのが近道です。あわせて、正職員・短時間パート・資格のない人向けの保育補助と求人を分け、園長や主任の顔と考え方を見せると、ほかの園と比べられたときに選ばれやすくなります。

「保育士は取り合いだから、うちのような園には応募が来ない」。そう感じている園は少なくないと思います。こども家庭庁が示すデータでは、保育士の有効求人倍率は2.42倍(2024年4月)で、全職種平均の1.18倍を大きく上回っています(出典: こども家庭庁「保育士・保育の現場の魅力発信に関する取組について」2025年10月)。資格を持つ人の数は限られていて、給与の数字だけで張り合えば、規模の大きい法人が有利なのは確かです。

ただ、保育士が職場を選ぶ理由は給与だけではありません。私たちは飲食や美容など店舗ビジネスの採用支援が中心で、保育園を専門に支援してきたわけではありません。それでも、少人数のチームで回る職場の採用には、業種を越えて通じるやり方があります。私たちは自分たちの店舗で先に試し、効いたものだけをお客さまに届けることを大事にしています。この記事では、公的な調査の数字も確かめながら、保育士の採用で園が今日からできることをまとめます。

保育士が職場選びで見ているもの

東京都が保育士登録者などを対象に行った調査で、いま保育士として働く人に職場を選ぶときに重視した項目を聞いたデータでは、1位が「勤務地」で72.3%、2位が「職場の人間関係」で51.9%でした(出典: 東京都「令和4年度東京都保育士実態調査 結果の概要」2023年4月公表。現在保育士として働く11,277人の複数回答)。過去に保育士として働いていた人が辞めた理由の調査データでも、「職場の人間関係」が31.5%で最も多く、「仕事量が多い」が23.1%で続いています(出典: 同調査。過去に保育士として働いた経験がある2,241人の複数回答)。

給与が大事でないということではありません。同じ調査でも、いまの職場で働き続けるために充実を望む項目の1位は給与でした。ただ、給与の額は園の努力だけではすぐに動かせない一方で、「どんな人と、どれくらいの仕事量で働くのか」は、求人の書き方でいますぐ伝えられます。

求人に「アットホームな職場です」「子どもたちの笑顔があふれる園」と書いても、応募する人の疑問には答えていません。知りたいのは、前の職場でつらかったことが、ここでも起きるのかどうかです。答えになるのは、たとえば次のような中身です。

  • 書類や記録の書き方(手書きか、端末で入力できるか)
  • 持ち帰りの仕事があるか、あるならどれくらいか
  • 行事の数と、その準備を勤務時間のどこでしているか
  • 有給休暇をどう取っているか
  • 職員の人数と担任の持ち方(複数担任かどうか)、長く勤めている職員がいるか

こども家庭庁の資料でも、非効率な事務作業や紙での業務のために子どもと向き合う時間が取れない、という声が課題として挙げられています(出典: こども家庭庁「保育士・保育の現場の魅力発信に関する取組について」2025年10月)。記録の入力を端末に変えた、行事の準備を勤務時間内に確保した、といった「園として変えてきたこと」があるなら、それは大きな訴求材料になります。仕事内容の書き方は求人の仕事内容の書き方と例文でも詳しく解説しています。

抽象的な言葉を、事実に置き換える

保育の求人は、どの園も似た言葉が並びやすく、違いが伝わりにくいという悩みを抱えています。選ばれるためにいちばん確かなのは、抽象的な言葉を事実に置き換えることです。

よくある書き方 置き換えた書き方の例
アットホームな職場 職員○名・各クラス複数担任。困ったときはその場で相談できる
残業少なめ 記録はタブレットで入力。行事の準備は勤務時間内に時間を取っている
風通しの良い職場 月1回の職員会議で、保育の方針を全員で話し合って決めている
ブランクOK 復帰した人は最初の1か月、担任を持たずにクラスに入りながら慣れていく

ここで大事なのは、実際にできていることだけを書くことです。求人の情報で、事実と違う表示や誤解を生む表示をすることは職業安定法で禁じられていて、募集する側には内容を正確で最新に保つことも求められています(出典: e-Gov法令検索「職業安定法」第5条の4、厚生労働省「令和4年職業安定法の改正について」)。まだできていないことは、「これから整えていきます」とそのまま書けば十分です。

職員の年代を並べて雰囲気を伝えようとするのは、避けたほうが無難です。スタッフの年齢層を事実として書くこと自体は直ちに年齢制限には当たらないとされていますが、その年齢層を優先して募集していると誤解されないよう努める必要があります(出典: 厚生労働省「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A」令和7年4月1日現在)。伝えたいのが職場の空気なら、年齢ではなく、働き方や職員どうしの関わり方で書いてください。

求人は、資格と時間で分けて出す

店舗の採用でも、私たちはまず求人を1本で終わらせないところから始めます。求人サイトは、職種名や働き方をもとに、どの人に求人を表示するかを決めています。担任を持つ正職員の求人を1本出しているだけでは、短い時間なら働ける人や、資格はないけれど保育の現場で働きたい人の画面には出てきません。

分け方の例を挙げます。

  • 正職員(担任を持つ)
  • パート・短時間(保育補助が中心)
  • 早朝や延長保育など、時間帯を限った枠
  • 資格のない人向けの保育補助

雇用形態はいちばん分けやすい軸です。時給や月給の書き方も自然に変わるので、それぞれ別の求人として書き分けやすくなります。気をつけたいのは、本文をほとんど同じにしないことです。同じ文面が続く求人は、媒体側で重複と判断されて載らないことがあります。共通にしてよいのは園の紹介など全体の3割ほどで、残りの仕事内容・時間・給与は枠ごとに書き分けます。短時間の人を含めたシフトの組み方は店舗の定着率を上げるシフト設計も参考になります。

資格のない人の募集では「保育士」と名乗らせない

「保育士」は、資格を持ち、都道府県の保育士登録簿に登録を受けた人が名乗る名称です。保育士でない人が保育士やこれに紛らわしい名称を使うことは、児童福祉法で禁じられています(出典: e-Gov法令検索「児童福祉法」第18条の4・第18条の18・第18条の23)。資格のない人を募集するときは、「保育補助」のように資格と混同されない職種名で出し、任せる仕事の範囲もそれに合わせて書いてください。保育士の求人のほうでは、「保育士資格をお持ちで、保育士登録をされている方」のように応募の条件をはっきり書きます。

現場を離れている保育士に届ける

資格を持ちながら、いまは保育の仕事から離れている人、いわゆる潜在保育士にも目を向けてください。先ほどの東京都の調査で、過去に保育士として働いていた人に復職するときの希望条件を聞いた結果の上位は次のとおりです。

復職する場合の希望条件 挙げた人の割合
勤務時間(1日) 73.8%
給与等(年収) 69.0%
通勤時間(片道) 61.6%
勤務日数(週) 57.3%

出典: 東京都「令和4年度東京都保育士実態調査 結果の概要」2023年4月公表(過去に保育士として働いた経験がある2,241人の複数回答)

1日の時間と週の日数が合えば戻れる人がいる、ということです。短時間の枠を別の求人として立て、「何時から何時まで」「週何日から」を具体的に書いてください。通勤時間を気にする人も多いので、最寄り駅からの道のりや、自転車で通えるかどうかも目に入る場所に書いておく価値があります。

短時間の枠は「人が中途半端に増えるだけ」と思われがちです。けれど、担任が記録や準備に使う時間をつくる人手として組み立てれば、正職員が辞めにくい職場づくりにもつながります。採用と定着は、別々の問題ではありません。

働き方を変えても辞めずに続けられる道があることも、求人に書いておきたい中身です。私たちの会社でも、出産や育児などで働き方を変えたいときに、店舗の仕事から事務や在宅の仕事へ移れる道を用意しています。保育なら、担任から短時間へ、短時間から担任へと行き来できるかどうかを書いておくと、先の暮らしまで考えて職場を選ぶ人に届きます。

届け先も一つではありません。都道府県などが運営する保育士・保育所支援センターでは、保育士資格を持つ人への求人の紹介や研修、保育所の見学への同行などを行っています(出典: こども家庭庁「地域情報」保育士・保育所支援センター)。2025年10月に施行された児童福祉法の改正で、都道府県にはこうした拠点の機能を担う体制を整えることが定められました(出典: e-Gov法令検索「児童福祉法」第18条の24、こども家庭庁「保育士・保育の現場の魅力発信に関する取組について」2025年10月)。地域のセンターに、園の求人を紹介してもらえるか問い合わせてみてください。

園長・主任の顔を出す

条件の近い園どうしで迷ったとき、最後の決め手になるのは園の空気だと私たちは考えています。そして空気は、園長や主任がどんな人かで大きく変わります。いまの求人に園長の顔や言葉が載っていないなら、そこに差をつける余地があります。

  • 園長・主任の顔写真と、保育で大事にしていることを短く載せる
  • 「面接は私が担当します。入ってから困ったときも私に相談してください」のような一言を入れる
  • 職員が実際に働いている様子の写真を添える

写真は、園児の写真より先に、一緒に働く職員が分かる1枚を置いてください。園児が写る写真は保護者の同意など扱いに配慮が要るので、職員を中心にしたほうが進めやすいはずです。スマートフォンで撮った自然な写真で十分で、作り込んだ写真より「この人たちと働くんだ」と伝わります。写真のそろえ方は求人写真の撮り方で紹介しています。

見学を入口にして、面接では大変なところも伝える

保育の採用では、いきなり面接に呼ぶより、「まず園を見に来てください」のほうが応募のハードルは下がりやすくなります。園の空気は、実際に来てもらわないと伝わらないからです。履歴書なしで来られる見学を入口にしてみてください。

面接は、園が選ぶ場であると同時に、園が選ばれる場です。応募してくれた人は、ほかの園の話も並行して聞いていることがあります。

  • 「なぜほかの園ではなく、うちなのか」を園長の言葉で伝える
  • 「なぜあなたに来てほしいのか」を本人に具体的に伝える
  • 勤務時間や担任の持ち方、入る時期など、本人の希望をその場ですり合わせる

もう一つ、私たちが自分たちの店舗の面接で大事にしているのが、仕事の良くない面を先に話すことです。保育なら、行事の前の忙しさや保護者対応の難しさなど、入ってから知ると「聞いていなかった」になりやすいことほど、面接で先に伝えてください。知ったうえで来てくれた人は、入ってからの「こんなはずじゃなかった」が小さくなります。

内定は、できるだけ早く出してください。迷っている間に、ほかの園に決まってしまうことがあります。内定までの連絡の段取りは、応募対応のスピード設計を参考にしてください。

まとめ

  • 保育士は給与だけで職場を選んでいない。勤務地と人間関係が重視されているので、持ち帰り・行事・職員の関わり方を事実で書く
  • 求人は正職員・短時間・保育補助に分ける。資格のない人の募集では「保育士」と名乗らせない
  • 現場を離れている保育士には、1日の時間と週の日数を具体的に示し、保育士・保育所支援センターにも求人を届ける
  • 園長・主任の顔と考え方を見せ、見学を入口にし、面接では大変なところも先に伝える

まずは今の求人を開いて、「アットホーム」「風通しが良い」といった言葉を一つずつ事実に置き換えてみてください。置き換えられない言葉が残ったら、そこが園として次に手を入れる場所です。

動画で見る

代表の中野谷が発信している YouTube「店舗運営チャンネル【採用と集客】」から、この記事に関係する回です。

【意外と知らない】採用原稿のカテゴリー分け?ターゲットに響く求人内容を分けた作成の仕方
雇用形態や時間帯で求人を分けて、それぞれの働き方を探している人の画面に出す考え方を代表が話しています。

よくある質問

保育士の求人で、給与のほかに何を書けばよいですか?

書類や記録のやり方、持ち帰り仕事の有無、行事の準備をいつするか、有給休暇の取り方、職員の人数や担任の持ち方など、働き方の中身を事実で書いてください。応募する人は、前の職場でつらかったことがここでも起きるのかを知りたがっています。

資格のない人を「保育士」として募集してもよいですか?

できません。保育士は児童福祉法で名称が守られていて、資格を持ち登録を受けた人しか名乗れません。資格のない人の募集は「保育補助」など資格と混同されない職種名で出し、任せる仕事の範囲もそれに合わせて書いてください。

現場を離れている保育士に応募してもらうには、どうすればよいですか?

短時間の枠を別の求人として立て、1日の勤務時間と週の日数、通勤のしやすさを具体的に書いてください。都道府県などが運営する保育士・保育所支援センターでも就職の相談や求人の紹介を行っているので、園の求人を紹介してもらえるか問い合わせてみてください。

求人に職員の年齢層を書いてもよいですか?

事実を書くこと自体は直ちに年齢制限には当たらないとされていますが、その年齢層を優先して募集していると誤解されないよう努める必要があります。伝えたいのが職場の雰囲気なら、年齢ではなく、働き方や職員どうしの関わり方で書くのがおすすめです。

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