Column コラム

店舗経営とAI

AIで作った画像を求人・ホームページに使うときの注意点|著作権と媒体のルール

この記事の結論

AIで作った画像だから使えない、ということはありませんが、既存の作品に似ていれば、使う人が元の作品を知らなくても著作権の侵害になり得ます。店舗の求人やホームページに使う前に、似た作品がないかを画像検索などで確かめ、使うAIサービスの利用規約と載せる媒体のルールを確認し、どんな指示で作ったかを残しておきます。求人では、実際の職場やスタッフに見える画像は使わず、本物の写真で伝えます。

求人に載せる写真がない、ホームページの画像が足りない。そんなとき、AIで画像を作れば、すぐに用意できます。私たちも、広告の案を考えるときに、AIに画像の案を作ってもらうことがあります。

ただ、AIの画像は便利なぶん、気をつけることも多い道具です。著作権の問題に加えて、求人では「実際と違う職場に見えてしまう」という、採用ならではの問題もあります。この記事では、文化庁が示している「AIと著作権」の考え方と、店舗が求人やホームページにAIの画像を使うときに確かめることをまとめます。

AIの画像でも、既存の作品に似ていれば著作権の侵害になり得る

文化庁の資料では、AIで作った画像をSNSなどに載せたり販売したりする場合も、通常の著作権侵害と同じ基準で判断されると説明しています。生成された画像に、既存の作品との「類似性」(創作的な表現が共通していること)と「依拠性」(既存の作品をもとに作ったこと)が認められ、権利を制限する規定の対象にも当たらなければ、著作権の侵害になります(出典: 文化庁著作権課「AIと著作権に関する考え方について【概要】」令和6年4月)。

注意したいのは、使う人が元の作品を知らなくても、侵害になり得ることです。同じ資料では、その作品がAIの学習に使われていた場合、使う人が作品を知らなくても、通常は依拠性があったと推認されるとしています。「真似したつもりはない」だけでは、安心できないということです。

反対に、既存の作品との類似性や依拠性が認められなければ著作権の侵害にはならず、許諾なく使える、とも説明されています。AIで作ったから一律に使えない、というわけではありません。だからこそ、使う前の確認が大事になります。

使う前に確かめる4つのこと

文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日)は、AIを業務で使う人に向けて、著作権のリスクを減らす取り組みをまとめています。店舗の使い方に置き換えると、確かめることは次の4つです。

  1. 似た作品がないかを確かめる — AIで作ったものを使う前に、まずは既存の作品と似ていないかを確認することが必要だとし、方法としてインターネットの文章検索や画像検索を挙げています
  2. 作品名やキャラクター名を指示に入れない — 既存の作品のタイトルやキャラクター名などの固有名詞を指示に入れると、既存の作品を知っていたことを推認させる事情になり、依拠性が認められやすくなるとしています
  3. 使うサービスの利用規約を確かめる — サービスによっては、著作権侵害のおそれがある使い方を規約で禁止したり制限したりしているので、あらかじめ規約を確かめて従うことが必要だとしています。商用で使ってよいか、作った画像の扱いがどうなっているかも、このときに見ておきます
  4. どんな指示で作ったかを残す — 依拠性がないことを説明できるよう、生成に使った指示などを、あとから確かめられる状態にしておくことが望まれるとしています

4つ目は、私たちがAIを使うときにいつも大事にしている「AIが出したものと、人が決めたことを分けて残す」と同じ考え方です。いつ、どの道具で、どんな指示で作り、誰が使うと決めたか。表に1行残しておくだけでも、あとで説明ができます。残し方の考え方はAIに判断を任せるときのルールにまとめています。

AIで作った画像の著作権は、店のものになるとは限らない

もう1つ知っておきたいのが、AIで作った画像そのものの著作権です。文化庁の考え方では、AIが自律的に生成したもの、つまり人が何も指示を与えず、または簡単な指示を与えるだけで生成のボタンを押して作ったものは、著作物に当たらないとされています。

一方で、人が創作の道具としてAIを使ったと認められれば、著作物に当たり、使った人が著作者になると考えられています。その判断では、創作的な表現を具体的に示す詳しい指示をしたか、生成物を見ながら指示を直してくり返したか、人が手を加えたか、といった事情が考慮されます(出典: 文化庁著作権課「AIと著作権に関する考え方について【概要】」令和6年4月)。

店のロゴや看板の絵のように、長く使い、ほかの店に真似されたくないものほど、AIに任せきりにしないほうが安心です。AIの案は参考にとどめ、最後は人の手で仕上げることも考えてください。

求人の画像は「実際の職場とスタッフ」で

求人にAIの画像を使うときは、著作権とは別の問題があります。応募する人は、求人の写真から、職場の雰囲気や一緒に働く人を想像しています。AIで作った「笑顔のスタッフ」や「整いすぎた店内」が実際の職場と違えば、応募する人を誤解させることになります。職業安定法は、広告などで求人や募集の情報を出すときに、うその表示や、誤解を生じさせる表示をすることを禁じています(出典: 厚生労働省「職業安定法に基づく周知 労働者の募集広告の表示について」2026年10月確認)。

応募が来ても、面接や初日に「写真と違う」と感じさせてしまえば、辞退や早い離職につながりかねません。求人の写真は、実際に一緒に働くメンバーと職場を、そのまま写すのが基本です。きれいに作り込んだ写真より、スマートフォンで撮った普段の様子のほうが、応募する人には伝わります。

代表・中野谷のひとこと

むしろiPhoneで撮ったほうがうれしいです。きれいな写真を撮っちゃうと、もう宣材写真みたいな感じになっちゃうので。

撮り方のコツは求人写真の撮り方にまとめています。求人にAIの画像を使うなら、仕事の流れを説明する図や、アイコンのような飾りにとどめ、人や職場そのものに見える画像は使わないのが安全です。求人の文章をAIで作るときの注意はChatGPT・Claudeで求人原稿を作るときの注意点で書いています。

ホームページや集客の画像で気をつけること

ホームページやSNS、チラシに使う画像も、確かめることは同じです。似た作品がないかを確かめ、サービスの規約に沿って使ったうえで、店舗では次の点にも気をつけます。

  • 料理や商品、施術の仕上がりをAIで作らない — 実際より良く見える画像は、お客さまを誤解させます。とくにサロンや整体、ホワイトニングなどでは、効果を思わせる表現そのものに注意が要ります
  • 実在の人や、ほかの店に見える画像を作らない
  • AIで作った画像を使う場面を、店で決めておく — 飾りや説明の図には使う、実物を見せる場面には使わない、のように線を引く

AIでホームページを作るときも、画像には実際の店とスタッフの写真をできるだけ渡すほうが、店らしい仕上がりになります。代表は、AIでホームページを作るときにスタッフの写真もできるだけ渡すようにすると、そこそこきれいに仕上がる、と話しています。

媒体ごとの画像のルールも確かめる

求人サイトや予約サイト、地図サービスなど、画像を載せる媒体には、それぞれ画像についての掲載のルールがあります。AIで作った画像の扱いを、媒体が独自に決めていることもあり得ます。載せる前に、その媒体の掲載ルールや規約を確かめ、分からないときは媒体の窓口に問い合わせてください。

まとめ

  • AIで作った画像でも、既存の作品と似ていて、それをもとにしていると認められれば著作権の侵害になり得る。使う人が元の作品を知らなくても、学習に使われていれば依拠性が推認される
  • 使う前に、似た作品がないかを検索で確かめ、作品名やキャラクター名を指示に入れず、サービスの規約と媒体のルールを確認し、どんな指示で作ったかを残す
  • 求人の写真は、実際の職場とスタッフで。AIの画像は説明の図や飾りにとどめ、人や職場そのものに見える使い方はしない

次の一歩として、いま求人やホームページに載せている画像を一覧にし、AIで作ったもの、写真素材、自分たちで撮ったものに分けてみてください。AIで作ったものと素材のうち、職場やスタッフに見えるものから差し替えを考えます。

よくある質問

AIで作った画像は、店のホームページや求人に使ってもよいですか?

使えますが、使う前の確認が要ります。文化庁の考え方では、AIで作った画像でも、既存の作品と似ていて(類似性)、その作品をもとにしている(依拠性)と認められれば、著作権の侵害になり得ます。画像検索などで似た作品がないかを確かめ、使うAIサービスの利用規約と、載せる媒体のルールも確認してください。

AIで作った画像の著作権は、店のものになりますか?

場合によります。文化庁の考え方では、人が指示を与えずに、または簡単な指示だけで生成のボタンを押して作ったものは著作物に当たらないとされ、人が創作の道具としてAIを使ったと認められれば著作物になり得るとされています。著作物に当たらなければ、ほかの人に同じような画像を使われても止めにくい点は知っておいてください。

求人の写真の代わりに、AIで作ったスタッフの画像を使ってもよいですか?

おすすめしません。応募する人は、写真から職場の雰囲気や一緒に働く人を想像します。実際と違う人や職場に見える画像は、応募者を誤解させるおそれがあります。職業安定法は、求人や募集の情報について、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示を禁じています。スタッフの写真は、スマートフォンで撮った本物で十分です。

有名な作品やキャラクターの名前を指示に入れて画像を作ってもよいですか?

避けてください。文化庁のチェックリストでは、既存の作品のタイトルやキャラクター名などの固有名詞を指示に入れると、使う人が既存の作品を知っていたことを推認させる事情になり、依拠性が認められやすくなるとしています。

← コラム一覧へ 店舗採用データ 2026 →