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面接・AI面接

面接官によって評価がバラバラ問題を構造化面接で解決する

この記事の結論

面接官によって評価がバラバラになるのは、面接官の能力差ではなく、聞くこと・評価の物差し・記録の3つが決まっていないからです。評価項目を3〜5個に絞り、項目ごとの質問と4段階の物差しを言葉で書き、採用後の働きぶりと突き合わせて直していくのが構造化面接の進め方です。

同じ応募者について、A店長は「ぜひ採りたい」と言い、B店長は「うちには合わない」と言う。理由を聞くと、どちらも「なんとなくの印象」で、話が噛み合わない。店舗を複数持つ会社なら、一度は見たことのある場面ではないでしょうか。

これは面接官の能力の差ではなく、面接の設計が決まっていないことから来る、ごく自然な結果です。応募を増やすと、面接官も面接の回数も増え、ブレはさらに大きくなります。応募を増やせば見きれず、絞れば応募が来ない。この板挟みのなかで、一人ひとりをきちんと見るための土台になるのが「構造化面接」です。この記事では、そのやり方を質問の作り方から運用の続け方まで順に説明します。

構造化面接とは「聞くこと」と「物差し」を先に決めておく面接

構造化面接とは、質問の内容と順番、評価の基準を事前に決め、誰が面接しても同じ手順で進める面接のことです。どこまで決めておくかで、面接は3つに分けられます。

方式 進め方 起きること
非構造化 その場の流れで自由に聞く 面接官ごとに聞く内容が変わり、応募者どうしを比べられない
半構造化 共通の質問+自由な深掘り 主な項目はそろう。深掘りの質は面接官次第
構造化 質問・順番・評価基準を固定 応募者どうしを同じ条件で比べられる

面接官の裁量が大きいほど、評価は個人の好みやその日の気分に引っぱられます。決めごとが多いほどブレは小さくなりますが、すべてを固定すると会話が硬くなり、応募者にとって味気ない面接になりがちです。店舗の採用では、必ず聞く項目だけを固定する半構造化から始めるのが現実的です。

評価がバラつく3つの原因

構造化に入る前に、なぜバラつくのかを分けておきます。原因はだいたい次の3つです。

  1. 質問がその場で決まっている — 面接官によって聞くことが違えば、集まる情報も違います。一人は勤務できる曜日を細かく確かめ、もう一人は前の職場の話ばかり聞いた。この時点で、2人の応募者を比べる土台がありません。
  2. 評価の言葉があいまい — 「コミュニケーション力がある」「元気がいい」「素直」。よく使われる言葉ですが、人によって指している中身が違います。声の大きさを見ている人もいれば、相手の話を最後まで聞けるかを見ている人もいる。同じ言葉で違うものを測っていれば、結論が割れて当然です。
  3. 記録が残らない — 面接のあとに残るのが「◯」「△」だけでは、後から確かめようがありません。採用した人が活躍したのか、すぐに辞めたのか。その結果を面接のときの評価と突き合わせられなければ、面接の精度はいつまでも上がりません。

構造化面接のやり方: 5ステップ

ステップ1: 評価項目を3〜5個に絞る

まず、自社で活躍している人・長く続いている人に共通することを書き出します。そこから、面接で確かめられるものだけを3〜5個選びます。10個並べても、面接の時間内には見きれません。店舗のアルバイト採用なら、「勤務条件が合うか」「続けられる見込み」「人への接し方」「仕事への向き合い方」の4つ程度で十分です。

ステップ2: 項目ごとに質問を決める

1つの項目につき、必ず聞く質問を1〜2問決めます。固定するのは「必ず聞く質問」で、会話を禁じるわけではありません。共通の質問を先に済ませ、残った時間で自由に深掘りする組み立てにします。

質問を決めるときは、厚生労働省が示している「公正な採用選考」の考え方を確認してください。本籍・出生地、家族のこと、住まいや生活環境、宗教・支持政党・尊敬する人物・愛読書といった思想・信条にかかわる事柄は、仕事の適性と関係がなく、就職差別につながるおそれがあるとされています(出典: 厚生労働省「公正な採用選考の基本」2026年9月確認)。雑談のつもりの一言でも、面接官ごとに聞いたり聞かなかったりすれば、それ自体がブレになります。質問リストに入れないだけでなく、「聞かないこと」も面接官の間でそろえておきます。

ステップ3: 4段階の物差しを言葉で書く

各項目に、点数ではなく「どういう答えなら何点か」を言葉で書きます。たとえば「続けられる見込み」なら、次のような具合です。

  • 4: 通勤も勤務できる時間も無理がなく、続けたい理由を自分の言葉で話せる
  • 3: 条件に問題はないが、続けたい理由は一般的
  • 2: 条件の一部に無理がある
  • 1: 通勤かシフトのどちらかが明らかに合わない

ここが構造化面接のいちばん大事な部分です。この物差しを飛ばすと、結局は印象で点をつけることに戻ってしまいます。

ステップ4: 面接の進め方を型にする

「はじめのあいさつと面接の流れの説明 → 共通の質問 → 仕事と職場の説明 → 応募者からの質問」のように、順番と時間の目安まで決めます。型があれば、面接に慣れていない人でも大きく外しません。

このとき、仕事の大変な面は職場の説明の中で先に伝えるようにしてください。私たちが運営している店舗でも、手に負担がかかる仕事であることなど、良くない面を面接の段階でお話ししています。良い面だけを聞いた人は、入ってからのずれで辞めやすいからです。また、会社の説明をする役と合否を決める役を分け、最初の面談では合否を出さずに説明に徹する、というやり方を試したこともあります。評価する人が説明もしようとすると、どちらかがおろそかになりやすいからです。

ステップ5: 記録を残し、採用後の結果と突き合わせる

評価シートは保管し、採用した人が実際に活躍したか、続いたかと照らし合わせます。記録が何か月分かたまると、どの評価項目が本当に効いているのかが見えてきます。項目は増やすのではなく、効いていないものを削っていくのがコツです。

私はこの「面接での会話」と「採用後にどれだけ働いたか」をつなげて見ることが、採用をよくするいちばんの近道だと考えています。どんな受け答えをした人が長く続いているのかが分かれば、「こういう人を採っていこう」という基準を、採用の時点でつくれるようになるからです。

質問の作り方: 「考え」ではなく「過去の行動」を聞く

構造化面接の質は、質問の作り方でほぼ決まります。原則は、考えや意欲を尋ねるのではなく、実際にとった行動を尋ねることです。

  • 差が出にくい質問: 「責任感はありますか」「チームで働くのは得意ですか」 — ほとんどの人が「はい」と答えます
  • 差が出やすい質問: 「アルバイトや学校、前の職場で、予定どおりに進まなかったときのことを教えてください。そのとき、あなたは何をしましたか」

深掘りは3つの問いで足ります。「そのときはどんな状況でしたか」「あなたは具体的に何をしましたか」「その結果どうなりましたか」。この順に聞くと、実際に経験した人とそうでない人の差が自然に出てきます。

もう一つの原則は、質問を全員に同じ言葉で読み上げることです。同じ内容でも、言い方を変えると返ってくる答えが変わります。台本を使うことを気にする必要はありません。「皆さんに同じことを伺っています」とひと言添えれば、応募者には公平な会社に映ります。

型は作った瞬間から崩れ始める。続けるための3つの工夫

構造化面接のいちばんの敵は、面接官が忙しくて型を飛ばすことです。続けるために、次の3つを仕組みにしてください。

  1. 面接官ごとに数字を見る — 面接官ごとの合格の割合、内定を承諾してもらえた割合、採用後に続いた割合を並べます。承諾の割合が特定の面接官だけ低いなら、仕事や職場の魅力を伝える部分が弱いのかもしれません。数字で見えるようになって初めて、型の見直しが個人への指摘ではなく「改善の話」になります。
  2. 定期的に目線を合わせる — 同じ面接の記録を何人かで採点し、点がずれた項目について「なぜその点にしたか」を話し合う時間を取ります。1時間ほどで十分です。
  3. 質問リストを会社の資産にする — 面接官の頭の中ではなく、1枚の紙やデータで管理し、更新した日を書いて配ります。人が入れ替わっても型が残ります。

人の手で「毎回同じ面接」を続けられないときの現実解

とはいえ、店長が店を回しながら毎回同じ面接をやりきるのは簡単ではありません。忙しい日は質問が抜け、その日の体調や気分にも左右されます。応募が増えるほど、このブレは大きくなります。

現実的な解の一つが、一次面接を仕組みに寄せることです。全員に同じ質問を同じ順番で出し、回答を録画・記録して、同じ基準で要約やスコアにまとめる。そうすれば、面接官の裁量が入るのは「記録を見て最終判断する部分」だけになります。応募者にとっても、日程を合わせずに都合のよい時間に受けられるという利点があります。当社の支援先の記録では、AI面接1回にかかった時間は中央値で11.2分でした(出典: 当社「店舗採用データ 2026」。AI面接を導入した当社支援先6社、2026年5月19日〜9月26日の実績で、市場平均ではありません)。共通の質問を確実に聞き切るには、十分な長さです。

AI面接の仕組みは「AI面接とは?仕組み・メリット・導入の流れ」で、評価の中身をどう見比べるかは「AI面接ツールの選び方と導入時の注意点」で解説しています。

どちらの方法をとるにしても、出発点は同じです。評価項目を3〜5個に絞り、物差しを言葉で書く。この土台がなければ、人がやっても仕組みに任せても、評価のブレは消えません。

まとめ

  • 面接の評価がバラつく原因は、面接官の能力差ではなく、質問・評価の言葉・記録の3つが決まっていないこと
  • 構造化面接は「評価項目を3〜5個に絞る → 質問を決める → 4段階の物差しを言葉で書く → 進め方を型にする → 記録して採用後の結果と突き合わせる」の5ステップ。適性と関係のない事柄は質問に入れない
  • 型は放っておくと崩れる。面接官ごとの数字と定期的な目線合わせで続け、面接の記録と採用後の働きぶりをつなげて基準を育てる

まずは次の面接から、共通の質問を3問だけ決めて、全員に同じ言葉で聞いてみてください。それだけで、比べられる情報が手元に残り始めます。

動画で見る

代表の中野谷が発信している YouTube「店舗運営チャンネル【採用と集客】」から、この記事に関係する回です。

AI面接で採用は変わる?茂木さんに新規事業を本気で相談!
面接でどんな会話をした人が、採用後に何日働いたのかをつなげて見ていけば、「こういう人が定着する」という基準を採用の時点でつくれる、という考え方を代表が話しています。

よくある質問

構造化面接とは何ですか?

質問の内容と順番、評価の基準をあらかじめ決めておき、誰が面接しても同じ手順で進める面接のやり方です。応募者どうしを同じ条件で比べられるようになり、面接官による評価のブレが小さくなります。

構造化面接の質問はどう作ればよいですか?

考えや意欲ではなく、実際にとった行動を尋ねます。「そのときの状況」「あなたがしたこと」「その結果」の順に聞くと、具体的な経験がある人とない人の差が出ます。本籍や家族のこと、思想・信条など、仕事の適性と関係のない事柄は質問に入れません。

構造化面接にすると、面接が堅苦しくなりませんか?

全部を固定するとその傾向はあります。店舗の採用では、必ず聞く共通の質問だけを固定し、残りの時間は自由に話す形から始めるのが現実的です。「全員に同じことを伺っています」と前置きすれば、応募者にも公平な印象を持ってもらえます。

構造化面接の評価基準は、一度決めたら変えないほうがよいですか?

いいえ。面接の評価と、採用した人が活躍したか・続いたかを突き合わせ、効いていない項目を削っていきます。基準は作って終わりではなく、採用の結果を見ながら直していくものです。

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