ドライバーの採用のコツ|免許の区分と1日の流れを書くと、求人への応募が変わる
この記事の結論
ドライバーの採用は、求人に「どの免許で乗れる車か」と「何時に出て何時に戻るか」を正確に書くことから始まります。普通免許で運転できる車の範囲は免許を取った時期によって違うため、車両総重量と最大積載量、必要な免許の区分まで書き、車の種類や配送の形ごとに求人を分けると、合う人に届きやすくなります。
ドライバーの求人を見た人が最初に確かめるのは、給与の額より手前のことです。自分の免許でその車に乗れるのか。何時に出て、何時に戻れるのか。どんな荷物を、どのあたりまで運ぶのか。ここが書かれていない求人は、条件が良くても判断がつかず、後回しにされます。
私は求人広告の会社で約10年、アルバイトの求人に携わり、いまは店舗の採用支援をしながら自分たちでも店舗を運営しています。ドライバーの採用は、運送会社だけでなく、配送や送迎を抱える店舗でも出てくる悩みです。この記事では、職種名、免許、拘束時間、応募後の連絡という採用の基本を、ドライバーの仕事に当てはめて整理します。
応募する人が最初に見るのは「乗れる車か」と「拘束時間」
ドライバーの仕事は、同じ月給でも中身がまったく違います。朝に出て夕方に戻る仕事と、夜明け前に出て夜に戻る仕事では、1時間あたりの重さが別物です。経験のある人なら、額面と一緒に拘束時間を見て比べます。
求人には、次のことを実態どおりに書いてください。
- 出庫の時刻と、ふだん帰庫するおおよその時刻
- 1日に回る件数、または走る距離のおおよその幅
- 休憩の取り方(どこで、どれくらい)
- 残業の実態と、月あたりのおおよその幅
- 休みの形(週休2日、シフト制など)
- 運ぶ荷物の種類と、1つあたりの重さの目安
労働時間のルールも押さえておきます。自動車運転の業務には2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、特別条項付きの36協定を結ぶ場合の時間外労働の上限は、年960時間です。あわせて、運転時間や勤務と勤務の間の休息について定めた「改善基準告示」を守る必要があります(出典: 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」、2026年10月確認)。拘束時間を正直に書くことは、応募する人にとってそのまま判断材料になります。書きにくい実態があるなら、求人の言い回しで隠すのではなく、働き方の側を先に見直すほうが採用は進みます。
普通免許で乗れる車は、免許を取った時期で違う
ドライバー採用ならではの落とし穴が、免許の区分です。普通免許で運転できる車の範囲は、2007年6月2日と2017年3月12日の道路交通法の改正で、2回変わっています。改正の前に取った普通免許は、前の範囲で運転できる扱いのまま残っているため、同じ「普通免許」でも、取った時期によって乗れる車が違います。
| 普通免許を取った時期 | いまの扱い | 運転できる車の範囲 |
|---|---|---|
| 2007年6月1日まで | 中型免許(8t限定) | 車両総重量8t未満・最大積載量5t未満・乗車定員10人以下 |
| 2007年6月2日〜2017年3月11日 | 準中型免許(5t限定) | 車両総重量5t未満・最大積載量3t未満・乗車定員10人以下 |
| 2017年3月12日から | 普通免許 | 車両総重量3.5t未満・最大積載量2t未満 |
(出典: 警察庁交通局運転免許課「運転免許統計 令和6年版」本書における用語の定義、警察庁・都道府県警察「改正道路交通法が施行されます」、2026年10月確認)
大切なのは、応募する人の年代で判断するのではなく、免許の区分と車の重さという事実で書くことです。求人に「普通免許」とだけ書くと、応募した人も会社も、乗れるかどうかを取り違えます。面接まで進んでから乗れないと分かれば、お互いに時間を失います。防ぐには、次のように書きます。
- 職種名に車の種類を入れる(例: 2トントラックの配送ドライバー、軽バンでのルート配送スタッフ)
- 車検証で車両総重量と最大積載量を確かめ、必要な免許を区分の名前で書く
- 取得時期で乗れるかが分かれる車なら、その目安も添える(例: 車両総重量5t未満・最大積載量3t未満の車なら「準中型免許以上。2017年3月11日までに取った普通免許でも運転できます」)
- AT限定でよいかどうかを書く
- 免許取得の支援があるなら、会社が費用をどこまで持つか、勤務期間などの条件まで書く
免許取得の支援は、これから免許を取りたい人にとって大きな判断材料です。ただし「必ず取れる」のように結果を約束する書き方は避け、支援の中身を事実として書いてください。
免許を応募の条件にしても、年齢制限には当たらない
中型や大型の免許は、受験資格に年齢や運転経験の条件があります(出典: 警察庁・都道府県警察「改正道路交通法が施行されます」、2026年10月確認)。そのため、「中型免許が必要」と書くと年齢で線を引いているように見えないか、と心配される方もいます。
厚生労働省のQ&Aでは、資格の受験資格に年齢の制限があっても、その資格を持っていることを募集・採用の条件にするのは法違反にならない、とされています(出典: 厚生労働省「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A」Q1-8、2026年10月確認)。仕事に必要な免許は、遠慮なく条件として書いて構いません。
一方で、募集・採用で年齢を理由にした制限を設けることは、労働施策総合推進法で禁止されています(出典: 厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」、2026年10月確認)。体力が必要な仕事でも、年齢で区切るのではなく、仕事の具体的な内容と必要な身体能力を求人で示すことが大切だと、同じQ&Aでも説明されています(出典: 同Q&A Q8-1)。荷物の重さ、1日の積み下ろしの回数、階段での運び込みがあるかなど、仕事の中身で書いてください。
1日の流れを時刻つきで書く
拘束時間をもう一段具体的にしたのが、1日の流れです。たとえば次のような形です(例)。
| 時刻 | 内容 |
|---|---|
| 7:00 | 出社、点呼、車両の点検 |
| 7:30 | 担当エリアの荷物の積み込み |
| 8:30 | 午前の配送 |
| 12:00 | 休憩(休憩所または車内) |
| 13:00 | 午後の配送 |
| 17:00 | 帰庫、日報と伝票の整理 |
| 17:30 | 退社 |
この表があれば、応募する人は自分の毎日に重ねて判断できます。判断できる求人には応募が集まり、判断できない求人は「いったん保留」で終わりがちです。合わない人が最初から応募しないので、面接での辞退や入ってからのずれも小さくなります。仕事内容の欄の組み立て方は求人の仕事内容の書き方と例文にまとめています。
車の種類・配送の形・雇用形態で求人を分ける
求人サイトは、職種名などからその求人をどの種類の仕事として扱うかを決め、その仕事を探している人に表示します。私がよくお伝えしているのは、1本の求人に全部を詰め込むより、仕事を分けて入口を増やすことです。1本にまとめた求人は、どの仕事を探している人にも届きにくくなります。
分ける軸の例です。
- 車の種類: 軽バン、2トン、4トン、大型
- 配送の形: ルート配送、宅配、送迎、スポット
- 雇用形態: 正社員、契約社員、アルバイト・パート
なかでも雇用形態は、給与や働き方がはっきり変わるので、いちばん分けやすい軸です。業務委託でも募集しているなら、雇用の求人とは必ず分け、どちらの契約の募集なのかがひと目で分かるように書いてください。
配送の形が違えば、伝えるべき特徴も変わります。ルート配送なら「決まった取引先を回る」こと、歩合のある宅配なら「件数によって収入が変わる」ことが中心になります。同じ文面で両方を狙うのは無理があります。
分けた求人は、それぞれ文面を書き分けてください。ほとんど同じ文面を並べると、媒体によっては同じ求人とみなされて載らなくなります。職種名の付け方は求人タイトル(職種名)の付け方と例文で詳しく解説しています。
給与と歩合は「標準的な働き方」で見せる
給与で気をつけたいのは、いちばん条件が良いときの金額だけを大きく出さないことです。歩合があるなら、標準的な働き方で月にどれくらいになるかを書き、上限の額を書くなら、そのために何件・何時間が必要かを本文で示してください。入ってからの食い違いは、早い退職につながりやすくなります。
求人を出す会社には、職業安定法で、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしないこと、求人情報を正確で最新の内容に保つことが義務づけられています(出典: 厚生労働省「職業安定法 改正のポイント」2022年10月1日施行、2026年10月確認)。給与欄の組み立て方は求人の給与の書き方で解説しています。
写真は車より「一緒に働く人」と「荷物」
ドライバーの求人の写真は、トラックの外観だけになりがちです。けれど応募する人が不安に思っているのは、車そのものより、誰と働くのか、分からないことを聞ける人がいるのか、どれくらいの荷物を運ぶのかです。
- 一緒に働く先輩や所長の顔が分かる写真
- 実際に運ぶ荷物と、積み込みの様子(重さが想像できるもの)
- 営業所、休憩する場所、更衣室
- 実際に乗る車
荷物が写った写真があると、体力面の不安を自分で確かめられます。作り込んだ写真でなくても、スマートフォンで撮った普段の様子で十分です。
応募が来たら、運転中の人にも届く連絡を
ドライバーの仕事を探している人には、いま別の会社で運転している人も含まれます。日中は電話に出られないことを前提に、連絡と面接の時間を組み立ててください。
参考までに、当社のデータも紹介します。当社がAI面接を提供している支援先で、面接を受けた時刻を見ると、18時〜翌9時に受けた人が37.5%でした(出典: 当社「店舗採用データ 2026」、6社・1,117人、2026年5月19日〜9月26日。店舗ビジネスを中心とした当社支援先の実績で、市場平均でもドライバー職の数字でもありません)。店の営業時間の外に面接を受けたい人が、一定の割合でいることが分かります。
- 応募した日のうちに連絡する。媒体のメッセージ・メール・SMS・電話を組み合わせ、どれかで気づいてもらう
- 電話がつながらなければ、仕事が終わっていそうな時間にもう一度かける
- 面接日はできるだけ近い日で決め、夕方以降の時間も選べるようにする
- 面接では実際に乗る車を見てもらい、免許証で運転できる区分もその場で一緒に確かめる
内定から初日までの間も気を抜けません。ここで連絡が途切れると、そのまま来なくなることがあります。初日の集合時刻、場所、持ち物を伝え、前日にも一言連絡を入れてください。応募してから面接に来てもらうまでの段取りは、応募対応のスピード設計で解説しています。
まとめ
- ドライバーの求人で最初に見られるのは、乗れる車かと拘束時間。出庫・帰庫の時刻と1日の流れを時刻つきで書く
- 普通免許で乗れる車は、取った時期で違う。車両総重量と最大積載量を確かめ、必要な免許を区分の名前で書く。免許を条件にしても年齢制限には当たらないが、年齢そのもので線は引かない
- 車の種類・配送の形・雇用形態で求人を分け、文面を書き分ける。応募後は、運転中の人にも届く時間帯で連絡する
次の一歩は、いま出しているドライバーの求人の必要免許の欄を、車検証を横に置いて見直すことです。「普通免許」とだけ書いていたら、そこが最初に直す場所です。
動画で見る
代表の中野谷が発信している YouTube「店舗運営チャンネル【採用と集客】」から、この記事に関係する回です。
職種名によって求人がどの種類の仕事として扱われ、誰の画面に出るかが変わること、Indeedの管理画面でその仕事を探している人の数を確かめながら職種名を調整する方法を代表が話しています。
1つの仕事を中身や時間で分けて複数の求人にすると表示される場所が増えること、雇用形態は条件が変わるので分けやすいことを代表が話しています。
よくある質問
ドライバーの求人に「普通免許」とだけ書いてもよいですか?
おすすめしません。警察庁の資料のとおり、普通免許で運転できる車の範囲は、免許を取った時期によって違います。実際に乗ってもらう車の車両総重量と最大積載量を確かめ、必要な免許の区分を書いてください。
中型や大型の免許を応募の条件にすると、年齢制限になりませんか?
厚生労働省のQ&Aでは、資格の受験資格に年齢の制限があっても、その資格を持っていることを募集・採用の条件にするのは法違反にならないとされています。求人には年齢ではなく、必要な免許と仕事の内容を具体的に書いてください。
拘束時間はどこまで求人に書けばよいですか?
出庫と帰庫のおおよその時刻、休憩の取り方、残業の実態、休みの形を、実態どおりに書いてください。時刻つきの1日の流れがあると、応募する人が自分の生活に当てはめて判断できます。
免許取得の支援制度はどう書けばよいですか?
会社が費用をどこまで持つのか、勤務期間などの条件があるのかを、事実として書いてください。「必ず取れる」のように結果を約束する書き方は避けます。