会議の文字起こしと議事録をAIで回す|中小企業・店舗の使い方と注意点
この記事の結論
会議の議事録は、録音・録画と文字起こしをAIに任せ、要点と「やることの候補」まで出させると、人は確認と決定だけで回せるようになります。そのときに守るのは、録ることを最初に参加者へ伝える、元の文字起こしを残す、やることにするかは人が決める、個人情報の扱いと置き場所を決めておく、の4つです。
議事録を書く担当を置ける会社は、多くありません。中小企業や店舗では、会議のあとに誰かがメモを清書するか、誰も書かずに「たしかあのとき決めたはず」で進んでいくことがほとんどです。
私たちは、社内の会議もお客さまとの打ち合わせも記録して、その文字起こしを毎朝まとめ、やることの候補をAIに出させています。この記事では、その回し方を中小企業や店舗向けに一般化して、道具の選び方と、やってはいけないことまでまとめます。
AIで議事録を回すと、いちばん変わるのは「話したことが残る」こと
議事録をAIに任せると、清書の手間が減るのはもちろんです。ただ、実際に回してみていちばん効いているのは、話したことが全部残り、あとから探せるようになったことでした。
前回なにを決めたか、あのお客さまが何を気にしていたか、誰が何をやると言ったか。人の記憶やメモに頼っていたことが、言葉のまま残ります。次の打ち合わせの前に読み返せば、話の続きから入れます。
代表・中野谷のひとこと
結局、メモリを残しておいたほうがいいかなっていう派なんです。新しいことをやるっていうときも、過去のメモリからやっぱり出てくるじゃないですか。なので、ミーティングのときに話した話とかは基本的に入れておいて、あとあと使うか使わないかは置いといて、どこかにどんどん蓄積させている感じです。
流れは5段: 録る、文字にする、まとめる、候補を出す、人が決める
議事録をAIで回す流れは、次の5段に分けると整理しやすくなります。
| 段 | 誰がやるか | ポイント |
|---|---|---|
| 録る | 道具(主催者が始める) | 始める前に、録ることを参加者に伝える |
| 文字にする | AI | 話した人の取り違えや聞き間違いが起きる前提で扱う |
| まとめる | AI | 決まったこと・保留のこと・次の予定に分けさせる |
| やることの候補を出す | AI | 「誰が・何を・いつまでに」の形で出させる |
| 決める | 人 | 候補を本当にやることにするか、担当と期限を決める |
AIに任せるのは真ん中の3段です。最初と最後、つまり「録り始める」と「やることを決める」は人が持ちます。
まとめの形は、毎回同じにしておくと読みやすくなります。たとえば「決まったこと」「決まらなかったこと」「次にやること」「次回までに確認すること」の4つの見出しで出すよう、AIへの頼み方を固定しておきます。
道具の選び方: 会議ツールの機能か、録音してから文字にするか
道具は大きく2つあります。
- Web会議のツールに組み込まれた、文字起こしや自動メモの機能を使う
- 録音・録画したものを、文字起こしの道具やAIに渡してまとめさせる
1つ目の例として、Google Meetの「自動メモ生成」は、2026年10月時点のヘルプによると、日本語の会議に対応しています。オンにすると参加者全員にメモが作成されていることが通知され、画面に鉛筆のアイコンが表示されます。会議が終わるとメモのドキュメントが主催者のGoogleドライブに保存されます。使うには、対象となるGoogle Workspaceのエディションか、Google AIのプランへの登録が必要です(出典: Google Meet ヘルプ「Google Meet の「自動メモ生成」」2026年10月確認)。
対面の会議や、店舗のミーティングなら、2つ目の方法になります。スマートフォンなどで録音し、文字起こしをしてからまとめさせます。
どちらを選ぶ場合も、次の3点で決めると迷いません。
- 会議の多くはオンラインか、対面か
- 記録が誰のアカウントに残るか(個人のアカウントではなく、会社として管理できる場所か)
- 社外の人が入る会議があるか
録る前に、録ることを伝える
会議を記録するときに、技術より先に大事なのが、参加者に伝えることです。Google Meetのヘルプでも、自動メモ生成をオンにしたら、その機能を使っていることを全員に知らせるよう案内しています(出典: 同ヘルプ・2026年10月確認)。
私たちも、打ち合わせの冒頭で「記録をとっています」と一言伝えるようにしています。決めておきたいのは次のことです。
- 社内の会議は、記録することを会社のルールとして先に共有しておく
- 社外の方との打ち合わせは、始まる前に断る。断られたら記録しない
- 途中で「ここは記録に残したくない」という話が出たら、止める
- 採用の面接や、スタッフとの1対1の面談は、通常の会議とは扱いを分ける。記録するなら本人の了承を取り、体調や家庭の事情のような話は残さない
AIのまとめは、元の文字起こしとセットで残す
AIのまとめは便利ですが、間違いが混じります。個人情報保護委員会も、生成AIサービスでは入力に対する応答結果に不正確な内容が含まれることがある、と注意を促しています(出典: 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」令和5年6月2日・2026年10月確認)。
議事録でよく起きるのは、次のような間違いです。
- 話した人の取り違え — 自動の話者の分け方は、声が似ている人や、同時に話した場面で入れ替わることがあります。私たちの記録でも、発言者の名前が入れ替わっていることがあります
- 固有名詞や数字の聞き間違い — 商品名、地名、金額、日付
- 決まっていないことが、決まったように書かれる — 「検討しましょう」が「やることになった」にまとめられてしまう
だからこそ、まとめだけを残すのではなく、元の文字起こしと一緒に保存しておきます。お金・日付・約束ごとに関わる部分は、まとめではなく元の記録で確かめてから動きます。
「やることの候補」は、人が決めてから「やること」にする
議事録をAIで回す効果がいちばん大きいのは、やることの拾い漏れが減ることです。会議で「じゃあ私が確認しておきます」と言ったきり誰も覚えていない、ということがなくなります。
代表・中野谷のひとこと
議事録とかも全部、このあとにAIが食ってくれるようになっているんですよ。AIが確認してくれて、大切な情報を、僕の考えっていうところに入れ込んでくれたりしているので。アウトプットしているところを一個一個逃さないようには、今頑張っています。
ただし、AIが出した候補を、そのまま「やること」にはしません。私たちは、AIが拾った候補を担当者が見て、採用する・直す・捨てるを決めてから、やることの一覧に入れています。AIが拾った候補と人が決めた結果は別々に残しておくと、AIがどんな発言を拾い過ぎ、どんな発言を見落としやすいかが見えてきて、頼み方を直すときの材料になります。この残し方はAIに判断を任せるときのルールで詳しく書いています。
個人情報と、記録の置き場所を決めておく
会議の記録には、お客さまや応募者、スタッフの名前や事情が含まれます。個人情報保護委員会は、事業者が生成AIサービスに個人情報を含む指示を入力する場合、特定した利用目的の達成に必要な範囲内であることを十分に確認し、入力したデータが応答の出力以外の目的で扱われないよう、機械学習に使われないことなどを確認するよう注意喚起しています(出典: 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」令和5年6月2日・2026年10月確認)。
実務では、次の3つを決めておけば大きく外しません。
- 使う道具は、会社として契約し、規約と設定を確かめたものに限る
- 記録を見られる人を決める(全員が全部を見られる状態にしない)
- 記録を残しておく期間と、要らなくなったときの消し方を決める
どこまでAIに任せ、どこを人が持つかの全体の考え方はAIに任せる仕事と人がやる仕事の線引きにまとめています。
店舗での使い方: 月1のミーティングから始める
店舗なら、まずは月1回の全体ミーティングで試すのがおすすめです。
- 録音して文字起こしし、「決まったこと」と「次の月にやること」だけを短くまとめさせる
- そのまとめを、休みで出られなかったスタッフにも共有する
- 次のミーティングの最初に、前回の「やること」がどうなったかを確かめる
朝礼のような短い場は、毎回記録しなくても構いません。決まりごとや目標が変わった回だけ残す、くらいの使い方で十分です。AI活用をどこから始めるかは中小企業・店舗のAI活用は何から始める?も参考にしてください。
まとめ
- AIに任せるのは、文字起こし、まとめ、やることの候補出し。録り始めることと、やることを決めることは人が持つ
- 録ることは最初に伝える。AIのまとめは元の文字起こしと一緒に残し、お金・日付・約束は元の記録で確かめる
- 道具は会社として管理できるものを選び、見られる人と残す期間を決めておく
まずは次の社内の会議を1回、参加者に伝えたうえで録音して、AIに「決まったこと」「次にやること」の2つでまとめさせてみてください。会議のあとに何をすればいいかが、紙1枚で分かるようになります。
よくある質問
会議の議事録はAIでどこまで自動化できますか?
録音・録画、文字起こし、要点のまとめ、やることの候補出しまではAIに任せられます。人が残すのは、まとめが合っているかの確認と、候補を本当にやることにするか、誰が担当するかの決定です。
会議を録音・録画するとき、参加者に伝える必要はありますか?
伝えてください。Google Meetのヘルプでも、自動メモ生成をオンにしたら、使っていることを全員に知らせるよう案内しています。社外の方が入る打ち合わせは、始まる前に一言断っておくのが基本です。
AIがまとめた議事録は、そのまま使ってよいですか?
そのままは使わず、元の文字起こしと一緒に残して、数字・日付・約束ごとは元の記録で確かめてください。自動の文字起こしは、話した人の取り違えや固有名詞の聞き間違いが起きることがあります。個人情報保護委員会も、生成AIサービスの応答結果には不正確な内容が含まれることがあると注意を促しています。
会議の記録に個人情報が含まれる場合は、どうすればよいですか?
個人情報保護委員会は、生成AIサービスに個人情報を含む指示を入力する場合、利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認し、入力したデータが機械学習に使われないことなどを確認するよう注意喚起しています。会社として契約した道具を使い、記録を見られる人と保存しておく期間を決めておきます。